みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 075 Percussion」と題して、プリセット・プログラム「075 Percussion」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
ジャンベとか皮の鳴りがする打楽器の音です。
ピッチの変化にはP MOD: EG1が使用されています。
残響系のエフェクターは使われていません。
自分でオペレーターの構成が可能な、「ユーザー・アルゴリズム」を使って音作りがされています。
MOD: EGページの機能については以下のページで説明しています。
P MOD: EG1の機能については以下のページで説明しています。
ユーザー・アルゴリズムの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
これでエコーとかリバーブが使われていないんです。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによって複雑な変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
箱の共鳴音が増えていく感じですね。
実験3: FILTERを変更してみる
設定方法
FILTER: TYPE: LPF MS-20、CUTOFF: 1.017kHz、RESONANCE: 60.00に変更
測定方法
アルペジエーターのパラメーターをPATTERN: UP、OCT: 1に設定する。
アルペジエーターをLATCH ONにする。
適当なコードを弾きます(D5, G4, C6, F6)。
音データ
FILTERを使ってボンゴ、コンガに似た音にしてみました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムにはユーザー・アルゴリズムが設定されています。
ユーザー・アルゴリズムを使っています。
RATIOは整数にならない比率の組み合わせとなります。
実際はOP2, OP4は入力される信号がありますのが、そこまで図示していません。
キャリアOP2-モジュレーターOP1では、音域によって音が違っています。
低音域では「どぅん」、高音域では「とぅん」。
OP-P MODでEG1 INTを上げてピッチの時間的変化が設定されています。
キャリアとモジュレーターのRATIO比も0.75:0.88。
キャリアOP4に対してOP3, OP5がモジュレーターの組み合わせでは、「模造紙を丸めてはじを叩いたような音に残響たっぷり」といった音がします。
キャリアOP6に対して、OP2, OP4, OP5がモジュレーターの組み合わせでは、キーの位置によって様々な「たらい」を叩いたような音がします。
最後にOP5の単独キャリアは、スペーシーな音がします。
で、キーによって様々なパーカッシブな音がします。
FILTERはLPF12で高域成分をカットしています。
エフェクターは3-BAND EQで中低域を上げて、MASTER LIMITERで音圧を上げています。
UNISON VOICESを4として、DETUNEを深めにすることで、革が張りを演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP4, OP5, OP6のLEVELを変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでピッチをLFO1で周期的変化をコントロールするように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
ユーザー・アルゴリズムを使用しているため複雑なのですが、キャリアのOP6のDECAY TIMEが82.953sと非常に長く設定されています。
よって、持続音ではありませんがキーを押し続けていると約80秒かけて減衰していきます。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2にDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
全オペレーターに対して、ピッチをEG1で時間的変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP4~OP6に基準キーがINITプログラムと違う設定されていますが、変化量を設定するSLOPEの値が00なので効果はありません。
FILTER
FILTERはLPF12を使用しています。
カットオフ周波数は基準キーをC4として高いキーになるほどプラスとなるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は、ATTACK TIME、DECAY TIME、RELEASE TIMEともに非常に短く設定されています。
EG1はOP-P MODにより全オペレーターに対してピッチを時間的変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.00Hz、PHASE(位相)が90deg(90度のところから始まる)に設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHによりピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
EFFECT
FX1はOFF、FX2は3-BAND EQ、FX3はMASTER LIMITERが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP4のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP4のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
ALGORITHM FB(FEEDBACK)が71%に設定されていますが、ユーザー・アルゴリズムを使用しているため、対象のオペレーターはなく、機能していません。
LOFIが設定されています。
VOICE
UNISON VOICESが4、UNISON DETUNEが60cents、UNISON SPREADが100%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 075 Percussion」と題して、プリセット・プログラム「075 Percussion」のパラメーターを分析しました。
実験ではFILTERを使って大きな打楽器からもう少しサイズを小さくした打楽器の音にしてみました。
「オシレーターの波形が一番太い」ので、そこから倍音を増やしたり、フィルターを通してキャラクターを変化させている。
音を太くするにはCOMPRESSORやMASTER LIMITERのエフェクターぐらいかな。
音作りは「幹の太さ」を意識するのは大切ですね。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 079 Crystal Bells」と題して、プリセット・プログラム「079 Crystal Bells」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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