みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 017 Roads and Roads」と題して、プリセット・プログラム「017 Roads and Roads」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
プリセット名の通り、FENDER ROADSのエレピのような音です。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
エレピによく合うフレーズ!
シンセサイザー好きでもキーボードを弾けない私にはプリセットごとにシーケンス・データがあるのは助かります。
実験2: モジュレーターOP2のMODE: FM: WIDTHを変更して雑味を加える
アタック時の雑味(ノイズ)をもう少し足したい場合、モジュレーターOP2, OP3がアタック成分を加えていますので、WIDTHを変更して波形に変化を与えます。
WIDTHパラメーターはFEEDBACKとは違って値による周波数成分の変化が少ないので扱いやすいです。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
OP2のMODE: FM: WIDTHをOFF→0%→OFFとノブを操作して変更する。
音データ
微妙に変化していきます。
自分の好きな値で設定したり、コントローラーに割り当てて気分で調整できるようにするのも良いですね。
実験3: モジュレーターOP3のMODE: FM: WIDTHを変更して雑味を加える
今度はモジュレーターOP3のWIDTHを変更して波形に変化を与えます。
OP2と違った変化があります。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
OP3のMODE: FM: WIDTHをOFF→0%→OFFとノブを操作して変更する。
音データ
こちらは高音域とアタック成分が変化しますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには03番のアルゴリズムが設定されています。
OP1~OP3、OP4~OP6の2つの3段直列接続の構成です。
OP1~OP3でベロシティ(鍵盤を弾く強さ)でレベルが上がるように設定されています。
OP1にMODE: FILTERが設定されていてOSC MIXが0なので、後段のOP2, OP3で作成された入力信号にフィルターをかけています。OP2, OP3は典型的なFM変調した音です。
OP2, OP3はRATIOが1.0000同士の変調で、幹となる音を作成しています。
MODE: FILTERのパラメーターは初期値なので、CUTOFFを上げれば明るい音になります。
OP4~OP6で高音域の成分の音を作っています。
モジュレーターのOP5のRATIOを8.0000にしてコロコロとした共鳴音が美しい音を演出しています。
OP5のRATIOの設定を変えると雰囲気が変わりますよ。
FILTERはLPF12が設定されていますが、CUTOFFが最大値です。
キー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されているので、C4より低いキーでカットオフ周波数を下げる効果が設定されています。
薄いCHORUSをかけて、短いDELAYを加えた後、EARLY REFLECTIONで音像の周辺に響くように設定されています。
エフェクトは味付け程度の設定です。
演奏表現の設定として、モジュレーション・ホイールを上げるとCHORUSのLEVELとPAN(定位を左右に振る)をLFO3で周期的に変化させるように設定されています。
あと、アフター・タッチでプログラム全体のレベルを上げる効果が設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1~OP3で幹となる音を作成しています。
OP1のFILTERのパラメーターは初期値のままですので、ユーザー側がアレンジして欲しいというプログラマーの想いが伝わります。
OP4~OP6はエレピのころころっとした高域の成分を演出しています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP1に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によるピッチの変化が設定されています。
OP-L MOD
OP1~OP4に対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
すべてのオペレーターで、基準キーをC2として高いキーになるほどレベルが低くなるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用されています。
キー・トラックにてカットオフ周波数が基準キーC5に対して、キーが低くなるほどマイナスに、キーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1, EG2のRELEASE TIMEが少し短めに設定されています。
EG1~EG3はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.50Hzに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hz、に設定されています。
LFO2はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが3.20Hzに設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでプログラムのPAN(定位の左右への揺れ)を周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はDELAY(BPM)、FX3はEARLY REFLECTIONが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラムのPAN(定位の左右への揺れ)をLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FX1のCHORUSのDRY:WET MIXをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、プログラムのLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 017 Roads and Roads」と題して、プリセット・プログラム「017 Roads and Roads」のパラメーターを分析しました。
実験ではモジュレーターOP2, OP3のMODE: FM: WIDTHを変化させてみましたが、他にも操作してみたいパラメーターはありますね。
例えば、以下のようなパラメーターです。
- OP1のMODE: FILTERの設定
- エフェクトの深さ
- OP5のRATIO
- OP1とOP4のレベルのバランス
効果がわかりやすいパラメーターだと思いますので、是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 302 Hardgroove」と題して、プリセット・プログラム「302 Hardgroove」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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