みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 079 Crystal Bells」と題して、プリセット・プログラム「079 Crystal Bells」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
小さめのクリスタル・ベルの音です。
アルペジエーターを使用してテンポに合わせることでスペーシーでインパクトのある音となっています。
オペレーターのEG: CURVEが10(最大)と急峻に減衰されるように設定されています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)でモジュレーション・ホイールを動かすことで、エフェクトのパラメーター値やフィルター、FM: FEEDBACKのパラメーターに変化を与えるようにしています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)の機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
元の音よりもエコーやリバーブ等での空間の広がりの音が大きいですね。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールには波形、ピッチ、フィルターのパラメーター、エフェクト音のレベルの変化が割り当てられていて、動かすとよりスペーシーな空間が演出されています。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには01番のアルゴリズムが設定されています。
OP3~OP6はLEVELが0で使われていません。
よってOP1, OP2の直列接続です。
アルゴリズム1を使用していますが、OP3~OP6はLEVELが0で、実質キャリアのOP1とモジュレーターのOP2の直列接続の構成です。
キャリアとモジュレーターのRATIO比は1:9でキャリアOP1がMODE: FMを使用してFM変調で音を作っています。
アルペジエーターによりキーを押すと弾いた順番に4オクターブの音が順次なるように設定されています。
OP2のPITCHにDETUNEによりピッチが少しずれるように設定されています。
ベロシティにより音の強弱が変化するように設定されています。
ベロシティによりOP1のLEVELをEG2で時間的変化を加えるようにバーチャル・パッチで設定されています。
キー・トラックで基準キーをC2として高いキーになるほどレベルが下がるように設定されています。
FILTERはLPF12を使用して、CUTOFFが最大なため、キー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどCUTOFFがマイナスになるように設定されています。
エフェクターはSHIMMER REVERBで深い海のようなこもった残響を加えて、DELAYを深めに設定し、最後にCHORUSでくすんだ音に仕上げています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP2のPITCH、OP1のFEEDBACK、FILTERのCUTOFF、SHIMMER REVERBのREVERB TIME/REVERB LEVELが変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、OP2のCOARSE RATIOとLEVELをアフター・タッチでコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP3~OP6はLEVELが0で使われていません。
よってOP1, OP2の直列接続です。
アルペジエーターを使って、4オクターブの音を鳴らしています。
OP-EG
キャリアのOP1のATTACK TIMEがほんの少し時間がかかるように設定されています。
OP1, OP2ともにDECAY/RELEASE TIMEが長く設定されています。
CURVEが10と急峻に減衰されるように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2に対して、DETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-L MOD
OP1, OP2に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1, OP2は基準キーC2として高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用されています。
カットオフ周波数は基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスとなるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2のDECAY TIMEが0.050sと短く設定されています。
EG2はバーチャル・パッチでOP2のLEVELを時間的変化するように設定されています。
EG1~EG3のRELEASE TIMEが0.050sと少し短く設定されています。
EG2, EG3はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO
LFO1, 2, 3は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
LFOはパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
EFFECT
FX1は、SHIMMER REVERB、FX2はDELAY(BPM)、FX3はCHORUSが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のLEVELをEG2で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP2のPITCHをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のMODE: FMのFEEDBACKをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、FILTERのCUTOFFをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、FX1のSHIMMER REVERBのREVERB TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、FX1のSHIMMER REVERBのREVERB LEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP2のCOARSE RATIOをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP2のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
ARP、SEQ
アルペジエーターが使用されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 079 Crystal Bells」と題して、プリセット・プログラム「079 Crystal Bells」のパラメーターを分析しました。
FM変調で雑味をもった波形によってエフェクトがより効果的に演出されていますね。
モジュレーション・ホイールによりピッチの変化を与えることによりスペーシーさを増しています。
元の音は2つのオペレーターで構成された音なので、変化の与え方で勝負したプログラムです。
KORGのバーチャル・パッチ機能が活かされた音。
イメージに見合った音作りが重要だと感じます。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 108 Spinners」と題して、プリセット・プログラム「108 Spinners」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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