みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「シンセサイザーの機能 フィルター:FILTER」について説明します。
microKORG XL+では2つのフィルターを持っていますが、基本構成を学ぶ上で「FILTER1」で説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
FILTER
シンセサイザーにおけるFILTERとは、「波形の、ある周波数帯域を減衰させるもの」です。
周波数帯域って?
周波数帯域?
オシレーターの時に登場した周波数スペクトルのイメージを参照しながら確認しましょう。
サイン波のラの音(A=220Hz)の周波数スペクトルが、こちらです。
他の周波数帯域でもレベルが上がっておりますが、ノイズによるものです。ご了承ください。
220Hzの音だけの音で、「ポ~っ」という、きれいな音がします。
雑味がないというか、純粋というか...(笑)
波形もきれいな波が描かれた波形です。
音はこちらです。
次にノコギリ波の周波数スペクトルがこちらです。
これはノコギリ波のラの音(A=220Hz)の周波数スペクトルです。
220Hzに基音があって、整数倍の周波数(440、660、880、1.1kHz...)と鳴っていることが確認できます。
この基音の整数倍の周波数のことを「倍音」といいます。
この左に低い音から右に高い音をあらわしています。
これを「周波数帯域」といいます。
ノコギリ波は220Hzといっても、多くの周波数の音が重なり合って音として鳴っています。
波形がこちらです(ノコギリの刃のようなので「ノコギリ波」)。
音はこちらです。
「ブ~っ」っていう、雑味のある音がします。
FILTERの役割
FILTERが「波形の、ある周波数帯域を減衰させるもの」ですから、この周波数帯域のある部分を少なくして、音を変化させる役割を持っています。
FILTERで音作りをすると、音の成分を少なくしていきますから、音は柔らかくなっていきます。
そこを踏まえて、OSCでの音作りをする必要があります。
さて、序章が長すぎたので、ここから本題です。
FILTERには、
- 減衰するFILTERのタイプ
- 周波数帯域のどこから減衰するか、その周波数の位置
※周波数を決めるのではなく、数値を入力しますので、音を聴いて決めます。 - どかから減衰するかを決めた周波数付近を共鳴(共振)させるレベル
このレベルを上げると独特な「みょーん」といった鼻をつまんだような「癖のある」音になり、シンセサイザーの特徴的な音を担っているパラメーターです。
といったパラメーターがあります。
FILTER1:BALANCE(TYPE)
microKORG XL+では、連続可変的にFILTERのタイプが変化するため、「BALANCE」というパラメーター名になっていますが、ここでは一般的なFILTERのタイプを説明します。
BALANCEに関しては、別途説明します。
LPF(Low Pass Filter)
つまみの位置が31~33になると、[LPF12]となります。
つまみの位置が0の時、[LPF24]となります。
LPFは従来のアナログ・シンセサイザーで基本的なFILTERです。
「Low Pass」、つまり低周波を通して高周波を減衰させるフィルターです。
microKORG XL+では、FILTER1には2つのLPFがあります。
LPF12とLPF24の違い
LPF12とLPF24の違いは、減衰させる周波数の位置(カットオフ周波数:後述)を決めて、そこからの減衰する周波数帯域幅が違います。
LPF12は減衰する周波数帯域の幅がなだらかです。
LPF24は減衰する周波数帯域の幅が狭く、より急峻に減衰します。
この減衰の具合が音にも影響します。
どちらが良い、ということではなく、どんな音を作りたいのかによって選択します。
HPF(High Pass Filter)
つまみの位置が63~65になると、[HPF]となります。
HPFは、LPFとは逆に高周波を通して低周波を減衰させるフィルターです。
減衰させる周波数の位置(カットオフ周波数:後述)を決めて、それより低い周波数を減衰させます。
BPF(Band Pass Filter)
つまみの位置が95~97になると、[BPF]となります。
BPFは、ある帯域幅だけ通して、その他の周波数帯域を減衰させるフィルターです。
カットオフ周波数(CUTOFF)
「CUTOFF」はどこの周波数から減衰させるかを決める周波数のポイントを設定します。
microKORG XL+では、0-127の設定ができますので、0が一番低い周波数、127が一番高い周波数となります。
レゾナンス(RESONANCE)
RESONANCEは、CUTOFF周波数付近の周波数成分を共鳴(共振)させるレベル
このレベルを上げると独特な「みょーん」といった鼻をつまんだような「癖のある」音になり、シンセサイザーの特徴的な音を担っているパラメーターです。
仕組みとしては、CUTOFF周波数付近のの周波数成分をフィードバックさせることで共鳴させています。
レベルを上げすぎるとハウリングと同じ効果となり、共鳴した音で音階が作られてしまうような効果も得られます。
まとめ
今回は「シンセサイザーの機能 フィルター:FILTER」について説明しました。
ここまで、フィルターに関する知識をまとめました。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は、「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(1)」について説明します。
実験して音で確認していきます。
では。
「フィルターの効果」では、パラメーターの値の変化により音や波形がどのように変わっていくか実験しました。お楽しみに。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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