みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 121 Filtered Saws」と題して、プリセット・プログラム「121 Filtered Saws」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
6つのオペレーターでSAW(ノコギリ波)を使用しているのですが、OP-PITCHのDETUNEは設定されていません。
UNISON VOICESが4に設定し、エフェクターでCHORUSをして音を厚くしています。
EGによりFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化を与えて、「ジュワー」と音が変化しています。
VOICE: UNISONの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モーション・シーケンスでフレーズの後半にモジュレーション・ホイールの値が上がるようにデータを設定しています。
音データ
実験2: EG2のカーブを変更した時間的変化を確認する
このプログラムはFILTERのカットオフ周波数にEG2の時間的変化を与えることで音の変化を演出しています。
opsixではEGに「CURVE」というパラメーターがあり、DECAY/RELEASE TIMEでの減衰カーブを0~10の範囲で設定できます。
0が直線的、10が急峻に減衰するカーブです。
プログラムの設定が4なので、0, 4, 10の設定値で音の変化がどのように違うのか確認します。
測定方法
EG2のCURVEの値を0, 4, 10に設定してCコードを1回ずつ弾きます(1回8秒ぐらい)。
音データ
音の減衰時の変化の度合いが変わりました。
opsix独特のパラメーターです。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには32番のアルゴリズムが設定されています。
単独のキャリアが6つ並んだ構成です。
ノコギリ波(SAW)を6つのオペレーターで使っているけれど、OP: PITCH: DETUNEは設定していない...
厚みを加えているのは、エフェクターのCHORUSとVOICE: UNISON VOICESを4に設定している点です。
じゃあなんで6つも設定しているの?
モジュレーション・ホイールを操作すると「シュワシュワ」とLFO1による周期的変化があらわれます。
これがオペレーターごとに少し違った値で設定されています
長く弾くと「みゃーーぅ」と音が変わるのは、FILTERにEG2でカットオフ周波数を変化させるように設定されているためです。
EG2はDECAY TIMEとRELEASE TIMEを4秒程度と非常に長く設定しているためです。
音の変化の具合はCURVEを4にすることで実現しています。
このCURVEの値が違うだけでも印象が変わます。
エフェクターは、音の厚みを加えるCHORUS、TAPE ECHO、REVERBと典型的な使い方です。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
すべてのオペレーターで同じ値に設定されています。
後述するバーチャル・パッチでLFOによるフィルターのカットオフ周波数の変化で音が変化していきます。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP1, OP3, OP4, OP6でLFO1でピッチが時間的変化するように設定され、モジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
OP2, OP5はLFO1 INTが0.00semiのため効果がありません。
FILTER
FILTERはLPF12が設定されています。
カットオフ周波数がEG2で時間的変化をするように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、SUSTAIN LEVELが設定され、DECAY/RELEASE TIMEが非常に長く設定されてCURVEが4と少し急なカーブになっています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化を与えるように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.10Hz、FADE(フェード・イン:効果が最大になるまでの時間)が1.147sに設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP1, OP3, OP4, OP6のピッチに対して周期的変化を与え、変化量をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEにSAW UPが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON、TEMPO SPEEDが1/4、PHASE(位相)が-44deg(-44度のところから始まる)に設定されています。
LFO2はバーチャル・パッチでFILTERのCUTOFFを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにSAW UPが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.21Hz、PHASE(位相)が-45deg(-45度のところから始まる)に設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はOFF、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FILTERのCUTOFFをLFO2で周期的変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
UNISON VOICESが4、UNISON DETUNEが26cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 121 Filtered Saws」と題して、プリセット・プログラム「121 Filtered Saws」のパラメーターを分析しました。
実験ではCURVEパラメーターによる音の変化を試しました。
私はこのパラメーター好きですね。
アナログ・シンセサイザーでは味わえない、人間の間隔に合ったパラメーターだと思います。
もちろんOP-EGにもあって、オペレーターでADSRを同じ値にしてCURVEだけ変えるといった使い方も面白いと思います。
ユーザーがRATIOやDETUNEを調節することで、容易に音の変化が楽しめるように作ったんだと思います。
是非オリジナリティのある音作りにチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 095 FM Wind Chime」と題して、プリセット・プログラム「095 FM Wind Chime」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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