みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 026 Portrait EP」と題して、プリセット・プログラム「026 Portrait EP」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
こちらはコーラスがかかった箱鳴りしているような中域の持続音が特徴のエレピの音。
いろいろなパラメーターの設定で厚みと心地よい揺れを伴った音になっています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: キャリアの波形を変えてみる
「もう少し低域にゴンとした音が欲しいなぁ」と思って、キャリアOP1, OP3のMODE: WAVE FOLDERの波形をSINE 12BIT→ADDITIVE TRI3に変えてみました。
測定方法
OP1とOP3の波形をSINE 12BIT→ADDITIVE TRI3に変更する。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
ちょっとだけゴンとした感じになったかな?
実験3: 実験1の音でOP1のWAVE FOLDER: GAINをモジュレーション・ホイールでコントロールする
V.PATCH7に設定されたOP1のWAVE FOLDER: GAINの設定をSOURCEをモジュレーション・ホイールに変更して音の変化を確認してみます。
測定方法
V.PATCH6のSOURCEをMODULATION WHEEL→OFFに変更する。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
エフェクターにPHASERを使っているので、高音域の成分が入ってくるとキンキンしたうねりが大きくなります。
実験4: 実験2の音でOP1のWAVE FOLDER: GAINをモジュレーション・ホイールでコントロールする
実験2で作成した音でV.PATCH7に設定されたOP1のWAVE FOLDER: GAINの設定をSOURCEをモジュレーション・ホイールに変更して音の変化を確認してみます。
測定方法
OP1とOP3の波形をSINE 12BIT→ADDITIVE TRI3に変更する。
V.PATCH6のSOURCEをMODULATION WHEEL→OFFに変更する。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験3とは少し違った印象になりましたが、実験2で波形を変えただけですから
微調整が必要ですね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには13番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2のキャリア-モジュレーターの直列接続とOP3をキャリア、OP4~OP6をモジュレーターとしたY字接続の構成です。
エフェクターのコーラスで実現しているのではありません。
OP: PITCH: DETUNEとVOICE: UNISON VOICESを2に設定したことで実現しています。
UNIISON VOICESの数を増やすともっと良くなるかというと、そうではないのです。
「丁度よい塩梅」で設定されています。
で、普通のFM変調ではなく、MODE: WAVE FOLDERを使ってGAINを少し上げることで雑味(ちょっと荒れた感じ)を演出しています。
このMODE: WAVE FOLDERは音を際立たせたりするには使い勝手良いです。
オペレーターのキー・トラックも調整されています。
演奏表現では、バーチャル・パッチでオペレーターのレベルをEG2を使ってEXP. VELOCITY(鍵盤を弾く強さの効果がでるカーブが急峻なベロシティ)によってアタック感がコントロールされています。
また、モジュレーション・ホイールの操作でノイズが発生するように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアのOP1, OP3はMODE: WAVE FOLDERが設定されています。
OP1-OP2とOP3-OP4を比較すると、モジュレーターのRATIOの違いがあります。
OP5は少しこもったノイズを作っています。
OP6は弦をはじくような音を作っています。
OP-EG
キャリアであるOP1, OP3のDECAY TIMEがモジュレーターより長く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP4でピッチに対してEG1の時間的変化を与えるように設定されています。
OP-L MOD
全オペレーターに対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
すべてのオペレーターで、基準キーより低いキーになるほどレベルが高く、基準キーより高いキーになるほどレベルが低くなるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が設定されています。
カットオフ周波数がキー・トラックで基準キーをC4としてキーが低くなるほどマイナス、キーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1, EG2はATTACK TIMEを0.002sと非常に短い長さが設定されています。
EG1はOP-P MODでOP4のピッチに対して時間的変化を与えるように設定されています。
また、バーチャル・パッチでOP2のMODE: FM: FEEDBACK、OP4のLEVELを時間的変化するように設定されています
EG2はバーチャル・パッチでOP5, OP6のLEVELを時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)により変化量をコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hzに設定されています。
LFO2, LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
LFOは上記のように設定されていますが、使用されていません。
EFFECT
FX1はPHASER、FX2はUNISON ENSEMBLE、FX3はSPRING REVERBが設定されています。
PHASER、UNISON ENSEMBLEはDRY:WET MIXが0のため、効果がありません。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラム全体のDECAY TIMEを鍵盤の位置(NOTE NUMBER)で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP2のMODE: FM: FEEDBACKをEG1で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP4のLEVELをEG1で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP5のLEVELをEG2で時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)により変化量をコントロールするように設定されています。
- V.PATCH5は、OP6のLEVELをEG2で時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)により変化量をコントロールするように設定されています。
- V.PATCH6は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP1のMODE: WAVE FOLDER: GAINをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが15cents、UNISON SPREADが50%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 026 Portrait EP」と題して、プリセット・プログラム「026 Portrait EP」のパラメーターを分析しました。
opsixはピッチの揺れや複音でのずれで音に厚みを与える要素がたくさんあります。
オペレーター同士でのピッチのずれ(DETUNE)、UNISON、エフェクター、RATIO/FIXEDの設定などがあります。
いろいろ試してみると、パラメーターによって違った味わいが発見できますよ。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 121 Filtered Saws」と題して、プリセット・プログラム「121 Filtered Saws」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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