みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 011 FM Vamp」と題して、キャリアのFREQUENCY MODEにFIXEDを使用したプリセット・プログラム「011 FM Vamp」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
FM変調の強いオルガンの音です。
キャリアのFREQUENCY MODEにFIXEDを使用して周期的な揺れを作り出しています。
キャリアのFREQUENCY MODEにFIXEDを使用した音作りについては以下のページで説明しています。
ご覧ください。
KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(6)
- キャリアに固定周波数設定のFIXEDを用いて実験
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押して1周します。
音データ
実験2: モジュレーション・ホイールの効果
測定方法
アルペジエーターをONにしてA3を弾きながらモジュレーション・ホイールを0→最大→0に動かす。
音データ
ピッチに対してLFOの周期的変化が得られるようになっています。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズム17が使用されています。
キャリア1つに対して3つのモジュレーターのY字接続、2組のモジュレーターは2段のモジュレーター構成となっています。
キャリアであるOP1、そしてモジュレーターのOP4にFIXEDが使われています。
DETUNEとキャリアのOP1にFIXEDで1.00Hzを置くことで、周期的な揺れを作り出しています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1のキャリアにFIXEDで1.00Hzを使用して音に1.00Hzの周期的な揺らぎを発生させています。
詳しくは「シンセサイザー KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(6)」をご覧ください。
OP-EG
OP6のアタック・タイムが長め、サスティン・レベルが100。
徐々に効いてくる設定です。
OP5、OP6のリリース・タイムが長くなっています。
鍵盤を鍵盤を離した後に変調の効果を持続させるためですね。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP-PITCHページでは、モジュレーターにDETUNEが設定されています。
OP-P MOD
OP-L MODページでは、OP1以外のオペレーターにベロシティが設定されています。
OP-KEY TRACK
OP-KEY TRACKページでは、基準キーより高いキーでマイナスのレベルとなるように設定されています。
OP6には、基準キーより低いキーに対してレベルがプラスになるように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがSINE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.69Hz、FADE(フェード・イン)が0.530s、PHASE(始まりの位相角度)が-180degに設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでプログラムのピッチの値をモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチに対して周期的変化をするように設定され、アフタータッチでコントロールさせるように設定されています。
EFFECT
2つのエフェクトにより、以下の効果が設定されています。
- FX1に設定されたCHORUSは、音の厚みを加えています。
- FX2に設定されたREVERBは、TYPEがHALLに設定され、少し広い空間に跳ね返りの速い残響音が演出されています。
ライブにはもってこいですね。 - FX3に設定されたREVERBは、レベルが0に設定されているので効果がありません。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラムのピッチの値をLFO1で変化させるように設定し、モジュレーション・ホイールを動かすことで効果が変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FILTERのCUTOFFパラメーターの値をアフタータッチでコントロールさせるように設定されています。
MISC
MISCページ・グループのパラメーターでは、INITプログラムから以下の項目が変更されています。
- LFO1のピッチへの効果としてLFO1 INTが0.08 semiに設定されています。
これは、LFO1 CTRL SRCでAftertouchが設定されているので、アフタータッチで効果の強弱を得られるようになっています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 011 FM Vamp」と題して、キャリアのFREQUENCY MODEにFIXEDを使用したプリセット・プログラム「011 FM Vamp」のパラメーターを分析しました。
このプログラムはキャリアにFIXEDを使った周期的な揺らぎを与えるFM音源のテクニックを使った典型的なプログラムとして紹介しました。
あまりエディットされていないので、ここから自分なりの音に仕上げていくには良いプログラムだと思います。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 035 Comb Dulcimer」と題して、2つの同じオペレーター構成(Y字接続)を使用したプリセット・プログラム「035 Comb Dulcimer」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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