みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は、「シンセサイザーの機能 ポリフォニック化とステレオ化(3):VOICE ASSIGN、PAN」について説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
ボイス・アサイン
発音方法(ポリフォニック、モノフォニック、レガート)を設定します。
※microKORG XL+にはティンバーが2つ(シンセサイザーの音作りを2組持っている)ありますが、音作りをしているティンバー内の発音方法です。
パラメーターの説明
VOICE:VOICE ASSIGN
設定値:[MONO1, MONO2, POLY]
[INITPROG]の設定値:POLY
- MONO1: モノフォニックで発音します。1 回目に発音させた鍵盤を押したまま、2回目の発音以降はEGをリトリガーしません。レガート演奏するときに使用します。
- MONO2: モノフォニックで発音します。鍵盤を押して発音させるごとに、EG をリトリガーします。
- POLY: ポリフォニックで発音し、和音演奏が可能です。最大ボイス数は 8 音です。
実験(VOICE ASSIGN)
「VOICE ASSIGN」の設定値によりどのような変化があるのか、実験します。
実験1(VOICE ASSIGN:MONO1)
まず、「VOICE ASSIGN」を[MONO1]にして、その効果を確認しましょう。
A=220Hzの鍵盤を押し続けて、音を鳴らします。
次に、オクターブ上のA=440Hzの鍵盤を押すと、A=220Hzの音が消えてA=440Hzだけが鳴ります。
[MONO1]ですからモノフォニック=単音として、前に弾いた音は消えてしまいます。
そして、A=440Hzを離鍵すると、押し続けているA=220Hzの音が鳴り、A=440Hzの音は消えます。
この時、リトリガー(音が移動する際に、トリガーを発生させる)していますので、EGが再度機能します。
今回の[MONO1]では、リトリガーされないので、音のレベルがSUSTAIN LEVELのまま音の移動があります。
- 「AMP EG」の「ATTACK TIME」を上げておくと、リトリガーされている状況が音としてわかりやすいので、「AMP EG:ATTACK TIME」を64に設定します。
- 「AMP EG:SUSTAIN LEVEL」は80に設定
音データは[VOICE ASSIGN:MONO2]と比較しながら聞いてください。
[VOICE ASSIGN:MONO2]だと、音が移動する際にリトリガーするので、音の移動のたびに音がゆっくり立ち上がり、ATTACK TIMEの時間をかけて音量が最高となって、SUSTAIN LEVELまで音量が減衰します。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「VOICE ASSIGN」で[MONO1]を選択
- A=220Hzを弾き続けて、オクターブ上のA=440Hzの鍵盤を押す、離すを繰り返す。
音データ
[MONO1]だと2回目からリトリガーされない分、アタックタイムの立ち上がりがなくなります。
実験2(VOICE ASSIGN:MONO2)
今度は [VOICE ASSIGN:MONO2]の動作を実験してみましょう。
今回「AMP EG」の「ATTACK TIME」を上げておくと、リトリガーされている状況が音としてわかりやすいので、「AMP EG:ATTACK TIME」を64に設定します。
[VOICE ASSIGN:MONO2]は、音が移動する際にリトリガーするので、EGが機能します。
音の移動のたびに音がゆっくり立ち上がり、ATTACK TIMEの時間をかけて音量が最高となって、SUSTAIN LEVELまで音量が減衰します。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「VOICE ASSIGN」で[MONO2]を選択
- A=220Hzを弾き続けて、オクターブ上のA=440Hzの鍵盤を押す、離すを繰り返す。
音データ
[MONO2]だと毎回トリガーがかかるので、緩やかなアタック音が感じられます。
実験3(VOICE ASSIGN:POLY)
今度は [VOICE ASSIGN:POLY]の動作を実験してみましょう。
初期化されたPROGRAM [INITPROG]での設定値です。
A=220Hzを弾き続けて、オクターブ上のA=440Hzの鍵盤を押すと、両方の音が鳴ります。
実験ではA=220Hzを弾き続けて、オクターブ上のA=440Hzの鍵盤を押す、離すを繰り返しています。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「VOICE ASSIGN」で[POLY]を選択
- A=220Hzを弾き続けて、オクターブ上のA=440Hzの鍵盤を押す、離すを繰り返す。
音データ
A=440Hzの鍵盤を押したとき、A=220Hzと同時になっているのがわかります。
いかがでしたでしょうか?
ステレオ化
時代の流れでポリフォニック化が進み、エフェクターも搭載され、出力側の工夫も行われました。
より広がりを演出する効果を持たせるためステレオ化されました。
それまでは、一つの出力先しかありませんでした。
microKORG XL+では、ステレオ・アウトプットができる仕組みになっています。
ステレオ化したことにより、音の定位による音作りが可能になりました。
また、内蔵されたステレオ・エフェクターも効果を発揮しますよね。
AMP:PAN(パンポット)
「AMP」セクションに「PAN」パラメーターがあります。
これによって、出力先の定位を調節することができます。
microKORG XL+は1つのPROGRAMを作成する上でティンバーが2つ(シンセサイザーの音作りを2組持っている)ため、片方を右、片方を左に振り分けることもできます。
これにより、少しだけ違った音色を各ティンバーに作成して広がりを持たせたり、「SPRIT」といった機能により、発音する音域を分けることで、2種類の音をL,R別の出力先から音を出すこともできます。
パラメーターの説明
ティンバーのパンポット(音の定位)を設定します。L63 で最も左側、CNT で中央、R63 で最も右側に定位します。
AMP:PAN
設定値:[L63…CNT(CENTER)…R63]
[INITPROG]の設定値:CNT(CENTER)
実験(AMP:PAN)
では、「AMP:PAN」で定位を左右に移動してみましょう。
ステレオで聴かないと効果がわかりませんのでヘッドフォンで聴くことをお勧めします。
実験(AMP:PANで定位を移動させてみる)
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「AMP:PAN」を手動でCNT(CENTER)→R63→CNT(CENTER)→L63→CNT(CENTER)と値を変化させる
音データ
うるさいハエのように定位が動いていますね。
まとめ
今回は、「シンセサイザーの機能 ポリフォニック化とステレオ化(3):VOICE ASSIGN、PAN」について説明しました。
演奏する時や聞こえ方といった細かい部分の機能ですが、今までの音と違った表現が得られるようになりました。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は「シンセサイザーの機能 音の強弱:VELOCITY」について説明します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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