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KORG opsixのプリセット分析: 099 Pluck Drip

この記事は約14分で読めます。

みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。

今回は「KORG opsixのプリセット分析: 099 Pluck Drip」と題して、プリセット・プログラム「099 Pluck Drip」のパラメーターを分析します。

新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。

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音の特徴

何と表現したら良いのか...(笑)

キーを一つ押していても複雑な変化をしています。

オペレーターをすべて直列接続させた構成です。

今回は6段直列接続のオペレーターが出音にどんな効果をもたらしているのか確認します。

KAMIN
KAMIN

オペレーターとアルゴリズムについては以下のページで説明しています。

KORG opsixの機能: FMのオペレーターとアルゴリズム

実験

では、音で確認しましょう。

KAMIN
KAMIN

パラメーターの分析は下に書いています。

詳細はそちらをご覧ください。

実験1: 弾いてみる

測定方法

シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。

音データ

実験2: 各オペレーターの機能を確認する(OP6)

これだけのMODEを使って直列接続していると、何が効いているのかわかりにくい。

なので、オペレーターごとに確認します。

まず、再後段のOP6から確認します。

設定方法

音の変化がわかりにくくなる機能はオフにします。

FX2: COMPRESSORをON→OFFに変更

FX3: REVERBをON→OFFに変更

VOICE: UNISON VOICESを2→0に変更

OP1~OP5をBYPASSに変更

OP6のLEVELを15%→100%に変更

測定方法

キーE4を弾きます。

音データ

KAMIN
KAMIN

サイン波を出しています。

実験3: 各オペレーターの機能を確認する(OP5)

OP5を確認します。

設定方法

音の変化がわかりにくくなる機能はオフにします。

FX2: COMPRESSORをON→OFFに変更

FX3: REVERBをON→OFFに変更

VOICE: UNISON VOICESを2→0に変更

OP1~OP4をBYPASSに変更

測定方法

1回目: OP6をMUTEに変更して、キーE4を弾きます。

2回目: OP6はMODE: FMのまま、キーE4を弾きます。

音データ

1回目
KAMIN
KAMIN

「ぶつっ」といった音が徐々にサイクルを早めます。

1.20Hzの周期の音がバーチャル・パッチで少しずつ周期を早めるためです。

2回目
KAMIN
KAMIN

OP6の信号をOP5のFIXEDの周期で鳴らしています。

実験4: 各オペレーターの機能を確認する(OP4)

OP4を確認します。

設定方法

音の変化がわかりにくくなる機能はオフにします。

FX2: COMPRESSORをON→OFFに変更

FX3: REVERBをON→OFFに変更

VOICE: UNISON VOICESを2→0に変更

OP1~OP3をBYPASSに変更

測定方法

1回目: OP5~OP6をMUTE、音を出すためにOP4 OSC MIXを0%→30%に変更して、キーE4を弾きます。

2回目: OP5~OP6はMODE: FMのまま、キーE4を弾きます。(OP4 OSC MIXは0%)

音データ

1回目
KAMIN
KAMIN

OP4のMODE: EFFECT: PHASERをオシレーターのFIXED: 140.00Hzにかけています。

2回目
KAMIN
KAMIN

OP5, OP6で作られた信号に対して、OP4のMODE: EFFECT: PHASERをかけています。

実験5: 各オペレーターの機能を確認する(OP3)

OP3を確認します。

設定方法

音の変化がわかりにくくなる機能はオフにします。

FX2: COMPRESSORをON→OFFに変更

FX3: REVERBをON→OFFに変更

VOICE: UNISON VOICESを2→0に変更

OP1~OP2をBYPASSに変更

測定方法

1回目: OP4~OP6をMUTE、OP3 OSC MIXを0%→70%に変更して、キーE4を弾きます。

2回目: OP4~OP6はMODEをそのままにして、キーE4を弾きます(OP3 OSC MIXは0%)。

音データ

1回目
KAMIN
KAMIN

OP3のオシレーターのRATIO: 1.0000にMODE: EFFECT: SHORT DELAYをかけています。

2回目
KAMIN
KAMIN

OP4~OP6で作られた信号に対して、OP3のMODE: EFFECT: SHORT DELAYをかけています。

実験6: 各オペレーターの機能を確認する(OP2)

OP2を確認します。

設定方法

音の変化がわかりにくくなる機能はオフにします。

FX2: COMPRESSORをON→OFFに変更

FX3: REVERBをON→OFFに変更

VOICE: UNISON VOICESを2→0に変更

OP1をBYPASSに変更

測定方法

1回目: OP3~OP6をMUTE、OP2 OSC MIXを0%→70%に変更して、キーE4を弾きます。

2回目: OP3~OP6はMODEをそのままにして、キーE4を弾きます(OP2 OSC MIXは0%)。

音データ

1回目
KAMIN
KAMIN

OP2のオシレーターのFIXED: 250.00HzにMODE: FILTERをかけています。

2回目
KAMIN
KAMIN

OP3~OP6で作られた信号に対して、OP2のMODE: FILTERをかけています。

実験7: 各オペレーターの機能を確認する(OP1)

最後にOP1を確認します。

設定方法

音の変化がわかりにくくなる機能はオフにします。

FX2: COMPRESSORをON→OFFに変更

FX3: REVERBをON→OFFに変更

VOICE: UNISON VOICESを2→0に変更

測定方法

1回目: OP2~OP6をMUTE、OP1 OSC MIXを0%→60%に変更して、キーE4を弾きます。

2回目: すべてのオペレーターのMODEをそのままにして、キーE4を弾きます。

3回目: 2回目から、VOICE: UNISON VOICESを2に戻して、キーE4を弾きます。

4回目: 3回目から、FX2: COMPRESSORをONに戻して、キーE4を弾きます。

5回目: 4回目から、FX3: REVERBをONに戻して、キーE4を弾きます。

音データ

1回目
KAMIN
KAMIN

OP1のオシレーターのRATIO: 1.0000にMODE: EFFECT: COMBをかけています。

2回目
KAMIN
KAMIN

OP2~OP6で作られた信号に対して、OP2のMODE: FILTERをかけています。

3回目
KAMIN
KAMIN

2回目の設定からVOICE: UNISON VOICESを2に戻しました。

4回目
KAMIN
KAMIN

3回目の設定からFX2: COMPRESSORをONに戻しました。

5回目
KAMIN
KAMIN

4回目から、FX3: REVERBをONに戻して、設定をすべて戻したので、プログラムの音です。

パラメーター分析

INITプログラムからの変化を元に分析しています。

INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。

alg-34

OP1からOP6の直列接続といった構成です。

アルゴリズムには34番のアルゴリズムが設定されています。

OP1, OP3, OP4でMODE: EFFECT、OP2でMODE: FILTERが使用されていますが、各オペレーターのオシレーターはOSC MIXが0。

なので、OP5, OP6で作成された信号に対して各モードで音に変化を加えていきます。

OP5のFIXED 1.2Hzで揺れを生じたOP6の波形が元になります。

OP6はALGORITHM FEEDBACKの対象のオペレーターで80%に設定されています。

なので、SAWに近い波形です。

そして謎だったのは、音の揺れの周期が速くなったりすること。

OP5は1.20Hzなので、固定周波数で揺れるはずですが、周期が変わっていく。

詳しいことはわかりませんが、OP5のOP-PITCHのEG1の設定が要因のようです。

これはOP5のPITCHをEG1の時間的変化を加える設定です。

OP5のCOARSE RATIOはLFO2で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。

OP5のEFFECT: PHASER: FREQUENCYはLFO2で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。

OP5-OP6で作成した波形は、OP4のMODE: EFFECT: PHASERの入力信号として扱われます。

ここでFIXEDで設定しているのは、周波数をピッチと連動させないためです。

これによって雑味のある音になりました。

この信号がOP3のMODE: EFFECT: SHORT DELAYの入力信号として扱われます。

これによって、DELAY音が加わりました。

OP3のEFFECT: SHORT DELAY: S.DELAY TIMEはLFO3で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。

この信号をOP2のMODE: FILTERでMG HPF12で低音域をカットして、RESONANCEをかけています。

この信号をOP1のMODE: EFFECT: COMB FILTERの入力信号として扱われます。

COMB FILTER独特の「ビィーン」といった音になりました。

キャリアであるOP1にはOP-L MODでレベル・ベロシティがかけられています。

また、オペレーターによってキー・トラックで信号のキーの位置によるレベルの変化が設定されています。

FILTERはLPF12が設定されていますが、INITプログラムのままで効果はありません。

エフェクターは、COMPRESSORで音をすっきりさせた感じがします。その後、REVERBでTYPEをCHAMBERを使用して高い天井にいるような残響感を演出しています。

UNISON VOICESを2に設定して、音に厚みを加えています。

演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP5のPITCHを変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。

また、アフター・タッチでOP1のEFFECT: COMB: FREQUENCY、OP6のLEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています

099 Pluck Drip alg-34 param
099 Pluck Drip alg-34 param etc

MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE

099 Pluck Drip mode1 fm-filter
099 Pluck Drip mode2 effect

MODE: EFFECTを設定しているOP1、OP3、OP4と、MODE: FILTERを設定しているOP2はOSC MIXが0%なので、自身のオシレーターは出力しないで後段のオペレーターからの入力信号にエフェクトをかける設定です。

ですので、OP5をキャリア、OP6をモジュレーターとして、キャリアがFIXED、モジュレーターがRATIOでOP6の波形をOP5のFIXEDの周波数で揺らす波形が元になっています。

OP5, OP6の波形をOP4でPHASERにかけて、OP3でSHORT DELAYにかけて、OP2でFILTERにかけて、OP1でCOMB FILTERにかけていることになります。

OP1のMODE: EFFECT: COMBはFREQUENCY MODEがRATIOなので、効果がかかる周波数はピッチに連動します。

OP4のMODE: EFFECT: PHASERのFREQUENCYはFREQUENCY MODEをFIXEDにすることでオシレーターのピッチと連動せずに一定の周波数としています。

OP-EG

099 Pluck Drip op-eg alg-34
099 Pluck Drip op-eg

キャリアであるOP1はATTACK TIMEが少し時間がかかり、DECAY TIME、RELEASE TIMEが長い設定になっています。

OP2~OP5はSUSTAIN LEVELが100と減衰しない設定で、RELEASE TIMEがキャリアよりゆっくり減衰するように設定されています。

最後段のOP6のアタックがゆっくり立ち上がり、RELEASE TIMEもゆっくりに設定されています。

OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK

OP-P MOD

099 Pluck Drip op-p-mod

OP5のピッチに対して、EG1により時間的変化するように設定されています。

OP-L MOD

099 Pluck Drip op-l-mod

キャリアであるOP1に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。

OP-KEY TRACK

099 Pluck Drip op-key-track

OP1~OP3は、基準キーC4に対して、低いキーになるほどプラスのレベルになる設定がされています。

OP5, OP6は、基準キーC1に対して、高いキーになるほどマイナスのレベルになる設定がされています。

FILTER

099 Pluck Drip filter

FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。

FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。

MOD(EG、LFO)

EG

099 Pluck Drip eg

EG1はDECAY TIME、RELEASE TIMEが短く設定されています。

EG1はOP-P MODでOP5のピッチに対して時間的変化するように設定されています。

LFO

099 Pluck Drip lfo

LFO1は、INITプログラムの設定から変更はありません。

LFO1はPROGRAM PITCHでピッチの周期的変化をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。

LFO2は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.08Hz、PHASE(位相)が-90deg(-90度のところから始まる)に設定されています。

LFO2はバーチャル・パッチでOP5のCOARSE RATIO、OP5のEFFECT: PHASER: FREQUENCYをを周期的変化するように設定されています。

LFO3は、WAVEにRANDOM: LEVELが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.00Hzに設定されています。

LFO3はバーチャル・パッチでOP3のEFFECT: SHORT DELAY: S.DELAY TIMEを周期的変化するように設定されています。

EFFECT

099 Pluck Drip fx

FX1はOFF、FX2はCOMPRESSOR、FX3はREVERBが設定されています。

VIRTUAL PATCH

099 Pluck Drip v-patch

バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。

  1. V.PATCH1は、OP3のEFFECT: SHORT DELAY: S.DELAY TIMEをLFO3で周期的変化するように設定されています。
  2. V.PATCH2は、OP5のCOARSE RATIOをLFO2で周期的変化するように設定されています。
  3. V.PATCH3は、OP1のEFFECT: COMB: FREQUENCYをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
  4. V.PATCH4は、OP5のPITCHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
  5. V.PATCH5は、OP5のEFFECT: PHASER: FREQUENCYをLFO2で周期的変化するように設定されています。
  6. V.PATCH6は、OP6のLEVELをアフタータッチでコントロールするように設定されています。

MISC

099 Pluck Drip prog-pitch
099 Pluck Drip prog-misc

ピッチ・ベンドの値を±12semi(±1オクターブ)にしています。

LFO1によるピッチの周期的変化をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。

ALGORITHM FB(FEEDBACK)が80%に設定されています。

対象のオペレーターは、OP5-OP6になります。

VOICE

099 Pluck Drip voice

UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが20cents、UNISON SPREADが70%に設定されています。

まとめ

今回は「KORG opsixのプリセット分析: 099 Pluck Drip」と題して、プリセット・プログラム「099 Pluck Drip」のパラメーターを分析しました。

すべてのオペレーターが直列接続だったので、実験ではオペレーターの機能を1つずつ確認しました。

OP5のFIXED: 1.20Hzが音の出し方の特徴で、OP6のピッチに対して低周期で音を揺らし、各オペレーターの機能で脚色する、、、といった流れでしたね。

プログラムのデータ分析をすると、テクニックも自分のものにできます。

皆さんもチャレンジしてみてください。

この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。

次回は「KORG opsixのプリセット分析: 147 Wasps」と題して、プリセット・プログラム「147 Wasps」のパラメーターを分析します。

では。

新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザーopsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。

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