みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は、「シンセサイザーの機能 音の高さを調節する:TRANSPOSE、DETUNE」について説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
PITCH(TRANSPOSE、DETUNE)
基本となる音の高さの調節をします。
パラメーターは以下の2つです。
パラメーターの説明
PITCH:TRANSPOSE
設定値:[–48…+48]
[INITPROG]の設定値:0
オシレーターが発音する音のピッチを半音単位で設定します。設定できる範囲は上下 4オクターブ(1オクターブ12半音×4=48)です。
PITCH:DETUNE
設定値:[–50…+50]
[INITPROG]での設定値:0
オシレーターのピッチをセント単位で設定します。
1centは「100分の1半音」に相当します。
なので、上下1/4半音の範囲で設定できます。
※ここでの「DETUNE」は、「音を少しずらす」ような意味合いで「DETUNE」を使っているようです。チューニングするのなら「TUNE」じゃないの?とか思ってしまう方もいると思いますが、、、「DETUNE」とか「TUNE」とか、、、もう少し整理してパラメーター名にしてほしいよね。
では、実験してみましょう。
実験1(PITCH:TRANSPOSEを変化させてみる)
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]から、BPMを60
- アルペジエーターをON(「LATCH」をON)
- A=220Hzを弾く
- 「PITCH:TRANSPOSE」を手動で0→+48→0→-48→0に変化させる
音データ
手動でパラメーターを操作しているので、うまくいっていませんが、半音ずつピッチを上下させることができます。
実験2(PITCH:DETUNEを変化させてみる)
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]から、BPMを60
- アルペジエーターをON(「LATCH」をON)
- A=220Hzを弾く
- 「PITCH:DETUNE」を手動で0→+50→0→-50→0に変化させる
音データ
※音の高さを設定する「PITCH:TRANSPOSE」と「PITCH:DETUNE」により、オシレーターのピッチをずらしたことへの補正や、1つのPROGRAMに対して2つのTIMBRE(音色)を割り当てて音作りができるため、2つのTIMBREの音の高さをずらすことで音に厚みを持たせることもできます。
(「microKORG XL+ 取扱説明書」より)
実験3(プリセット音「B57 2MANYOSC」の分析)
「B57 2MANYOSC」は2つのティンバーをLAYER(2つのティンバーで作った音を同時に鳴らす)で構成しています。
基本となる波形は一緒ですが、「PITCH:TRANSPOSE」、「PITCH:DETUNE」も含めて、各ティンバーごとに少しずつ音を変えています。
では、TIMRE1とTIMBRE2を分けて音を確認しましょう。
パラメーターの設定と音の確認
まずは、パラメーターの設定と音を確認しましょう。
TIMBRE1のパラメーター設定
- PITCH:TRANSPOSE:+12
- PITCH:DETUNE:+4
TIMBRE2のパラメーター設定
- PITCH:TRANSPOSE:-3
- PITCH:DETUNE:-6
測定方法
- PROGRAM [A83 UNISONSQ]を選択
- 「MASTER EFFECT」をOFF
- A=220Hzを弾く
音データ
TIMBRE1の音
PROGRAM [INITPROG]に、 [A83 UNISONSQ]のTIMBRE1のデータのみコピーして聞いてみましょう。
測定方法
- PROGRAM [A83 UNISONSQ]の「TIMBRE1」を、PROGRAM [INITPROG]の「TIMBRE1」にコピー
- コピーしたプログラム(PROGRAM [INITPROG])で、A=220Hzを弾く
音データ
TIMBRE1では、高域の部分の音を作っているのがわかります。
TIMBRE2の音
今度はPROGRAM [INITPROG]に、 [A83 UNISONSQ]のTIMBRE2のデータのみコピーして聞いてみましょう。
測定方法
- PROGRAM [A83 UNISONSQ]の「TIMBRE2」を、PROGRAM [INITPROG]の「TIMBRE1」にコピー
- コピーしたプログラム(PROGRAM [INITPROG])で、A=220Hzを弾く
音データ
TIMBRE2では、低域の部分の音を作っているのがわかります。
A83 UNISONSQのティンバー間でのパラメーターの相違点
相違があるパラメーターのみ、記述します。
多くのパラメーターがある中、これだけの違いで音の深みが出ている。
あっぱれです。
PARAMETER | TIMBRE1 | TIMBRE2 | 備考 |
OSC1:DETUNE | 65 | 49 | 波形の揺らぎをTIMBREごとに 変化させています |
MIXER:NOISE LEVEL | 25 | 39 | TIMBRE2を少し多め |
VOICE:UNISON DETUNE | 24 | 25 | ほぼ同じ |
PITCH:TRANSPOSE | 12 | -3 | TIMBRE1をオクターブ上、 TIMBRE2を3度下げています |
PITCH:DETUNE | 4 | -5 | 逆に少しだけずらす |
FILTER1:BALANCE | LPF12 | LPF24 | フィルターのかかり具合を LPFのTYPEで変えています |
FILTER1:VELO SENS | 11 | 10 | ほぼ同じ |
AMP:LEVEL | 90 | 80 | 音を聞いて調整した模様 |
DRIVE/WS:DEPTH | 111 | 112 | ほぼ同じ |
EG1:DECAY TIME | 41 | 39 | ほぼ同じ |
VIRTUAL PATCH1 EG3→OSC1 CTRL1 | 18 | 29 | OSC1:DETUNEに対してEG3で 時間的変化を与えています |
EQ:LOW FREQ | 224Hz | 200Hz | EQでTIMBRE1のHIGHを上げ、 TIMBRE2のLOを上げています |
EQ:LOW GAIN | 0.0dB | 4.0dB | |
EQ:HIGH FREQ | 7.10kHz | 4.50kHz | |
EQ:HIGH GAIN | 4.0dB | 0.0dB |
TIMBRE1と2で低域と高域の音を別に作って、「PITCH:DETUNE」で揺らぎを与えていますね。
「EG3」で揺らぎに時間的変化を与えて、EQでTIMBREごとにLOW、HIGHを調整している。
お見事です。
まとめ
今回は、「シンセサイザーの機能 音の高さを調節する:TRANSPOSE、DETUNE」について説明しました。
機能を説明してもどうやって使えばよいかわかりにくいので、プリセット音を使って実験してみました。
「PITCH」は、従来のアナログ・シンセサイザーでは、主に調整しても時間が経つとピッチのずれが発生して、度々調整するために使われていました。
デジタル・シンセサイザーになって、波形のパラメーターを調整していくと、聴感上のピッチがずれたりするので、その補正に使われたり、複数の音で構成することが可能になったことで、その音の間で微妙にずらしたり、音程を変えて倍音構成を加えるようにするなど、新たな使用方法を生んでいます。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は、「シンセサイザーの機能 コントローラー:[ピッチ]ホイール、[MOD]ホイール」について説明します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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