みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 200 Feel The Warmth」と題して、プリセット・プログラム「200 Feel The Warmth」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
暖かみのあるPAD音です。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: モジュレーション・ホイール、アフター・タッチの効果
バーチャル・パッチの設定で、モジュレーション・ホイールを動かすことによってOP3のMODE: FILTERのCUTOFF、OP1のMODE: FM: FEEDBACKが変化するように設定されています。
また、アフター・タッチでOP1のLEVEL、MODE: FM: WIDTHを変化するように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
設定方法
バーチャル・パッチに設定したアフター・タッチの効果を確認するために、ピッチ・ホイールに割り当てます。
PROG-PITCHでPITCH BEND UP/DOWNを0にする。
V.PATCH11、V.PATCH12のSOURCEをPITCH WHEEL、CNTROL SOURCEをOFFに変更する。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1回目: モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
2回目: ピッチ・ホイールを最大にしながら、モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすとざらざら感が増え、ピッチ・ホイールを動かすと高域の倍音が抑えられた感じがします。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには13番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2のキャリア-モジュレーターの直列接続とOP3をキャリア、OP4~OP6をモジュレーターとしたY字接続の構成です。
OP1-OP2では、MODE: FMを使用して、波形はOP1がSINE 12BIT、OP2がADDITIVE 1+2、RATIO比が1:20.8とピッチが非常に離れた構成です。
初期値ではOP1, OP2のLEVELが0%ですが、レベルを上げるとモジュレーターの調整でアタック時の「ピーンッ」といった高音域の成分が特徴の音がします。
では、OP3~OP6のY字接続です。
キャリアのOP3はMODE: FILTERを使用して、OSC MIXが0%なので、後段のオペレーターからの入力信号にフィルターをかけます。
LPFですので、高音域の成分がカットされます。
OP3~OP6のOP-EGが鍵盤を弾いている間はLEVELが変わらず、RELEASE TIMEが長めの設定です。
OP3のピッチ(RATIO: 1.0000)に同期しますので、鍵盤の位置によって音の質感がほぼ同じため、キー・トラックでの調整が楽になります。
OP3-OP4では、OP4の波形がSAW HD、RATIO比が1:1。
OP3-OP5では、OP5の波形がSQUARE、RATIO比が1:1。
OP3-OP6では、OP6の波形がSAW HD、RATIO比が1:1。
OP4とOP6はパラメーターが同じ値ですが、OP-PITCHのDETUNEで値を±を逆にして音に厚みを出しています。
OP5の波形はFM: WAVE: WIDTHの値を上げることでPWM(矩形波の比率を変える)で波形を変化させています。
これにより重厚な音が作成されています。
キャリアのOP3にはOP-P MODとOP-L MODのVELOCITY SENSで鍵盤を弾く強さによりピッチと音のレベルをコントロールするように設定されています。
FILTERはLPF POLY6が使用され、CUTOFFが設定されています。
カットオフ周波数に対してEG2による時間的変化をベロシティでコントロールするように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、キー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
エフェクターは、CHORUSでうねりを加味し、REVERBで遠いところまで届くようなすっきりした残響を加え、AUTOPAN DLYで深い広がりのあるエコー感を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP1のFM: FEEDBACK、OP3のFILTER: CUTOFFをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでOP1のLEVEL、OP1のFM: WAVE: WIDTHをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
いろいろな波形が使用されています。
OP2のRATIOが高く設定され、キャリアのOP3にFILTERが使用されていることが特徴です。
OP-EG
キャリアであるOP1はDECAY TIMEが最大の90sが設定されています。
モジュレーターOP2はDECAY TIMEを短くしてSUSTAIN LEVELが0と、アタック音の成分用として設定されています。
OP3~OP6のオペレーターは鍵盤を弾いている時はレベルが最大、RELEASE TIMEが長く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP4, OP6は、DETUNEでピッチの小さなずれを与えるように設定されています。
OP-P MOD
OP3に対してピッチに対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-L MOD
OP1~OP3に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が使用され、カットオフ周波数に対してEG2の時間的変化をベロシティでコントロールするように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECAY/RELEASE TIMEが少し短め、CURVEも急峻に減衰するように10が設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化をベロシティでコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.40Hzに設定されています。
LFO2, 3は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はREVERB、FX3はAUTOPAN DLYが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP3のFILTER: CUTOFFをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のFM: FEEDBACKをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP1のFM: WAVE: WIDTHをアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH12は、OP1のLEVELをアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
MISC
OCTAVEが-1oct(1オクターブ下)に設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 200 Feel The Warmth」と題して、プリセット・プログラム「200 Feel The Warmth」のパラメーターを分析しました。
結構仕上がっている音ですよね。
このまま使うとバレてしまいそう(笑)
エディットするならオペレーターのMODEのパラメーターから初めてみるか、ガラッとアルゴリズムを変えてしまうとか...
アルゴリズムを変えるとオペレーターの役割が変わるので音がガラッと変わりますが、データ分析していると、「ここが変わったから音が変化したんだ」とわかります。
分析した後であれば結構有効な手段ですよ。
皆さんも音作りにチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 262 Hard Synkronicity」と題して、プリセット・プログラム「262 Hard Synkronicity」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント