みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 015 Overcompressed」と題して、プリセット・プログラム「015 Overcompressed」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
スペーシーな空間でノイズ交じりのキラキラした音が演出されています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンス・データの中にベロシティ、モジュレーション・ホイールのコントロール・データも含まれています。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
ピッチが突然変わるところとかはバーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
実験2: OP1を変化させる
OP1に絞って変更してみました。
設定方法
OP1の以下のパラメーターを変更します。
MODE: RING MOD. → MODE: WAVE FOLDER
MODE: WAVE FOLDER: GAINを10
RATIOを23.0000→9.0000
WAVEをNOISE BLUE→ADDITIVE SQR3
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
遠近感が変わってしまって、ちょっと残念な感じ。
まぁ、こういうこともあります。
一層のこと、ノイジーなところもなくして、エフェクト変えて...
そうしたら別な音になっちゃうね(笑)
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには36番のアルゴリズムが設定されています。
opsixで新たに設けられたアルゴリズムで、OP1, OP2の2つのキャリアに対してOP3~OP6のモジュレーターが両方のキャリアに対して接続されている構成です。
キャリアのOP1側は「カサっ」といった乾いたノイズを作っています。
MODE: RING MOD.を使うことによって音が詰まった感じを演出しています。
キャリアのOP2側はモジュレーターごとに音のキャラクターがあります。
OP3はMODE: EFFECT: PHASERによりうねりを持ったFIXEDの揺れを生じさせています。
OP4はFIXED 0.19Hzで固定周波数で音を揺らします。
OP4のPITCHとLEVELをLFO3で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
OP5のWAVE: NOISE PINKの選択により、単独では紙を指でぱちんと叩いた時の音、レベルを上げるとスネアを軽くたたいたスナッピーのような音が鳴ります。
OP6を上げるとトイ・ピアノの共鳴したような音がします。これはバーチャル・パッチでアフター・タッチで効果がでるように設定されています。
PAN(左右の定位)を鍵盤の位置により変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
エフェクトはCOMPRESSORが良く効いていて、圧縮して音圧が上がっているのはもちろん、アタックの「プチッ」と鳴る効果を演出しています。
音のキャラクターを決めるために3-BAND EQで中域を削ってます。
エフェクトをオフにすると、低音のキーでは音が小さくなってしまいます。
REVERBのTYPEにSPACEを選択して、音像の遠くで残響が鳴っている感じを演出しています。
演奏時はアフター・タッチによりOP6のLEVELとOP2のSUSTAIN LEVELを変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
モジュレーション・ホイールを動かすことで、OP3のCOARSE RATIOをLFO1で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアOP1はノイズ成分を担っています。
キャリアOP2は立ち上がりの良い複雑な揺れをもった柔らかい音となっています。
OP-EG
モジュレーターOP3~OP6はSUSTAIN LEVELを100にして、ATTACK TIMEを過ぎた後は鍵盤を弾いている間はレベルが変わらないように設定されています。
また、OP3~OP5はRELEASE TIMEが最大の90.000sと長く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
OP1, OP2に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
モジュレーターOP6に対して、基準キーをC4として低いキーになるほどレベルが上がり、高いキーになるほどレベルが下がるように設定されています。
FILTER
FILTERはHPF MS-20が使用されています。
また、カットオフ周波数に対してLFO2により周期的変化するように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEにSAMPLE&HOLDが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが1/16に設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでOP3のCOARSE RATIOを周期的変化するように設定されています。
LFO2は、WAVEにRANDOM: LVL&TIMEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが1.66Hzに設定されています。
LFO2はFILTERのカットオフ周波数に対して周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.26Hzに設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP4のPITCH、LEVELを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はREVERB、FX2は3-BAND EQ、FX3はCOMPRESSORが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のPHASER FREQUENCYをLFO3で周期的変化するように設定されています。
但し、OP2はMODE: FMを設定していますので、この設定は無効です。 - V.PATCH2は、OP4のPITCHをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP4のLEVELをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、PAN(左右の定位)を鍵盤の位置により変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP6のLEVELをアフター・タッチでで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP2のSUSTAIN LEVELをアフター・タッチでで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP3のCOARSE RATIOをLFO1で周期的変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 015 Overcompressed」と題して、プリセット・プログラム「015 Overcompressed」のパラメーターを分析しました。
実験ではキャリアのMODEを変更してみました。
遠近感がおかしくなってしまいましたが、これを過程として違った印象にしてしまうのも面白いだろうと感じています。
ノイジーなところを少なくして空間エフェクトを変えて...
このアルゴリズムはオペレーターごとに影響しあっているので難しい。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 030 Mutated Piano」と題して、プリセット・プログラム「030 Mutated Piano」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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