みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 089 Ruin Chatters」と題して、プリセット・プログラム「089 Ruin Chatters」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
アタックに少しノイズがかかった透き通った音です。
モジュレーション・ホイールやピッチ・ベンドを動かすことで音を変化させるようにバーチャル・パッチで設定されています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)の機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチによりモジュレーション・ホイールを動かすことによって音が複雑に変化するように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすと音が大人しくなりますね。
実験2: ピッチ・ホイールを動かす
ピッチ・ホイールのピッチの変化範囲が+7(5th)、-5(M3rd)に設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1小節ごとにピッチ・ホイールを0→最大→0→最小に変更する(2回)。
音データ
演奏曲があったのかな?
アルペジエーターのほうが面白いかも...
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには15番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2でキャリア-モジュレーターの直列接続。
OP3~OP6でモジュレーターが2段のY字接続。
といった構成です。
アルゴリズム14番との違いはALGORITHM FEEDBACKのオペレーターの違いです(14番はOP6、15番はOP2)
OP1-OP2では、MODE: FMを使用して、RATIO比が1:2。
OP2のFM: FEEDBACKを少し上げて雑味を加えています。
OP2のCOARSE RATIOをLFO3で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
これで基本となる音を作っています。
OP3~OP6はLEVELが0なので出力されていません。
但し、OP3はモジュレーション・ホイールを動かすことでOP3のLEVELが上がるようにバーチャル・パッチで設定されています。
その際、OP3は波形がSINE 8BIT、RATIOが8.0000の音が出力されます。
OP3はOP-L MODでベロシティが設定されています。
OP3はFM: FEEDBACKをLFO2で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
FILTERはLPF12が設定されていますが、INITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは、CHORUSで「コロコロ」っとした音に味付け、DELAY(BPM)で深いエコーをかけています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでプログラム全体のSUSTAIN LEVEL、プログラム全体のRELEASE TIME、OP2のCOARSE RATIO、OP4のEG: RELEASE TIME、OP2, OP3, OP6のLEVEL、OP3のPITCH、OP1のEG: DECAY TIMEをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
DECAY TIMEを短めにしてアタック感を演出しています。
OP1のRELEASE TIMEを長くして余韻が残るように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
キャリアであるOP1, OP3に鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)の効果が設定されています。
OP4に対してLFO1の周期的変化が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP2, OP4~OP6のモジュレーターに対して、CENTER KEYがC3、HIGH SLOPEが-15%の設定がされています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEにEXP. SAW UPが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)に設定されています。
LFO2は、WAVEにRANDOM: LVL&TIMEが使用され、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは3/4に設定されています。
LFO2はバーチャル・パッチでOP3のFM: FEEDBACKを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、INITプログラムの設定からTEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは3/4に設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP2のCOARSE RATIOを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はDELAY(BPM)、FX3はOFFとなっています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のCOARSE RATIOをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP3のFM: FEEDBACKをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、プログラム全体のSUSTAIN LEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
このパラメーターはノブで操作することができない、バーチャル・パッチで割り当てられる設定です。 - V.PATCH5は、OP2のCOARSE RATIOの値をモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP4のEG: RELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP3のLEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、プログラム全体のRELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP3のPITCHをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP1のEG: DECAY TIMEをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、OP2のLEVELをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
MISC
ピッチ・ベンドの値をプラス側に7semi(5度)上がる、マイナス側に-5semi(4度)下がるように設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 089 Ruin Chatters」と題して、プリセット・プログラム「089 Ruin Chatters」のパラメーターを分析しました。
ピッチ・ホイールに割り当てるピッチの可動範囲は設定できます(通常は±2semi[半音])。
他の実験ではアフター・タッチの効果を割り当てるために0にしてました。
いろんなパラメーターがありますけれど、一通り試して必要な時にマニュアルを見て確認すれば少しずつ覚えられますよ。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 039 Reso Phase Clav」と題して、プリセット・プログラム「039 Reso Phase Clav」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント