みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 230 Ven aqui ya」と題して、プリセット・プログラム「230 Ven aqui ya」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
アフリカの木を叩く打楽器のような音です。
同じプログラムの中でキーの高さでいろんな楽器の音が聴こえてくる、不思議なプログラムです。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
生々しいね、木を叩く音。
サイン波から作っているんだから凄いよ。
実験2: バーチャル・パッチの効果を確認する
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールとアフター・タッチにより音が変化するように設定されています。
どのように変化するのか確認します。
設定方法
バーチャル・パッチに設定したアフター・タッチの効果を確認するために、ピッチ・ホイールに割り当てます。
PROG-PITCHでPITCH BEND UP/DOWNを0にする。
V.PATCH3のSOURCEをPITCH WHEELに変更する。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
前半モジュレーション・ホイールを操作し、後半ピッチ・ホイールを操作してアフター・タッチの効果を確認します。
音データ
どちらもブーミーになっていきますが場所が違いますね。
実験3: プログラムをエディットする
シーケンサーの音に合うようなものを自分なりにエディットしてみました。
設定方法
プログラムからの変更点は以下の通りです。
OP3のWAVEをADDITIVE 12345、FEEDBACKを40%、RATIOを0.125、LEVELは100%(叩いているごつごつ感を加えてみた)
OP6のWAVEをSINE 12BIT、FEEDBACKを80%、LEVELを26に変更(3拍目の音に雑味を入れました)
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
分析してどこのパラメーターがどの効果を作っているのかがわかると2つのパラメーターでこのぐらい違った音になります。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには31番のアルゴリズムが設定されています。
OP5, OP6がキャリアとモジュレーターの直列接続になっていて、OP1~OP4はキャリアの構成です。
OP3, OP5, OP6はレベルが0なので、実際はOP1, OP2, OP4の音のみが鳴っています。
OP1では、MODE: RING MOD.を使用して波形がSINE、RATIOが0.0078。
後段のオペレーターがないのでリング・モジュレーターの機能は効果がありません。
RING MOD.: LEVELが50%なので、50%のオシレーターのレベルが出力されます。
波形がSINE低音域の成分のみのため聴感上ほとんど感じられません。
OP2では、MODE: FMが使用され、波形がSINE、RATIOが1.0000です。
キー・トラックで基準キーをC4として高いキーになるほどレベルがマイナスとなるように設定されています。
OP-EGによりアタック音のみの音となっています。
OP4では、MODE: FMが使用され、波形はSINE、RATIOが0.1250と低い設定となっています。
OP-EGで持続音となっています。
FILTERはLPF12が設定されていますが、INITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは、DELAY(BPM)で深めにエコーをかけ、COMPRESSORではモジュレーション・ホイールを動かすことでアタックと音圧が上がるように設定され、DISTORTIONでサイン波の音に歪みをかけて、空洞の木を叩いたような効果を出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでCOMPRESSORのDRY:WET MIX、DISTORTIONのDRIVEをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでOP4のMODE: FMのFEEDBACKをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1にMODE: RING MOD.が設定されていますが、モジュレーターがないのでリング・モジュレーターは機能していません。
そして、RING DEPTHが50%ですから、オシレーターの信号が50%となっています。
ということで、RATIOの違ったサイン波3つの組み合わせの音です。
そして、OP1のRATIOが0.0078はRATIO 1.0000の7オクターブ下で、OP1だけで聴いてみると音程より音圧が感じられるレベルです。
OP3もレベルは0%ですが、RATIOが0.0312はRATIO 1.0000の5オクターブ下。
サイン波ですし、知らぬうちに耳にこたえる音なので、気を付けてください。
よって、普通に弾くと、OP2のRATIO 1.0000とOP4のRATIO 0.1250の音が聴感上で感じられます。
OP-EG
OP LEVELが0でないオペレーターのうち、OP4がキャリアでSUSTAIN LEVELが60となっており、柱となっている音です。
OP1, OP2は減衰が速く、アタック音として機能しています。
OP1は音圧を感じるような音で、弾いた時の「こつんっ」とした音はOP2の音です。
OP5, OP6はレベルを上げることでFMのゴリゴリしたアタック音を加えることができます。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-KEY TRACK
高音域を弾いた時にOP2, OP6のレベルが下がるようにマイナスの値が設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
INITプログラムから変更はありませんでした。
EFFECT
FX1にDELAY(BPM)が設定されています。
FX2にCOMPRESSORが設定されていますが、パラメーターのDRY:WET MIXは0ですが、バーチャルパッチでモジュレーション・ホイールを動かすことで値が変化するように設定されています。
FX3にDISTORTIONが設定されています。
このDISTORTIONで音が作成されています。
FX3のDISTORTIONをOFFにするとサイン波の集まりの音がするだけです。
順番がDELAY(BPM)⇒COMPRESSOR⇒DISTORTIONなので、ディレイ音を含めてコンプレッサーをかけて、その音にディストーションをかける、といった順番です。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1, 2は、COMPRESSORのDRY:WET MIX、DISTORTIONのDRIVEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
※FX2のCOMPRESSORのパラメーター1は、Dry:Wet MIX、FX3のDISTORTIONのパラメーター1は、DRIVEです。 - V.PATCH3は、OP4のMODE: FMのFEEDBACKの値をアフタータッチで変化するように設定されています。
MISC
PROG PITCHでOCTAVEが-1octと、1オクターブ下の音にしています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 230 Ven aqui ya」と題して、プリセット・プログラム「230 Ven aqui ya」のパラメーターを分析しました。
このプログラムはサイン波をエフェクターのDISTORTIONで打楽器っぽい音にしている。
木を叩いた音はエグイです。
エコーは深めなので...夜かな(笑)
皆さんも音作りにチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 199 Simple PWM」と題して、プリセット・プログラム「199 Simple PWM」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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