みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 127 Inspirational Story」と題して、プリセット・プログラム「127 Inspirational Story」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
もう使われているようなキャッチーな音。
しかも低音側と高音側でイメージが違っていて全キーではないが両方使える。
高音側は透明感がありながら突き刺さるような音。
中音あたりはバッキングで「ジュワジュワ」感のある音。
モジュレーション・ホイールでLEVELと明るさをコントロールするように設定されています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
★実験1のみレベルが高いため、LEVELを+4.0dB→0.0dBに変更して録音
音データ
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
実験1でPLAYしている間にモジュレーション・ホイールを動かします。
測定方法
アルペジエーターをLATCH ONにして、コードを弾きます。(ARPEGGIATERボタンを押し続けるとボタンが点滅すればLATCH ON[鍵盤から手を離しても音は鳴り続ける])
モジュレーション・ホイールを動かす。
音データ
実験3: OP3のMODE: FILTERを操作する
キャリアOP3のMODE: FILTERのパラメーターをバーチャル・パッチでピッチ・ホイールに割り当てて音の変化を確認します。
設定
V.PATCH4のSOURCEをCTRL-PITCH WHEEL+、DESTINATIONをOP3-FILTER CUTOFF、INTを+50.0に設定
V.PATCH5のSOURCEをCTRL-PITCH WHEEL-、DESTINATIONをOP3-FILTER RESO、INTを50に設定
測定方法
アルペジエーターをLATCH ONにして、コードを弾きます。(ARPEGGIATERボタンを押し続けるとボタンが点滅すればLATCH ON[鍵盤から手を離しても音は鳴り続ける])
ピッチ・ホイールを0→プラス→0→マイナスに動かす。
音データ
アルペジエーターで弾くと地平線に近い感じがする。
何か出てきそうな(笑)
実験4: 実験2と実験3の設定で音を変化させる
実験2と実験3の設定で適当にモジュレーション・ホイールとピッチ・ホイールを動かします。
測定方法
実験3の設定のまま、アルペジエーターをLATCH ONにして、コードを弾きます。(ARPEGGIATERボタンを押し続けるとボタンが点滅すればLATCH ON[鍵盤から手を離しても音は鳴り続ける])
モジュレーション・ホイールとピッチ・ホイールを適当に動かす。
音データ
遠近感と奥行きをコントローラーで操作したつもりなんだけれど...わかりにくかったかな?
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには13番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2のキャリア-モジュレーターの直列接続とOP3をキャリア、OP4~OP6をモジュレーターとしたY字接続の構成です。
OP1, OP2の直列接続では、OP2のLEVELが0で効果がありません。
OP1の波形にSINE 12BITを使用して、FEEDBACKを設定して倍音を増やした設定をしています。
OP2のLEVELを上げるとRATIOが20.8000なので、OP1へのFM変調として「ギンッ」といった高音域の音が加わります。
OP3~OP6のY字接続ではモジュレーターの波形にSAW HDを2つ、SQUAREの矩形波(WIDTHを調整)を使い、SAW HDを使用したOP4, OP6はDETUNE(ピッチの小さなずれ)を設定しています。
OP3のMODE: FILTERはOSC MIXが0なので、後段のOP4~OP6のモジュレーターからの入力信号に対してフィルターをかけるように設定されています。
これにより、スパイス的な揺れを持った音を作成しています。
FILTERはLPF POLY6を使用して、ベロシティによりEG2の時間的変化をコントロール、キー・トラックでカットオフ周波数を基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスにするように設定されています。
EG2はSUSTAIN LEVELが0でDECAY TIMEが160ms。CURVEが10なので急峻な減衰カーブが設定されていますので、ベロシティでアタック成分を瞬間的に増やすように設定されています。
これにより強く弾くとアタック時の高音域の音が増えています。
演奏表現手段はとしては、モジュレーション・ホイールでフィルターのカットオフ周波数とOP1のLEVEL、FEEDBACKを変化させるように設定されています。
これにより、モジュレーションホイールを動かすと粒立ちのはっきりした音でLEVELが上がります。
エフェクトは結構効いています。
FX1のCHORUSは中音域に厚みがかかるように深くかかっています。
FX2のREVERBはすっきりしたPLATEのリバーブです。
FX3のDELAY(BPM)はREVERBの後にかけられています。
ですのでREVERB音含めてDELAY(BPM)がかかっています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1-OP2は、OP2のLEVELが0%のため、OP1のWAVE: SINE 12BITの自己フィードバックの音が出力されています。
OP3-OP6はモジュレーターにSAW HD、SQUAREと違った波形でモジュレートするように設定されています。
キャリアのOP3のMODE: FILTERのパラメーターが初期値です。
これらを見ると、ユーザーに操作して欲しいといったプログラマーの想いが窺えます。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP4, OP6に対して、DETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP3に対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によるピッチの変化が設定されています。
OP-L MOD
OP1~OP3に対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によるレベルの変化が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が設定されています。
カットオフ周波数がEG2で時間的変化をするように設定されています。
カットオフ周波数がキー・トラックで基準キーをC4としてキーが低くなるほどマイナス、キーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1, EG2, EG3はRELEASE TIMEが少し短く設定されています。
EG2はDECAY TIMEが短く、CURVEが10と、急峻に減衰するカーブが設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化をベロシティでコントロールするように設定されています。
EG1, EG3はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.75Hzに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2, LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
LFO2, LFO3はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はREVERB、FX3はDELAY(BPM)が設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FILTERのCUTOFFをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP1のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: FM: FEEDBACKをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEが-1oct(1オクターブ下)に設定されています。
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 127 Inspirational Story」と題して、プリセット・プログラム「127 Inspirational Story」のパラメーターを分析しました。
いやぁ、キャッチーな音ですね。
既にCMとかジングルで使われていそう。
そんなに難しい設定をしているわけではないのですが、ベロシティやコントローラーを使っていろいろな表現ができるように設定されています。
モジュレーターOP2のLEVELが0なのですが、上げると「ギンギン」といったアタック音が加わります。
いろんなところで使われてしまうと思いますので、音作りをしてオリジナリティを出して使ってほしいですね。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 017 Roads and Roads」と題して、プリセット・プログラム「017 Roads and Roads」のパラメーターを分析します
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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