みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 043 Pulse Clav」と題して、プリセット・プログラム「043 Pulse Clav」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
みょんみょんとFILTERによる変化が設定されたクラビネットの音です。
オペレーターを2つだけ使用してFILTERで音作りをしている、opsixではシンプルな音作りです。
FILTERのカットオフ周波数にEG2の時間的変化が与えられています。
FILTERの機能については以下のページから3ページにかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
FILTERのカットオフ周波数にEG2の時間的変化が与えられています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
V.PATCH1でモジュレーション・ホイールを動かすことによってOP1のMODE: FM: WIDTHが変化するように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
波形を変化させるシンプルなコントロールですが、「コーッ」といったロータリースピーカーの床板を打ち鳴らすような音が中域にあらわれます。
実験3: エフェクトを変えてみる
FX1とFX3に同じパラメーターの値のREVERBが設定されています。
効果が薄いので、少しうねりと音に味付けを加えてみます。
設定方法
FX1のREVERBをFLANGER(BPM)に変えてうねりを出します。
FX1: REVERB→FLANGER(BPM)
MIX: 30、DEPTH: 50、SPEED: 1/4、FDBK:-50
FX3: REVERB
MIX: 25、TYPE: WET ROOM、TIME: 800ms、TONE: 13000Hz
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
FLANGER(BPM)のうねりは今となってはすっきり感がありますね。
昔のアナログのFLANGERはもっとモコモコしていたもんな。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには01番のアルゴリズムが設定されています。
OP3~OP6はMUTEされていますので、キャリアOP1とモジュレーターOP2の直列接続といった構成です。
キャリアのOP1は波形にSQUARE HDを使用して、WIDTHを調整してパルス幅を変化させています。
これにモジュレーターのOP2の波形がSINE 12BITを使用して、FM変調しています。
モジュレーターのOP2側にベロシティが設定され、強く弾くことでFM変調のレベルを上げています。
どちらのオペレーターも基準キーより高いキーになるほどレベルが下がるように設定されています。
FILTERはLPF24を使用してベロシティでEG1の時間的変化を付けるようにしてアタック時の雑味を作っています。
フィルターのキー・トラックでカットオフ周波数に対して基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
エフェクターはLFO FILTERが効いています。
LFO FILTERを効かせるために、前段のFX1でREVERBが置かれています。
多分周波数成分をREVERBで増やして、LFO FILTERが効きやすくしていると思われます。
FX3のREVERBはFX1と同じ設定なので消し忘れ...かもしれません。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP1のMODE: FMのWAVE: WIDTH、プログラム全体のLEVELを上げるようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、ベロシティでOP2のLEVELを上げてFM変調を深くするようにバーチャル・パッチで設定されています。
このプログラムの一番の特徴は、PHASERとかではなく、LFO FILTERで効果を出している点にあります。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアOP1の波形(WAVE)をSQUARE HDにして、OP2のモジュレーターによるFM変調です。
OP3~OP6はMUTEされています。
OP-EG
キャリアのOP1は、DECAY/RELEASE TIMEが短めです。
モジュレーターのOP2は、SUSTAIN LEVELが100で、鍵盤を押している時はレベルが変わらないように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
OP1, OP2は鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1, OP2は基準キーから高いキーになるほどレベルがマイナスに変化するように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF24が設定されています。
カットオフ周波数がEG2により時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によって変化量をコントロールするように設定されています。
カットオフ周波数が基準キーC4に対して低いキーになるにつれてマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1~EG3はRELEASE TIMEがINITプログラムより少し短く設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数が時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によって変化量をコントロールするように設定されています。
EG3はバーチャル・パッチでOP2のLEVELを時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)により変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hz、に設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHによりピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hz、に設定されています。
EFFECT
FX1はREVERB、FX2はLFO FILTER、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のMODE: FMのWAVE: WIDTHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、プログラム全体のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP2のLEVELをEG3で時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)により変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに-1oct(1オクターブ下)が設定されています。
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 043 Pulse Clav」と題して、プリセット・プログラム「043 Pulse Clav」のパラメーターを分析しました。
オペレーターを2つだけ使用してFILTERで音作りをしている、opsixではシンプルな音作りです。
4段のキャリア-モジュレーターは使われていないので、他のプログラムを参考にして設定するのもアリだと思います。
実験ではエフェクトをREVERB→FLANGERにしてみました。
REVERBが2つ設定してあって、「ならば一つを他のエフェクターにしちゃおう」とパラメーターを操作しました。
細かいところですが、モジュレーション・ホイールでOP1のMODE: FM: WIDTHをコントロールするように設定されていますが、それに伴うLEVELの変化に対して補正されています。
ここら辺がプロのプログラマーの音作りだなと感じますね。
皆さんも音作りにチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 045 DrawSlider Organ」と題して、プリセット・プログラム「045 DrawSlider Organ」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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