みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 072 Crystal Syn Bell」と題して、プリセット・プログラム「072 Crystal Syn Bell」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
BELLやクリスタル・ガラスを鳴らしたような音に残響系のエフェクトを深めにかけています。
非整数倍音を多くするためにモジュレーターのRATIOに整数でない値が設定されています。
EFFECTで心地よい残響感を演出していて、実験ではEFECTによりどのような音作りがされているか確認しました。
FM音源の基本機能については以下のページから10ページにわたって説明しています。
EFFECTについては以下のページから各エフェクトの機能を実験をしながら説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
非整数倍音を多く含んだBELLの音がしますね。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチによりモジュレーション・ホイールを動かすことによってOP1, OP3のPITCHが変化するように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
モジュレーション・ホイールを最大にする。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
演奏の途中にピッチが動くように変更するのではなく、曲中のパートでの印象を変えるようにしているのだと思います。
他にコントロールできるスイッチとかノブがあればそちらに割り当てると思いますが...ねぇ。
実験3: エフェクトをON/OFFする
すべてのエフェクトをOFFにしてFX1から順にONにして、エフェクトの効果を確認します。
測定方法
すべてのエフェクトをOFFにする
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1フレーズ目: エフェクターがすべてOFF
2フレーズ目: FX1: UNISON ENSEMBLEをON
3フレーズ目: FX2: DELAYをON
4フレーズ目: FX3: REVERBをON
音データ
エフェクトで心地よく演出されています。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには05番のアルゴリズムが設定されています。
3つのキャリア-モジュレーターの直列接続といった構成です。
違いは各オペレーターのRATIOです。
OP1-OP2は2:12、OP3-OP4は2:8.46、OP5-OP6は4:16.92と整数でないRATIO比にすることで、複雑な倍音を作り出しています。
OP1-OP2は、幹となる音。
OP3-OP4はノイズの混じったアタック部分。
OP5-OP6は高音域の音。
と、役割を決めて音作りを行っています。
各オペレーターにはLFOやベロシティによりピッチやレベルの小さいずれが生じるように設定されています。
キー・トラックでレベルが基準キーをC3として、低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
フィルターはオフです。
エフェクターはUNISON ENSEMBLEでVOICESが6と厚みを増しています。
DELAYの深さは普通、REVERBはTYPEにL HALL(ラージ・ホール)を設定して広い空間の残響を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP1, OP3のPITCHが変化するように設定されています。
また、アフター・タッチでUNISON ENSEMBLEのDRY:WET MIX、DEPTHが変化するように設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
MODE: FMによるFM変調で音が作成されています。
OP1-OP2で幹となる音成分、OP3-OP4でアタック成分、OP5-OP6で高域の成分が作られています。
OP-EG
OP3以外はDECAY/RELEASE TIMEが長く設定されています。
OP3はSUSTAIN LEVELも小さく、アタック成分を作っています。
全オペレーターに対してCURVEが10と減衰が急峻になるように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP2, OP6に対してLFOによるピッチの周期的変化が設定されています。
OP-L MOD
全オペレーターに対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でレベルをコントロールするように設定されています。
OP2, OP4~OP6に対して、LFO1で周期的変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
全オペレーターに対して基準キーをC3として高いキーへの変化量の設定がされています。
FILTER
FILTERはOFFです。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECAY TIMEが短く設定されて、CURVEが10と急峻な減衰となるように設定されています。
EG1を含めてEGはパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.17Hzが設定されています。
LFO1はOP-L MODでOP2, OP4~OP6のLEVELに対して周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はUNISON ENSEMBLE、FX2はDELAY、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のPITCHをジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP3のPITCHをジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、FX1のUNISON ENSEMBLEのDRY:WET MIXをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、FX1のUNISON ENSEMBLEのDEPTHをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEが-1oct(1オクターブ下)に設定されています。
ALGORITHM FB(FEEDBACK)が71%に設定されていて、対象のオペレーターはOP6です。
LOFIが設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 072 Crystal Syn Bell」と題して、プリセット・プログラム「072 Crystal Syn Bell」のパラメーターを分析しました。
内蔵エフェクトまで含めてエディットできる今のシンセサイザーは良いですね。
opsixではエフェクトのパラメーターをバーチャル・パッチで,コントロールすることができるので、非常に魅力的です。
また、残響系はステレオで処理されていますので、外部エフェクトで仕上げるとなると結構大変ですので内蔵エフェクトも含めて積極的に音作りをしていきましょう。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 073 Maverick Bells」と題して、プリセット・プログラム「073 Maverick Bells」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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