みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 095 FM Wind Chime」と題して、プリセット・プログラム「095 FM Wind Chime」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
アタック時の「コツッ」という音の後に浮遊感のある持続音が続く音作りがされています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)で複雑な音の変化をするように設定されています。
V.PATCHの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
バーチャル・パッチで複雑な音の変化をするように設定されています。
シーケンサーのデータにはベロシティも複雑に記録されていて、同じキーでも違った音の質感が得られるように設定されています。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
持続音ではLFOによるピッチの揺れも設定されています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な音の変化が得られるように設定されています。
これを試してみます。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1フレーズごとにモジュレーション・ホイールを0→真ん中→最大→徐々に0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールのコントロールで幾つかのオペレーターのピッチを変化させたり、ATTACK TIMEやLFOのSPEEDが変わるのですが、シーケンサーのフレーズではわかりにくいです。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには06番のアルゴリズムが設定されています。
3つのキャリア-モジュレーターの直列接続といった構成です。
オペレーターの設定だけ見るとOP1-OP2の直列接続は複雑な音がするようには見えませんが、バーチャル・パッチで複雑な音の変化となるように設定されています。
OP1はバーチャル・パッチでFM: FEEDBACKをLFO1で変化させ、LEVELをベロシティで変化させています。
OP2はLEVELをLFO3で変化させています。
よって、OP2でFM変調のLEVELを、OP1では波形を違ったLFOで複雑に音が変化します。
そして、ベロシティで強く弾くとOP1のLEVELが下がる不思議な効果が設定されています。
OP3はOP3: EGにより、ゆっくり立ち上がった後に音が消える設定となっています。
OP4によるFM変調の変化はレベルが低いため変化がよく聞き取れませんでした。
OP5はモジュレーターであるOP6のRATIOが24.0000といった非常に高いピッチで変調された音です。
バーチャル・パッチでLFO2により周期のSPEEDを変化させたLFO3でOP6のピッチを変化させているので、弾くたびに音が変わります。
また、バーチャル・パッチでキャリアであるOP5のATTACK TIME、DECAY TIMEがベロシティで変化するように設定されています。
上記より音程はあるけれど、複雑な音の変化が味わえる音作りがされています。
その他の演奏表現として、モジュレーション・ホイールを動かすとピッチが高くなったり、場所によっては音程感が出てきたり...
ピッチベンドは±1オクターブに設定されています。
エフェクターはFX1は広がりを持たせるAUTO PAN、FX2はOFF、FX3はすっきりとした残響音のSHIMMER REVERBが設定されています。
DX-7では味わえないopsixならではの音作りがされています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1-OP2は、持続音となった時の揺れた音
OP2のMODE: RING MOD.は後段のオペレーターがないので、リング・モジュレーターの機能は効果がありません。OP2はオシレーターの信号のみがOP1に送られます。
OP3-OP4は、ゆっくりと立ち上がって消える音
OP5-OP6は、キーが定まらない高音域の音を演出しています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP4に対してDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP2, OP4に対してEG1で時間的変化するように設定され、アフター・タッチでコントロールするように設定されています。
OP-L MOD
OP5に対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によるレベルの変化が設定されています。
OP1はLFO1で周期的変化をするように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が設定されています。
カットオフ周波数がEG2で時間的変化をするように設定されています。
カットオフ周波数がキー・トラックで基準キーをC4としてキーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG1はOP2, OP4に対して時間的変化するように設定され、アフター・タッチでコントロールするように設定されています。
EG2はDECAY TIMEが非常に短く設定され、SUSTAIN LEVELが63、RELEASE TIMEが長く設定されています。
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.24Hzに設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP1に対してLEVELの周期的変化をするように設定されています。
LFO1はOP1のバーチャル・パッチでMODE: FM: FEEDBACK、プログラムのPITCHを周期的変化するように設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチでジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
LFO2は、WAVEにSAMPLE&HOLDが設定されて、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.40Hzに設定されています。
LFO2はバーチャル・パッチでLFO3のSPEEDを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにEXP. SAW UPが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.68Hz、PHASE(位相)が91deg(91度のところから始まる)に設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP2のLEVELを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はAUTO PAN、FX2はOFF、FX3はSHIMMER REVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のLEVELをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、LFO3のSPEEDをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: FM: FEEDBACKをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP6のPITCHをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP5のDECAY TIMEを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP1のLEVELを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP5のATTACK TIMEを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、LFO1のSPEEDをジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP1のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP5のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP6のATTACK TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、プログラムのPITCHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
MISC
ピッチ・ベンドの値を±12semi(上下1オクターブ)に設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 095 FM Wind Chime」と題して、プリセット・プログラム「095 FM Wind Chime」のパラメーターを分析しました。
バーチャル・パッチでLFOで別のLFOのSPEEDに変化を与えたり、アタック時の音と持続音で印象がガラッと変えていたり、ベロシティやモジュレーション・ホイールで様々なパラメーターをコントロールしていたり...パラメーターのデータを確認することで、この音をどのように使用していこうか想像が膨らんでいきます。
音だけで感じて使うのとはまた違った音の使い方ができてくると思います。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 122 Franalog」と題して、プリセット・プログラム「122 Franalog」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント