みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 108 Spinners」と題して、プリセット・プログラム「108 Spinners」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
「SPINNER」は「急回転するもの」の意味。
いろいろな音がぐるぐる回っているように演出されています。
3系統のエフェクトが深いのですが、エフェクトを切ってもシンプルで使いやすい音です。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)でモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
各エフェクトの機能については以下のページから実験を交えて説明しています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)の機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
LFOの周期的変化を複雑にするために片方のLFO SPEEDを別のLFOで制御しています。
他にも予想が付かないような変化をバーチャル・パッチで設定しています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
「これでもかっ」っていうぐらい音の変化をするようにバーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールにも設定されていますね。
実験3: 持続音を試す
バーチャル・パッチでEGやLFOで複雑な変化をするように設定されています。
持続音でどのように変化するのか確認します。
測定方法
20秒程度、コードを弾きます(D5, G4, C6, F6)。
音データ
シーケンサーのデータとは印象が違います。
きれいな音で複雑な音の変化があらわれます。
実験3: エフェクトをON/OFFする
すべてのエフェクトをOFFにしてFX1から順にONにして、エフェクトの効果を確認します。
測定方法
すべてのエフェクトをOFFにする
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1フレーズ目: エフェクターがすべてOFF
2フレーズ目: FX1: PHASERをON
3フレーズ目: FX2: DELAY(BPM)をON
4フレーズ目: FX3: REVERBをON
音データ
V.PATCH1でREVERBが深くなるように設定されています。
REVERBがOFFとなると印象が変わりますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには11番のアルゴリズムが設定されています。
プログラムで使用されているオペレーターはOP1とOP2のみで、他のオペレーターのレベルは0です。
周期的変化と時間的変化を合わせた音の変化が特徴のプログラムです。
これはバーチャル・パッチで設定されています。
OP3~OP6はLEVELが0で、実際に使用されているオペレーターはキャリアOP1とモジュレーターのOP2の直列接続といった構成です。
キャリアとモジュレーターのRATIO比は1:3で、OP1がMODE: FMを使用してFM変調をしています。
キー・トラックで基準キーから高いキーになるほどレベルが下がるように設定されています
エフェクターは、PHASERで雑味を加え、DELAY(BPM)で深めにエコーをかけ、REVERBで小さめな空間で広がる残響を演出しています。
バーチャル・パッチでは以下のような時間的変化・周期的変化が設定されています。
- REVERBのREVERB LEVELはLFO1で周期的変化する
- LFO1のSPEEDをLFO1で周期的変化する
- LFO1のSPEEDをEG1で時間的変化するように設定され、LFO2により変化量が変化する
- OP2のLEVELをEG1で時間的変化する
- OP2のCOARSE RATIOをEG1で時間的変化する
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP2のLEVEL、FILTERのCUTOFF、FX1のPHASERのDRY:WET MIXが変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでLFO1のSPEEDをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP3~OP6のLEVELが0で、OP1, OP2で音作りがされています。
OP-EG
キャリアであるOP1のDECAY TIMEを少し長く設定してSUSTAIN LEVELが50。
他のオペレーターはSUSTAIN LEVELが100でキーを弾いている間はレベルが変わらないようにして、RELEASE TIMEを極端に短く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-KEY TRACK
OP1~OP3は基準キーC4として高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用されています。
カットオフ周波数は基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスとなるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は立ち上がりの時間が遅く、RELEASE TIMEも遅くなるように設定されています。
EG1はバーチャル・パッチでLFO1のSPEED、OP2のLEVELを時間的変化するように設定され、LFO2により変化量が変化するように設定されています。
EG1はバーチャル・パッチでOP2のCOARSE RATIOを時間的変化するように設定され、LFO3により変化量が変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.01Hzに設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでFX3のREVERBのREVERB LEVEL、LFO1のSPEEDを周期的変化するように設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチによりLFO1で周期的変化するように設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチでEG1で時間的変化するように設定され、LFO2により変化量が変化するように設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチによりアフタータッチでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEがRANDOM: LEVEL、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.75Hzに設定されています。
LFO3は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.19Hzに設定されています。
EFFECT
FX1はPHASER、FX2はDELAY(BPM)、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FX3のREVERBのREVERB LEVELをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、LFO1のSPEEDをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP2のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、LFO1のSPEEDをEG1で時間的変化するように設定され、LFO2により変化量が変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP2のLEVELをEG1で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP2のCOARSE RATIOをEG1で時間的変化するように設定され、LFO3により変化量が変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、FILTERのCUTOFFをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、LFO1のSPEEDをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH9は、FX1のPHASERのDRY:WET MIXをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、LFO1のSPEEDをモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
但し、変化量は0です。 - V.PATCH11は、OP1のPITCHをモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
但し、変化量は0です。 - V.PATCH12は、OP2のPITCHをモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
但し、変化量は0です。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが30cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 108 Spinners」と題して、プリセット・プログラム「108 Spinners」のパラメーターを分析しました。
実験でエフェクトをOFFにした音を聞いていただきましたが、結構シンプルで使える音です。
それをエフェクトすると随分印象が変わります。
単純にコードを弾いた時もすっきりしていたり...
プログラムをどのように演奏するか、プレイヤー側の腕の見せ所。
音作り、楽しんでくださいね。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析:112 Fairy Tweets」と題して、プリセット・プログラム「112 Fairy Tweets」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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