みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 109 Shifting 9th」と題して、プリセット・プログラム「109 Shifting 9th」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
5thと9thが交互に周期的に発生するグラス・ハープのような音がします。
キャリアOP1~OP3でTRANSPOSE機能で9thコードの音を作っています。
PITCH: TRANSPOSEの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: アフター・タッチの音の変化を確認する
バーチャル・パッチでアフタータッチの操作で音が変化するように設定されています。
ピッチ・ホイールに割り当てて確認します。
設定方法
PROG-PITCHよりPITCH BEND UP/DOWNの値を0にする。
V.PATCH4~V.PATCH6のMOD CTRL SOURCEをPITCH WHEELに変更する。
測定方法
アルペジエーターのパラメーターをPATTERN: MANUAL、OCT: 2に設定する。
アルペジエーターをLATCH ONにする。
適当なコードを弾きます(D4, G4, C5, F5)。
ピッチ・ホイールを0→プラス最大→0→マイナス最大→0にする。
アフター・タッチではマイナスにはなりませんが、面白かったのでマイナスも試しました。
音データ
3つのキャリアのMODE: FILTERのカットオフ周波数に対してアフター・タッチでコントロールしています。
カットオフ周波数が上がっていくとLFO3による効果がよくあらわれてきますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには25番のアルゴリズムが設定されています。
OP1からOP3は単独のキャリア。
OP4~OP6は逆Y字接続。
このような構成です。
OP1~OP3はMODE: FILTER、波形がSQUARE HD。
違いはOP1はRATIOが1.0000、OSC MIXが100%、OP2はRATIOが1.0000、OSC MIXが50%、OP3はRATIOが2.0000、OSC MIXが50%です。
FILTERの他のパラメーターは初期値で同じですが、以下のようにバーチャル・パッチでCUTOFFをLFO2からのコントロールを違った値で設定されています。
OP1, OP2, OP3のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO3で変化するように設定し、アフター・タッチにより変化量が変わるようにバーチャル・パッチで設定されています。
OP1, OP2, OP3のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO2で変化するように設定されています。
V.PATCH1~3でOP1~OP3への効果を設定値を変えることで独特の周期的な揺らぎを演出しています。
OP2, OP3はOP-PITCHのTRANSPOSEでOP2が+7(7半音: 5th)、OP3が+2(2半音: 9th)に設定されています。
OP1, OP3はOP-L MODでLFO1の周期的変化をモジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
OP4-OP6では、OP4はMODE: EFFECT: SHORT DELAYを使用して、OSC MIXが0%なのでOP6からの入力信号にSHORT DELAYをかけています。
OP6はMODE: FILTER FMを使用して、波形はSAW HD、RATIOが0.5000となっています。
OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をLFO3で変化するように設定し、LFO2により変化量が変わるようにバーチャル・パッチで,設定されています。
OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をLFO3で変化するようにバーチャル・パッチで,設定されています。
OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をLFO2で変化するようにバーチャル・パッチで,設定されています。
MODE: FILTER FMは後段のオペレーターがありませんので、FILTERとして機能します。
フィルターのTYPEがMG LPF12を使用してオシレーターのピッチに同期して高音域をカット、レゾナンスも設定しています。
OP4のMODE: EFFECTのS.DELAYのTIMEの値をLFO1で変化するようにバーチャル・パッチで,設定されています。
これにより、より複雑な波形を作っています。
OP5-OP6では、OP4はMODE: EFFECT: PHASERを使用して、OSC MIXが0%なのでOP6からの入力信号にPHASERをかけています。
OP5のMODE: EFFECTのPHASERのFREQの値をLFO2で変化するようにバーチャル・パッチで,設定されています。
OP4-OP6とは違った複雑な波形を作っています。
FILTERはLPF12を使用していますが、INITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは、PHSERでうねりを加え、TAPE ECHO(BPM)で揺れが生じるエコー感を出し、REVERBで遠くまですっきり広がる残響を演出しています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1~OP3は単独キャリアで、MODE: FILTERが選択され、波形としてSQUARE HDが設定されています。
OP1~OP3にはRATIOやMODE: FILTERの設定を変えて変化を与えています。
OP4, OP5はMODE: EFFECTが設定されています。
OSC MIXが0%なので、上段のモジュレーターOP6からの入力信号をEFFECTする機能として設定されています。
OP6はMODE: FILTER FMが設定されていますが、上段のモジュレーターがないためフィルタリングされたSAW HDの波形が出力されます。
後述のバーチャル・パッチでカットオフ周波数をLFO2による周期的に変化するように設定されています。
OP-EG
ATTACK TIME、DECAY TIMEを長めにしているオペレーターがあります。
これにより、ゆっくりと音の時間的変化を作り出しています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2, OP3のTRANSPOSEで長5度(5th)、長2度(9th)となるように設定されています。
OP-P MOD
OP1~OP3にLFO1の効果をモジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
OP2はLFO1 INTが0なので、効果はありません。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがSTEP4 TRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは1/4。
LFO1はOP-L MODでOP1~OP3のLEVELを周期的変化をするように設定され、モジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでOP4のMODE: EFFECTのS.DELAYのTIMEを周期的変化するように設定されています。
LFO2は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは1/1。
LFO2はバーチャル・パッチでOP1, OP2, OP3, OP6のMODE: FILTERのCUTOFF、OP5のMODE: EFFECTのPHASERのFREQを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEがEXP. SAW DOWN、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは1/16。
LFO3はバーチャル・パッチでOP1, OP2, OP3のMODE: FILTERのCUTOFFを周期的変化するように設定されています。
その効果をアフター・タッチにより変化量が変わるように設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFを周期的変化するように設定されています。
その効果をLFO2により変化量が変わるように設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP6のMODE: FILTERのCUTOFFを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1にPHASER、FX2にTAPE ECHO(BPM)、FX3にREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP2のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP3のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO2で周期的変化するように設定されています。
V.PATCH1~3でOP1~OP3への効果を設定値を変えることで独特の周期的な揺らぎを演出しています。 - V.PATCH4は、OP1のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO3で変化するように設定されています。
その効果をアフター・タッチにより変化量が変わるように設定されています。 - V.PATCH5は、OP2のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO3で周期的変化するように設定されています。
その効果をアフター・タッチにより変化量が変わるように設定されています。 - V.PATCH6は、OP3のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO3で周期的変化するように設定されています。
その効果をアフター・タッチにより変化量が変わるように設定されています。 - V.PATCH8は、OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をLFO3で周期的変化するように設定されています。
その効果をLFO2により変化量が変わるように設定されています。 - V.PATCH9は、OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP5のMODE: EFFECTのPHASERのFREQの値をLFO2で周期的変化するように設定されています。
opsix nativeでは、FREQは「SPEED」とパラメーター名が表示されています。 - V.PATCH12は、OP4のMODE: EFFECTのS.DELAYのTIMEの値をLFO1で周期的変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
UNISONがVOICES=2で設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 109 Shifting 9th」と題して、プリセット・プログラム「109 Shifting 9th」のパラメーターを分析しました。
実際はLFOによりコントロールしているパラメーターが多いので、1つ1つのキャリアの音の変化を確認しないと効果がわかりませんね。
タイトルの9thの意味は持続音を弾くことでわかるようになります。
持続音を弾くとLFOにより5thと9thの音が交互にあらわれます。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 038 Metaklav」と題して、プリセット・プログラム「038 Metaklav」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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