みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 173 Star Pad」と題して、プリセット・プログラム「173 Star Pad」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
吸い込まれそうなゆったりした音でエフェクターで深めな残響にして浮遊感を出しています。
3つのキャリア音の立ち上がり(ATTACK TIME)が1秒程度、離鍵してから減衰するまで4秒とゆったり、CURVEが10と急峻な減衰をする設定となっています。
EGの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
この浮遊感。
エフェクターが深めでも負けない音です。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによってFILTERのCUTOFFとRESONANCE、LEVELが0%のOP6のLEVELをコントロールするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
何かが襲ってくるような感じに仕上がっています。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには06番のアルゴリズムが設定されています。
3つのキャリア-モジュレーターの直列接続といった構成です。
エンベロープはモジュレーターがATTACK TIMEが0ms、SUSTAIN LEVELが0の弾いている間はレベル変化なしでRELEASE TIMEが1msで鍵盤を離すとレベルが0になる形。
キャリアはATTACK TIMEが約1秒と長く、SUSTAIN LEVELになるまでの時間DECAY TIMEが約1秒。SUSTAIN LEVELが70でRELEASE TIMEが4秒。
キャリアOP1-モジュレーターOP2ではキャリアとモジュレーターのRATIO比は6:9。
OP1はMODE: FM、OP2はMODE: FILTER FMを使用。
波形はOP1がSAW HD、OP2がSAWを使用。
OP2はMODE: FILTER FMを使用していますが後段のオペレーターがないのでOP2自身のオシレーターにフィルターをかけてOP1へ信号を送ります。
フィルターはLPFを使用しています。
OP1はOP2からの入力信号によりオシレーターを変調します。
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キャリアOP3-モジュレーターOP4ではキャリアとモジュレーターのRATIO比は6:12。
OP3はMODE: FM、OP4はMODE: FILTER FMを使用。
波形はOP3がADDITIVE SAW3、OP4がNOISE S/Hを使用。
OP4はMODE: FILTER FMを使用していますが後段のオペレーターがないのでOP4自身のオシレーターにフィルターをかけてOP3へ信号を送ります。
フィルターはHPFを使用しています。
OP3はOP4からの入力信号によりオシレーターを変調します。
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キャリアOP5-モジュレーターOP6ではキャリアとモジュレーターのRATIO比は2:1。
OP5, OP6はMODE: FMを使用。
波形はOP3がADDITIVE SQR3、OP4がSINEを使用。
OP6LEVELが0ですが、モジュレーション・ホイールを動かすことでLEVELが変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
OP5はOP6からの入力信号によりオシレーターを変調します。
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OP-PITCHでOP1とOP3にDETUNEが設定されています。
各オペレーターのキー・トラックが設定されていて、
キャリアOP1, OP3, OP5は基準キーをC4として低いキーになるほどプラス、高いキーになるほどマイナスのレベルになるように設定されています
モジュレーターOP2, OP4, OP6は基準キーをC3として高いキーになるほどマイナスのレベルになるように設定されています。
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FILTERはLPF12が設定され、カットオフ周波数、レゾナンスが設定されています。
カットオフ周波数に対してEG2による時間的変化も設定され、キー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
エフェクターは、UNISON ENSEMBLEはVOICESが4と厚く設定、DELAY(BPM)は音に馴染むように設定、REVERBは深めにかかっています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでFILTERのCUTOFF、RESONANCE、OP6のLEVELを変化させるようにバーチャル・パッチでCC1+(モジュレーション・ホイール)として設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
このプログラムはオペレーターごとに違った波形(WAVE)が設定されています。
また、RATIOが高いのも特徴の一つです。
OP2, OP4にMODE: FILTER FMが設定されていますが、後段のモジュレーターがないため入力される信号がないため、フィルターとして機能します。
OP6は後述のバーチャルパッチにてモジュレーション・ホイールでLEVELをコントロールするように設定されています。
OP-EG
キャリアのOP1, OP3, OP5に対して立ち上がりがゆっくり、SUSTAIN LEVELが70で少し減衰、RELEASE TIMEが長く設定されています。
モジュレーターのOP2, OP4, OP6はSUSTAIN LEVELが100で立ち上がりから鍵盤を弾いている間はレベルが同じ、RELEASE TIMEは非常に短く設定されています。
全オペレーターにCURVEが10で、DECAY/RLEASE TIMEは急峻なカーブで減衰するように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP1, OP3はDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-KEY TRACK
全オペレーターに基準キーから低いキーになるほどプラスもしくは0、高いキーになるほどマイナスのレベルになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLFP12が使用されています。
カットオフ周波数はEG2による時間的変化するように設定されています。
カットオフ周波数は、基準キーをC4として、低いキーになるほどマイナスに、高いキーになるほどプラスに設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化するように設定されています。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hzに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHによりピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzに設定されています。
EFFECT
FX1はUNISON ENSEMBLE、FX2はDELAY(BPM)、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FILTERのCUTOFFをCC1 +(モジュレーション・ホイール)で変化するように設定されています。
- V.PATCH1は、FILTERのRESONANCEをCC1 +(モジュレーション・ホイール)で変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP6のLEVELをCC1 +(モジュレーション・ホイール)で変化するように設定されています。
MISC
TRANSPOSEが12semi(1オクターブ上)に設定されています。
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが10cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 173 Star Pad」と題して、プリセット・プログラム「173 Star Pad」のパラメーターを分析しました。
大抵のプログラムにはモジュレーション・ホイールを動かしたときの音の変化が設定されています。
プログラマーが音の変化でどのように演出したいのかが伺えます。
みなさんもパラメーター・データを確認しながらいろいろ試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 184 opsix Concrete」と題して、プリセット・プログラム「184 opsix Concrete」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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