みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「INIT(初期設定)プログラムの分析」について説明します。
Verion2.0では、351番以降がINITプログラムになっていて、ユーザーがエディットしたプログラムを保存できます。
1から音作りをするときに使われますので、どのような設定になっているか説明します。
このINITプログラムを理解していると、他のプログラムを見るときに「どこのパラメーターを変化させたのでこのような効果が出た」と、エディットする上でわかりやすくなっていきますよ。
どのようなパラメーターがあるのか、画面イメージを元に簡単に説明していますので、
opsix、opsix nativeで音作りを始める方の参考になれば幸いです。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
INIT(初期設定)プログラムの設定値
INITプログラムは初期設定値として、1からエディットする時の設定値です。
INITプログラムの設定値は、簡単に説明すると以下の設定になっています。
- オペレーター1のサイン波のみ出力されている
- オペレーター1のEGの[SUSTAIN LEVEL]が60
- EGの設定は「鍵盤を弾くとすぐ100%の出力レベルで音が鳴り、1秒間かけて100%⇒60%の出力レベルに減衰してそのレベルを保持、鍵盤を離すと0.1秒かけて60%⇒0%の出力レベルに減衰して音が止まる。
- [FILTER]はONとしているが、LPF12のカットオフ周波数が設定値の最高周波数としていて効果はない模様
- 3系統のエフェクトは、「CHORUS」、「3-BAND EQ」、「REVERB」が選択されているが、レベルが0なので効果はなし
- その他の機能は未設定
HOME/ALGO ページ・グループ
HOME/ALGOページは、[HOME/ALGO] ボタンで選択します。
HOME/ALGO ページ
HOME/ALGOページには他のボタンから離れてボタンが配置されていて、FM音源の主なパラメーターである「アルゴリズム」の他に、ライブ等演奏していて最低限操作しそうなパラメーターが6つのノブに割り当てられています。
INITプログラムは「アルゴリズム1」が選択されています。
他のパラメーターは値が0となっており、音の変化に影響がありません。
MODEページ
さて、INITプログラムがどんな設定をしているのか。
まず、各オペレーターのレベルを見ていきましょう。
opsix nativeでは、以下の画面となります。
数値が表示されていないので、以下の一覧にまとめました。
MODEページにあるパラメーターとOP Level、PITCHの一覧です。
オペレーター1のレベルだけ100%で、あとは0%です。
要するに、オペレーター1しか使っていないということです。
オペレーター1は[SINE]、サイン波ですから「鍵盤で鳴らした基音のサイン波が鳴る」設定になっています。
これをアルゴリズムで表してみると、以下のようになります。
オペレーター1はモジュレーターであるオペレーター2にくすぐられる構成ですが、オペレーター2のレベルは0%。
つまり、「くすぐらない」ので、オペレーター1からは純粋なサイン波が出力されることになります。
アルゴリズムで関係を確認すると、以下のようになります。
オペレーター1以外のオペレーターのレベルは0%。
よって、他のアルゴリズムは何もしていないことになります。
よって、オペレーター1のみの出力に関してみていくことにしましょう。
MODEページには、[MODE]パラメーターがあります。
これは、[FM]が選択されています。
他にも機能があり、切り替えることができますが、FM音源の基本的な機能が選択されていると思ってください。
[MODE]の選択により、その機能ごとに設定できるパラメーター(音を変化させる要素)が変わります。
そして[Sine]サイン波が選択されていて、[RATIO(レシオ)]が[1.0000]です。
これは、キャリアではオペレーターのピッチとなります。
[1.0000]が基準で、この基準の何倍かを設定するのですが、今回は基準の[1.0000]です。
MODEで[FM]を選択した場合、FB(Feedback)とWIDTH(Wave Width)の2つのパラメーターがありますが、
- FB:0%
- WIDTH:OFF
ですので、変化を与えていません。
よって、オペレーターの基本となるパラメーターは「RATIO:1.0000(基準となるピッチ)のサイン波が出力される」設定になっています。
オペレーターでは、他にもパラメーターがありますので、見ていきましょう。
PITCHページ
次に、PITCHページをみていきましょう。
以下が、opsix nativeのINITプログラムのPITCHページの画面になります。
値が表示されないパラメーターがありますので、以下にまとめました。
- RATIO:1.0000(基準のピッチ)
- DETUNE:0.0cents
- TRANSPOSE:0semi([semi]は半音のことです)
となっており、影響を与える値ではありませんでした。
P MODページ
続いて、ピッチに変化を与える(モジュレーションをかける)パラメーターがある、P MODページです。
opsix nativeのINITプログラムのP MODページの画面はこちらです。
PITCHページと同様に値が表示されないパラメーターがありますので、以下にまとめました。
どれも値が0ですので、音の変化に影響がありません。
L MODページ
次にL MODページになります。
オペレーターの出力レベルに変化を与える(モジュレーションをかける)パラメーターです。
ベロシティとLFO1の変化量とLFO1の変化量をコントロールするソース(コントローラー)を設定します。
opsix nativeのINITプログラムのL MOD画面はこちらになります。
設定値は以下の通りです。
これも、値が0、コントローラーの設定なしとなっており、変化を与える設定はありません。
LEVEL/EGページ
オペレーターごとのEG(エンベロープ・ジェネレーター)のページです。
今回はオペレーター1しか出力されていませんが、時間的変化をここで調節することになります。
キャリアのオペレーターであれば音量の時間的変化、モジュレーターのオペレーターであれば、波形の時間的変化を与えます。
オペレーター1のEGは
- ATTACK TIME:0.000s
- DECAY TIME:1.000s
- SUSTAIN LEVEL:60%
- RELEASE TIME:0.100s
となっており、言葉で説明すると、
- 鍵盤を押すと瞬時に音のレベルが立ち上がり
- 1秒かけて60%の出力レベルになる
- 鍵盤を離すと0.1秒かけて出力レベルが0になる
となります。
opsix nativeだと6つのオペレーターのエンベロープが図示されていて、
アルゴリズムでの構成表も1つのオペレーターなので、こんな感じです。
利用しているオペレーターが増えるとアルゴリズムで書いた方がわかりやすいかな?
オペレーターごとのEGのテーブルは以下の通りです。
各オペレーターの基本的なパラメーターも載せておきます。
KTRKページ
キーボード・トラックのページでは、基準の鍵盤のノートを中心にLOW、HIGHを分けて設定します。
INITプログラムでは、何も設定されていません。
opsix nativeの画面は以下の通りです。
オペレーターごとのKTRKの値は以下の通りです。
MODページ・グループ(EG/LFO)
EG(エンベロープ・ジェネレーター)とLFOの設定をするページ・グループです。
ここのEG/LFOは、あらかじめ用意されたパラメーター、もしくはバーチャル・パッチ機能でコントロールする側として割り当てて、変化を与える要素となっています。
アナログ・シンセサイザーにあるものと同じ機能と思っていただければよいかと思います。
ここのEGは、各オペレーターにあるEGとは違います。
opsix nativeでは、エンベロープ・ジェネレーターとLFOが一緒の欄で1番、2番、3番と画面が切り替わります。
切り替えるにはページボタンを押すか、[MOD]ボタンを押すことでページが切り替わっていきます。
EG1 PITCHとLFO1 OP(Operators)の画面
EG2 FLTR(Filter)とLFO2 FLTR(Filter)の画面
EG3(Assignable)とLFO3(Assignable)の画面
数値がわからないので、以下にEG/LFOごとのテーブルを載せます。
LFO1のみSPEEDの値が6.00HzでLFO2, LFO3は2.00Hzです。
また、INITプログラムではEGとLFOをモジュレーターとして利用しているパラメーターはありません。
FILTERページ・グループ(FILTER、FILTER MOD)
フィルターのページ・グループです。
オペレーターの出力信号をフィルタリングする機能を集めたパラメーター群です。
FILTERはONになっていますが、LPFで[CUTOFF]は最大値の23.68kHz、で他のパラメーターは0かOff。
機能していないと思って差し支えないかと感じます。
また、FILTER MODページも音に変化を与えるパラメーター設定はありません。
FILTER、FILTER MODページの値はこちらです。
EFFECTページ・グループ
今まで音作りをしてきた出力信号にエフェクトするパラメーター群です。
3系統のエフェクトを設定できるので、3ページあります。
opsix nativeでは以下のような画面で、エフェクトタイトルの左側の緑のボタンがオン・オフのスイッチになっています。
で、エフェクトの「Fx-(エフェクト名)」が3つのエフェクトの画面切り替えボタンとなっています。
INITプログラムのエフェクトは、オンに設定していますが、レベルが0、ゲインが0となっていますので、EFFECTの効果は「なし」です。
V.PATCHページ・グループ
KORGの特徴的な機能、V.PATCH(バーチャル・パッチ)のページです。
12個の設定が可能です。
このページで、
- SOURCE:変化を与えるもの
- SOURSE SCOPE(上段: Aノブ)とSOURCE(下段: Dノブ)で設定
- DESTINATION:変化を受けるもの
- DEST SCOPE(上段: Cノブ)とDESTINATION(下段: Fノブ)で設定
- INTENSITY:変化量
- CTRL(CONTROL):変化を与えるときに、調整できるコントローラー
を設定します。
INITプログラムの場合、未設定です。
MISCページ・グループ
その他の設定ページとして、以下のページがあります。
- PROG PITCH(Program Pitch)
- PROG MISC(Program Misc)
- USER ALG(User Algorithm)
- OP UTIL(Operator Utility)
PROG PITCH(Program Pitch)ページ
MISC: PROG PITCHページには、オクターブやトランスポーズ、ピッチ・コントローラー、ピッチLFOのパラメーターで構成されています。
INITプログラムでは、音に変化を与えるパラメーターはありません。
Pitch Bend Up/Downに関してはPITCHホイールの上げ/下げによって変化する値として2semi(1音分)が設定されていますが、これが標準です。
PROG MISC(Program Misc)ページ
MISC: PROG MISC ページには、PROGRAMの全体音量、アルゴリズム・フィードバック、オシレーター・フェイズ、LoFi機能のパラメーターで構成されています。
INITプログラムでは、音に変化を与えるパラメーターはありません。
VOICEページ・グループ
VOICEページ・グループは、演奏による効果が得られるパラメーターと、ユニゾン効果に関するパラメーター群で構成されています。
opsix nativeでは、いろんな場所に散らばっています。
INITプログラムでは、音に変化を与えるパラメーターはありません。
その他
その他のアルペジエーターやシーケンスはOFFです。
まとめ
今回は「INIT(初期設定)プログラムの分析」について説明しました。
全体のパラメーターを一通り確認しましたが、いかがでしたでしょうか。
ボタン順にページを確認して、音を変化させているパラメーターがあるか確認しました。
実際の音作りでは全部のパラメーターを変化させることはなく、目的の音にするために必要なパラメーターだけ変更するのでご安心ください。
opsixのINITプログラムは、「OP1のサイン波を何も変化を与えずに出力している」のですが、オペレーターのEGでディケイ・タイム1s、サスティン・レベルが60、リリース・タイムが100msと、
- 弾いた後に1秒かけて6割のレベルにする
- 鍵盤から指を離すと100msかけて音を減衰する。
といった変化があります。
INITプログラムを理解していると、他のプログラムを見るときに「どこのパラメーターを変化させたのでこのような効果が出た」と、エディットする上でわかりやすくなっていきます。
プリセット音がパラメーターの数値として見えてくると「オペレーターのLEVELフェーダーを動かすと音が変化するように作ってある」とか、プロのテクニックに感動してしまったりします。
また、プリセット音でパラメーター設定されていても効果がないものも結構あったりします(笑)
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は「KORG opsix: 実験時の設定」について説明します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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