みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 269 Arp Swirls」と題して、複数のオペレーターをフィードバックするALGO FBを使用したプリセット・プログラム「269 Arp Swirls」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
スペイシーな音です。
ALGO FBを使用してOP4~OP6間のフィードバックを設定しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
シーケンスのフレーズの中で音の時間的変化を作っているのがわかります。
実験2: モジュレーション・ホイールの効果
ARP:RESOを1/16→1/8に変更
アルペジエーターをONにしてA4を弾きながらモジュレーション・ホイールを0→最大→0に動かす。
音データ
モジュレーターOP6のMODE: EFFECTのCOMB FILTER: CUTOFFや、
モジュレーターOP5のPITCH、PROG MISC: ALGO FBをモジュレーション・ホイールで
不規則な変化を表現しています。
実験3: PROG MISC: ALGO FBを変化させる
このプログラムでは、OP4~OP6間に対してFEEDBACKがかけられています。
これにより、フレーズの中での音が変化するように設定されています。
ALGO FBパラメーターの変化で音がどのように変化するのか、実験します。
測定方法
ARP:RESOを1/16→1/8に変更
OP1をMODE: FILTER FMからMUTEに変更(OP1~OP3の出力信号をMUTE)
アルペジエーターをONにしてA4を弾きながらPROG MISC: ALGO FBを14%→100%に変化させる。
音データ
このプログラムは音の時間的変化をOP4~OP6で作っています。
PROG MISC: ALGO FBを14%→100%に変化させると不規則な効果が違ってきます。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズム04が使用されています。
2つのキャリアとモジュレーターの3段直列接続の組み合わせで、OP4~OP6の間でフィードバック可能な設定です。
OP3はMODE: BYPASSとなっており、効果はありません。
OP1とOP2で基本的な音を作って、OP4~OP6で揺れた音の部分を作っています。
OP6はMODE: FILTER FMなのですが、後段がない...
OP6のCUTOFFパラメーターは、バーチャルパッチでコントロールしていますね。
その他バーチャルパッチの設定が12個とフルで使われています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
OP1~OP3はアタック時の効果を出すために短い時間で減衰をするように設定されています。
OP4~OP5は長い時間をかけて減衰するように設定されています。
でも90秒って長すぎません(笑)
鍵盤から指を離して聴感上は音がしていなくても音がずっとなっている状態を90秒間保持している状態です。
何か意味があるのかなぁ。
opsix nativeで確認すると、一度弾いて音がしなくても波形が表示されてきませんよ。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
OP-L MODでは、OP3、OP4を除くオペレーターのベロシティの変化量が設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはENABLEがOFFです。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はバーチャル・パッチでOP1, OP6のMODE: FILTERのCUTOFFに時間的変化を与えるように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがOFF(LFOの位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.66Hzに設定されています。
LFO1はバーチャルパッチでOP6のMODE: FILTERのCUTOFFの値を変化するように設定されています。
LFO2は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがOFF(LFOの位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.22Hzに設定されています。
LFO2はバーチャルパッチでOP4のMODE: EFFECTのPHASERのFREQパラメーターの値を変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEがSAMPLE&HOLD、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.51Hzに設定されています。
LFO3はOP5のCOARSE RATIOの値を変化するように設定されています。
EFFECT
以下の3つのエフェクトにより、音のキャラクターを演出しています。
なので、残響感はオペレーター側で作っていますね。
これがFM音源であるopsixの面白いところです。
- FX1に設定されたCHORUSで、音の厚みを調整しています。
- FX1に設定されたアーリー・リフレクションで、明るさとうねりを演出しています。
- FX3に設定されたMASTER LIMITERで、音圧をコントロールしています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP6のMODE: FILTERのCUTOFFの値をEG1で変化するようにして、その効果をベロシティでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH2は、OP6のMODE: FILTERのCUTOFFの値をLFO1で変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP4のMODE: EFFECTのPHASERのFREQパラメーターの値をLFO2により変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、ALGO FB(OP4~OP6のフィードバック)の値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP5のPITCHパラメーターの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定され、LFO1で効果をコントロールするように設定されています。
- V.PATCH6は、OP5のCOARSE RATIOの値をLFO3で変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をアフタータッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP1のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をEG1で変化するように設定され、その効果をベロシティでコントロールするように設定されています。
- V.PATCH9は、OP1のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をアフタータッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP1のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をEG1で変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP6のMODE: FILTER FMのCUTOFFの値をモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、PANの値をLFO3で変化するように設定されています。
MISC
OP4~OP6のフィードバックが14%に設定されています。
また、プログラム全体のアタック・タイムが-100.0%に設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 269 Arp Swirls」と題して、プリセット・プログラム「269 Arp Swirls」のパラメーターを分析しました。
長いフレーズの中で音の変化があると楽しくなってきます。
複数のオペレーターをまたがるフィードバックは、アルゴリズムを選択する際に決めていきますが、ALGO FBパラメーターが動くと音に不規則な変化が生まれます。
- OP6のSAW HDをMODE: FILTERかけた音を
- OP5のMODE: EFFECT: COMBでエフェクトし
- OP4のMODE: EFFECT: PHASERでエフェクトした音をOP6にフィードバックする
といった他では味わえない音作りをしています。
是非トライしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 270 ARP Flurry」と題して、キャリアにMODE: FILTERを使ったプリセット・プログラム「270 ARP Flurry」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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