みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 189 Pad Mod Fizz」と題して、プリセット・プログラム「189 Pad Mod Fizz」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
典型的なパッドの音です。
音の厚みの元はアルゴリズムには32番の単独のキャリアを6つ持つ構成で、6つのオペレーターのうちSQUARE HDを3つ、SAW HDを3つ使いPITCH: DETUNEで少しづつピッチをずらすことで実現させています。
時間的変化は各オペレーターで設定するのではなく、GLOBAL ATTACK TIME、GLOBAL DECAY/RELEASE TIMEで全体の立ち上がりと音の減衰を設定しています。
また、KORGが得意のバーチャル・パッチで音の深みをいろんなパラメーターにLFOの周期的変化を与えるように設定されています。
PITCH: DETUNEの機能については以下のページで説明しています。
GLOBAL ATTACK TIME、GLOBAL DECAY/RELEASE TIMEの機能については以下のページで説明しています。
バーチャル・パッチの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: GLOBAL ATTACK TIMEを0.0%にしてみる
このプログラムはオペレーターごとにATTACK TIMEを設定するのではなく、GLOBAL ATTACK TIMEで音の立ち上がりをゆっくりにしています。
測定方法
HOME/ALGOページからATKを70.0%→0.0%にする。
opsix nativeではMISC: GLOBAL ATKです。
LEVELが高いため、PROGRAM LEVELを-6.0dB→-12.0dBに変更。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
ATTACK TIMEによる音の変化で印象が変わりますね。
実験3: GLOBAL DECAY/RELEASE TIMEを0.0%にしてみる
このプログラムはオペレーターごとにDECAY TIMEを設定するのではなく、GLOBAL DECAY/RELEASE TIMEで音の減衰をゆっくりにしています。
測定方法
HOME/ALGOページからDECAYを75.0%→0.0%にする。
opsix nativeではMISC: GLOBAL DECAYです。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
DECAY/RELEASE TIMEで音が減衰する時間を早めると、スパッと音が切れるので、残響系のエフェクトの余韻だけが残る。
これもアリですよね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには32番のアルゴリズムが設定されています。
単独の6つのキャリアで構成されています。
GLOBAL ATTACK TIME、GLOBAL DECAY TIMEでゆったりとした立ち上がりと持続音までの減衰を設定しています。
各オペレーターのEGの設定はINITプログラムのままでした。
これにより各オペレーターの設定をしなくて済むので便利です。
6つのオペレーターのうち3つを矩形波(SQUARE HD)、3つをノコギリ波(SAW HD)を使用してそれぞれにDETUNEでピッチの小さなずれを生じさせて音に厚みを加えています。
そして音の厚みのためにバーチャル・パッチを使って、LFOを3つで周期を複雑にしてMODE: FM: WIDTHを変化させています。
きっちり正確なピッチで発音するFM音源で音の厚みを加える基本的な手法がとられています。
フィルターはLFO24が使われていて、キー・トラックで鍵盤の位置によるカットオフ周波数の位置を調整しています。
エフェクトは、TAPE ECHOで少し歪んだDELAYにして、すっきりしたSHIMMER REVERB、空間に広がりを与えるAUTO PAN(BPM)となっています。
演奏表現としては、モジュレーション・ホイールでフィルターにEG2、LFO2でカットオフ周波数を変化させています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
波形を2パターン使用して、各オペレーターのDETUNEの設定をずらすことで、厚みのある音に仕上げています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
全オペレーターはDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF24が設定されています。
カットオフ周波数がEG2で時間的変化をするように設定され、モジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
カットオフ周波数がLFO2で周期的変化をするように設定され、モジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
カットオフ周波数がキー・トラックで基準キーをC4としてキーが低くなるほどマイナス、キーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、SUSTAIN LEVELが100に設定されています。
EG2はFILTERでカットオフ周波数が時間的変化をするように設定され、モジュレーション・ホイールで変化量をコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.01Hzが設定されています。
LFO1はオペレーターのMODE: FM: WIDTHを周期的変化するように設定されています。
また、LFO2のSPEEDに対して周期的変化をするように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.21Hzが設定されています。
LFO2はFILTERのカットオフ周波数に対して周期的変化をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
また、バーチャル・パッチでLFO1, LFO3のSPEED、全体のピッチに周期的変化を与えるように設定されています。
LFO3は、WAVEにSINEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.01Hzが設定されています。
LFO3はLFO1, LFO2のSPEEDに周期的変化を与えるように設定されています。
EFFECT
FX1はTAPE RCHOで雑味のあるエコー感、FX2はSHIMMER REVERBですっきりした残響、FX3はAUTO PAN(BPM)でテンポに同期した定位が設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラム全体のPITCHをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP6のMODE: FM: WIDTHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、LFO2のSPEEDをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、LFO3のSPEEDをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、LFO1のSPEEDをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、LFO1のSPEEDをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP1のMODE: FM: WIDTHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP2のMODE: FM: WIDTHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP3のMODE: FM: WIDTHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP4のMODE: FM: WIDTHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP5のMODE: FM: WIDTHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、FX3のAUTO PAN(BPM)のDEPTHをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに-1oct(1オクターブ下)が設定されています。
LFO1によるピッチへの周期的変化が設定されています。
プログラム全体のATTACK TIME、DECAY/RELEASE TIMEが長く設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 189 Pad Mod Fizz」と題して、プリセット・プログラム「189 Pad Mod Fizz」のパラメーターを分析しました。
典型的なパッドの音なので、MODE: FMのパラメーター、RATIOを変えるだけでも音の印象が変わります。
KORGが得意のバーチャル・パッチで音の深みをいろんなパラメーターにLFOの周期的変化を与えるように設定されています。
今回試していませんが、モジュレーション・ホイールでFILTERのカットオフ周波数に対してLFO2の周期的変化、EG2の時間的変化を設定しています。
是非試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 250 Theremax」と題して、プリセット・プログラム「250 Theremax」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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