みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
前述のページでフィルターに関する知識を説明しました。
ここからは、「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(1)」と題して、フィルターのタイプごとにその効果を確認していきましょう。
まずは、THRU(フィルターを通さない)と、LPFの「カットオフ周波数」です。
フィルターのかかっていない音データをまず聞いていただくため、[THRU]から説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
- FILTER1:BALANCE:THRU
- 実験(FILTER1:BALANCE:THRU)
- FILTER1:BALANCE:LPF12とLPF24
- 実験(LPFのCUTOFFの効果)
- まとめ
FILTER1:BALANCE:THRU
microKORG XL+は、FILTER1のBALANCEに[THRU]の値があります。
これは、FILTERを通さない(THRU:Through)設定ということです。
つまみの位置が127の時、[THRU]となります。
この設定にして、参考のためにPROGRAM [INITPROG]のノコギリ波の音データ、波形と周波数スペクトルを掲載します。
実験(FILTER1:BALANCE:THRU)
実験(FILTER1:BALANCE:THRU、CUTOFF:127、RESONANCE:0)
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[THRU]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を127に設定(変更なし)
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
波形
周波数スペクトル
結果として、フィルターをかけない状態(PROGRAM [INITPROG]の初期値の状態)と同じ音が得られました。
FILTER1:BALANCE:LPF12とLPF24
ノコギリ波がLPFの設定でどのように音が変化していくか、確認します。
LPF12とLPF24の音の違いも確認していきましょう。
LPFですから、高音域の周波数を減衰していきます。
実験(LPFのCUTOFFの効果)
まずは、LPFのCUTOFFの効果を確認しましょう。
LPFの場合、CUFOFFの値が大きいとカットオフ周波数のポイントが高音域ですのでフィルターによる効果が得られません。
CUTOFFの値が小さくなるにつれてカットオフ周波数のポイントが低音域側に移っていくので、フィルターの効果が深くなります。
「THRU」の時の音と聞き比べてみてください。
実験1-1(FILTER1:BALANCE:LPF12、CUTOFF:64、RESONANCE:0)
まずはCUTOFFの設定値による音の変化です。
ここでは、LPF12でCUTOFFを64にした時の波形と周波数スペクトルを見てみましょう。
CUTOFFを127から64にしたことで、高域の周波数成分が減衰しているはずです。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[LPF12]に設定(変更なし)
- 「FILTER1:CUTOFF」を64に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
音がこもってきましたね。
波形
少し波形がなまってきました。
周波数スペクトル
高い周波数が減衰されているのが確認できます。
実験1-2(FILTER1:BALANCE:LPF12、CUTOFF:32、RESONANCE:0)
では、CUTOFFの値を32にして、高域の周波数成分をもう少し減衰させてみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[LPF12]に設定(変更なし)
- 「FILTER1:CUTOFF」を32に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
一段と音がこもった感じになりました。
波形
ノコギリの刃がなくなってしまいました。
周波数スペクトル
CUTOFF:64に比べても、高域の周波数成分が少なくなったことが確認できます。
実験1-3(FILTER1:BALANCE:LPF12、CUTOFF:127→0)
では、LPF12でCUTOFFの設定値を127→0に変化したときの音はこんな感じです。
どんどん丸くなって、最後には音が出なくなりした。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[LPF12]に設定(変更なし)
- 「FILTER1:CUTOFF」を127に設定(変更なし)
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾きながら、「FILTER1:CUTOFF」を127→0に変化させて、音を確認する
音データ
カットオフ周波数の値を下げていくと、どんどん高域側の周波数成分がろ過されて、丸い音になっていくのが確認できました。
実験2-1(FILTER1:BALANCE:LPF24、CUTOFF:64、RESONANCE:0)
では、今度はLPF24のCUTOFFのパラメーターの変化で音がどのように変わるのか、確認していきましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[LPF24]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を64に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
LPF12よりも周波数成分が減衰していて、音がこもってますね。
波形
LPF12より若干波形の立ち上がりが若干緩やかになっていますが、わかりますか?
周波数スペクトル
LPF12に比べて減衰する角度が急であることがわかります。
実験2-2(FILTER1:BALANCE:LPF24、CUTOFF:32、RESONANCE:0)
LPF12の時と同じく、CUTOFFの値を32にして、高域の周波数成分をもう少し減衰させてみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[LPF24]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を32に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
波形
LPF12の時より波形がさらに丸くなりました。
周波数スペクトル
LPF12の時より更に周波数成分が急に減衰されていることがわかります。
実験2-3(FILTER1:BALANCE:LPF24、CUTOFF:127→0)
では、LPF24でもCUTOFFを127→0に変化させた音を聴いてみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[LPF24]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を127に設定(変更なし)
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾きながら、「FILTER1:CUTOFF」を127→0に変化させて、音を確認する
音データ
LPF12と比較して、、、手動で操作しているので変化の違いがわかりにくい(笑)
後は実戦で確認してみてください。
まとめ
今回は、「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(1)」と題してフィルターのTHRU(フィルター効果をスルーする)と、LPFのカットオフ周波数の実験まで説明しました。
カットオフ周波数の値による音の違い、LPF12とLPF24の音の変化の違いが分かっていただけたら幸いです。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(2)」としてLPFのレゾナンス効果を実験します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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