みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 039 Reso Phase Clav」と題して、プリセット・プログラム「039 Reso Phase Clav」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
レゾナンスの「ミョンミョン」とPHASERのうねりを感じるクラビネットの音です。
オペレーターのLEVEL、V.PATCH(VIRTUAL PATCH)を使用して音の強弱(VELOCITY)の設定をしています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)の機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: ベロシティの効果を確認する
バーチャル・パッチでベロシティで複雑に変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
設定方法
バーチャル・パッチで設定されたベロシティの設定をモジュレーション・ホイールに割り当てます(V.PATCH1~V.PATCH4)。
PROG-PITCHよりPITCH LFO1 INTENSITYを0にする。
V.PATCH1のSOURSEをMOD WHEELに変更(OP1のFM: FEEDBACKを変化させる)
V.PATCH2のSOURSEをMOD WHEELに変更(FILTERのCUTOFFを変化させる)
V.PATCH3のSOURSEをMOD WHEELに変更(EG2のDECAY TIMEを変化させる)
V.PATCH4のSOURSEをMOD WHEELに変更(FILTERのRESONANCEを変化させる)
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
ベロシティに関して注意深く確認することはあまりないのですが、モジュレーション・ホイールに設定すると変化の仕方がわかりますね。
手法の一つとして役に立ちました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには18番のアルゴリズムが設定されています。
キャリアとしてOP1が1つ、その上段にOP2~OP4がモジュレーターの逆Y字接続、そして、キャリアOP1とモジュレーターOP4~OP6で直列接続している構成です。
OP1-OP2ではMODE: FMが使用され、キャリアのOP1がFIXEDで0.40Hz、モジュレーターのOP2がRATIOで16.0000。波形はSINEを使用し、OP2では、FM: WIDTH、FEEDBACKを使って波形を変化させています。
音を言葉で表現すると...粘り気のあるプラスチックの棒を叩いたような音。
OP1-OP3では、OP3の波形がSINE、RATIOが1.0000。
「ブーン」といった幹となる音が作成されています。
OP1-OP4-OP5-OP6では、波形がOP1がSINE、OP4がSQUARE、OP5がSINE 8BIT、OP6がSINE。
MODE: FMを使用して、モジュレーターのRATIO比が3:1:1。
OP5, OP6のOP-EGのATTACK TIMEでアタックを遅めにして音の時間的変化を演出しています。
各オペレーターはOP-L MODでベロシティが設定されています。
キャリアOP1以外のオペレーターは、キー・トラックで基準キーに対して、高いキーになるほどレベルがマイナスに設定されています。
FILTERはLPF MS-20を使用して、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
FILTER-MODでカットオフ周波数に対して、EG1の時間的変化を与えるように設定されています。
同じくカットオフ周波数に対して、キー・トラックで基準キーC5として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
エフェクターは、CHORUSで音ににじみをして、REVERBでうっすらとした残響音を加え、PHASERでうねりを加えています。
演奏表現の手段として、鍵盤を弾く強弱(ベロシティ)により、OP1のFM: FEEDBACK、FILTERのCUTOFF、EG2のDECAY TIME、FILTERのRESONANCEをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでプログラム全体のPITCHをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアのOP1がFIXED(固定周波数)でその上段のモジュレーターがRATIOの設定がされています。
OP2, OP6に対してWIDTH、FB(FEEDBACK)で波形を変化させています。
キャリアにFIXED(固定周波数)を使うとモジュレーターのピッチがキャリアの固定周波数で揺れが生じます。
なので、OP2~OP4から入力される音が0.40Hzで揺れる仕組みです。
OP1, OP2でおもちゃのハンマをちょこんと叩いたような音。
OP1, OP3で幹の部分の音。
OP1, OP4~OP6で「みょーん」といったFM変調された音を演出しています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP6に対してDETUNE(ピッチの細かなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
全オペレーターに鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)の効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP2~OP6のモジュレーターに対して、基準キーの設定からHIGH SLOPEがマイナスの設定がされています。
FILTER
FILTERはLPF MS-20が使用されています。
カットオフ周波数に対してEG2の時間的変化を設定しています。
基準キー(CNTER KEY)をC5としてキーが低いほどマイナス、キーが高いほどプラスのCUTOFF周波数になるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、SUSTAIN LEVELを少し上げて、RELEASE TIMEを長めに、CURVEを10と減衰時に急峻なCURVEとなるように設定されています。
EG2はFILTERのCUTOFFを時間的変化の効果が設定されています。
また、バーチャル・パッチによりベロシティでDECAY TIMEが変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.85Hzに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチへの周期的変化が設定されていて、モジュレーション・ホイールで変化量を変えるように設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでプログラム全体のPITCHをLFO1で周期的変化をするように設定されています。
その効果をアフター・タッチにより変化量が変わるように設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はREVERB、FX3はPHASERが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のFM: FEEDBACKを鍵盤を弾く強弱(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FILTERのCUTOFFを鍵盤を弾く強弱(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、EG2のDECAY TIMEを鍵盤を弾く強弱(VELOCITY)で変化するように設定されています。
EG2はFILTERのCUTOFF周波数に使用されていますので、鍵盤を強く弾くと「ミョーン」といった時間的変化が長くなります。 - V.PATCH4は、FILTERのRESONANCEを鍵盤を弾く強弱(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、プログラム全体のPITCHをLFO1で周期的変化をするように設定されています。
その効果をアフター・タッチにより変化量が変わるように設定されています。
MISC
OCTAVEを-1oct(1オクターブ下)に設定されています。
ピッチ・ベンドの値を±3semiにしています。
LFO1によるピッチへの周期的変化が設定されていて、モジュレーション・ホイールで変化量を変えるように設定されています。
LOFIがONに設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 039 Reso Phase Clav」と題して、プリセット・プログラム「039 Reso Phase Clav」のパラメーターを分析しました。
実験でバーチャルパッチに設定されたベロシティに関する項目をモジュレーション・ホイールに割り当てて確認しました。
手法の一つとして役に立ちました。
opsixではベロシティの設定のためにオペレーターのページを行き来しなければならない。
各オペレーターの1つのパラメーターを横並びにして操作できるようになると便利ですね。
ノブやスライダーのユーザー・アサインを設けてくれると助かります。
ユーザー・インタフェースの改善をしてくれるかなぁ、KORGさん。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 293 Quadratic Chord Pulse」と題して、プリセット・プログラム「293 Quadratic Chord Pulse」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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