みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 144 Slight Touch」と題して、プリセット・プログラム「144 Slight Touch」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
オルガンのスタッカートな音に聞こえます。
各オペレーターがPITCH: TRANSPOSEで半音単位でずれを設定して和音の周波数成分を作り出しています。
PITCH: TRANSPOSEの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
コツコツ感のあるオルガンの音です。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすと、ATTACK TIMEやDECAY/RELEASE TIMEが変化します。
実験3: アルペジエーターを動かしてみる
V.PATCH5でアルペジエーターのRESOLUTIONをモジュレーション・ホイールで操作しているので、確認してみます。
設定方法
FILTER: TYPE: LPF MS-20、CUTOFF: 1.017kHz、RESONANCE: 60.00に変更
測定方法
アルペジエーターのパラメーターをPATTERN: MANUAL、OCT: 1に設定する。
アルペジエーターをLATCH ONにする。
適当なコードを弾きます(D5, G5, C6, F6)。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことで、アルペジエーターのRESOLUTIONを変化させるように設定されています。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには32番のアルゴリズムが設定され、すべてのオペレーターが単独のキャリアの構成です。
オルガンの音をピチカートさせたような音に仕上げています。
各オペレーターの波形をADDITIVE 1+3が使われ、RATIOが1.0000もしくは2.0000で、DETUNEでピッチの小さなずれを設定して厚みを加えています。
OP3~OP6はベロシティによるレベルの効果が設定されています。
FILTERにHPF12を使用し、低音域をカットしています。
エフェクターは、SPRING REVERBで「びょーん」といった独特のリバーブ感を加味し、MASTER LIMITERで音圧を上げています。
また、ピッチ・ベンドの可動範囲が±12semi(1オクターブ)に設定されています。
VOICE: ASSIGNでMONOが設定されています。
UNISON VOICESを4としてUNISON DETUNEを32centsと幅を持たせて音に厚みを加え、UNISON SPREADを100%にして広がりを与えています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでプログラム全体のATTACK TIME、DECAY/RELEASE TIME、LEVELを変化させるようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでプログラム全体のSUSTAIN LEVELをコントロールするように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
単独の6つのキャリアで、波形(WAVE)はすべてADDITIVE 1+3、LEVELとRATIOの調整がされています。
OP-EG
全オペレーターのDECAY TIMEが非常に短く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2~OP6に対して、TRANSPOSEが以下のように設定されています。
- OP2: 4semi(3rd)
- OP3: 7semi(5th)
- OP4: 11semi(M7th)
- OP5: 2semi(9th)- RATIO: 2.0000
- OP6: 6semi(b13th)- RATIO: 2.0000
OP-L MOD
OP3, OP4, OP5, OP6に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
FILTER
FILTERはHPF12が設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は、DECAY TIMEは非常に短く設定されています。
EG3は、ATTACK TIMEが長く、DECAY/RELEASE TIMEが短く設定されています。
LFO
LFO3は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.42Hzに設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでFX1のSAMPLING FREQUENCYを周期的変化するように設定されています。
但し、FX1はOFF設定です。
EFFECT
FX1はOFF、FX2はSPRING REVERB、FX3はMASTER LIMITERが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FX1のSAMPLING FREQUENCYをLFO3で周期的変化するように設定されています。
但し、FX1はOFF設定です。 - V.PATCH2は、プログラム全体のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、プログラム全体のATTACK TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、プログラム全体のRELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、アルペジエーターのRESOLUTIONをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
但し、アルペジエーターはOFF設定です。 - V.PATCH6は、プログラム全体のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、プログラム全体のSUSTAIN LEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに-1oct(1オクターブ下)が設定されています。
ピッチ・ベンドの範囲が±12semi(上下1オクターブ)に設定されています。
LOFIがONに設定されています。
VOICE
VOICE ASSIGNがMONO(単音の発音)、UNISON VOICESが4、UNISON DETUNEが32cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 144 Slight Touch」と題して、プリセット・プログラム「144 Slight Touch」のパラメーターを分析しました。
アルペジエーターの実験をしていますが、バーチャル・パッチのデータをみて「あれ?設定されているぞ」といった気づきで実験に至りました。
プログラマーはユーザーがデータを見ることを想定して仕込んでいたのかは不明(笑)
プログラマーはこういったギミックまでイメージして音を作っているんだと気づかされました。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 150 FM Ring Mod Pad」と題して、プリセット・プログラム「150 FM Ring Mod Pad」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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