みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 212 Laid Bass」と題して、プリセット・プログラム「212 Laid Bass」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
ファンク系で使われそうなシンセ・ベースの音です。
このプログラムはVOICE: ASSIGNでMONO LEGATO、VOICE: GLIDE(Glide Mode)でLEGATOが設定されています。
LEGATOで弾くと音を切らさないように弾いた時、音が途切れないようになります。
ベース系ではこの設定が多いですね。
VOICEの機能については以下のページから6ページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: MONO LEGATOの効果を確認する
このプログラムはVOICE: ASSIGNでMONO LEGATOが設定されています。
LEGATOで弾くと音を切らさないように弾いた時、音が途切れないようになります。
これは次の音のトリガーをなくします。
効果として、例えばアタック時の効果がなくなります。
これを実験してみましょう。
測定方法
フレーズを2回、途切れるように弾き、次になめらかにフレーズを2回弾く。
音データ
後半アタックがなくなり、なめらかな音になったと思います。
実験3: AFTER TOUCHの効果を確認する
V.PATCH1では、アフター・タッチでFILTER: CUTOFFをコントロールするように設定されています。
これをピッチ・ホイールに割り当てて効果を確認してみます。
測定方法
ピッチ・ホイールのピッチのコントロールをOFFにするため、PROG PITCH: PITCH BEND UPおよびPITCH BEND DOWNを0にします。
V.PATCH1のSOURCEをAFTER TOUCH→PITCH ENDに変更します。
アフター・タッチではプラスにしか変更できませんが、ピッチ・ホイールはマイナスにも働きますので、プラスだけでなくマイナスにも変化させます。
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
フレーズ、1回目: PITCH BEND: 0、2回目: マイナスに最大、3回目: プラスに最大
音データ
FILTERのカットオフ周波数の変化により、音が曇ったり、ギラギラしますね。
本来は鍵盤を弾いた後に鍵盤を押し込むことで変化します。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには5番のアルゴリズムが設定されています。
キャリア-モジュレーターの3つの組み合わせの構成です。
OP1-OP2では、キャリアOP1にMODE: FMを使用して、波形はOP1がTRIANGLE、OP2がSINE 12BIT、RATIO比が0.5:2.04。
モジュレーターOP2にMODE: FILTERを使用していますが、LEVELが1%で効果がありません。
これはユーザーがLEVELスライダーをリアルタイムに操作して楽しんでほしいという意図が感じられます。
重みのある下支えする音が作られています。
OP3-OP4は、キャリアOP3にMODE: FMを使用して、波形はOP3がSAW、OP4がTRIANGE、RATIO比が1.01:0.5。
モジュレーターOP4はMODE: WAVE FOLDERを使用して自身のオシレーターの波形を変形させます。
WAVE FOLDERのパラメーターは初期値のままなので波形は変形されずにキャリアOP3にモジュレーターからの入力信号となります。
これにより、ざらざらした音を作っています。
OP5-OP6では、キャリアOP3にMODE: FMを使用して、波形はOP3がSAW、OP4がSINE、RATIO比が2:1。
RATIOをOP2の2.0400、OP3の1.0100に設定することでピッチの違いによる周期的変化を発生させています。その他、音に厚みを与えるため、OP3, OP5のDETUNEが設定されています。
キャリアのオペレーターに対して、OP-P MODでモジュレーション・ホイールでピッチをLFO1による周期的変化の効果をコントロールするように設定されています。
ワウ音はFILTERをEG2で時間的変化するように設定されています。
FILTERのTYPEにLPF POLY6を使用していますが、このフィルターの効き具合がワウとして非常に使えます。
他のTYPEだとこうならない。
演奏表現としてVOICE ASSIGNでMONO LEGATOを選択し、LEGATOで弾くと音が途切れないように発音し、GLIDEによるピッチのなめらかに移行するように設定されています。
エフェクトにMASTER LIMITERを使用して音圧を上げています。
SPRING REVERBは音の味付けに使用しています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1-OP2で幹となる音を作っています。
OP3-OP4でごりごりした音。MODE: WAVE FOLDERを使用することで、アンプから出したようなブーミー感が感じられます。
OP5-OP6で高めの音成分を作っています。
OP-EG
OP1~OP3はSUSTAIN LEVELが100で、鍵盤が押されている時はレベルが変わらないように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP3, OP5に対してDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP1, OP3のピッチに対して、LFO1で時間的変化するように設定され、モジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が使用されています。
カットオフ周波数に対して、以下の設定がされています。
EG2の時間的変化を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によりコントロールするように設定されています。
LFO2による周期的変化が設定されています。
基準キーC2に対して、キーが低くなるほどマイナスに、キーが高くなるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、ATTACK TIMEに少し時間を設定して、DECAY TIMEが少し短め、SUSTAIN LEVELを25と持続音の時に少し残しています。CURVEが6と早く減衰するカーブとなっています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化を与え、その効果をベロシティでコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hzが設定されています。
LFO1は、OP-P MODでOP1, OP3のピッチに対して周期的変化して、その効果をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.74Hzが設定されています。
LFO2はFILTERのカットオフ周波数に対して周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hzが設定されています。
EFFECT
FX1は3-BAND EQで周波数成分の調整、FX2はSPRING REVERBで味付け、FX3はMASTER LIMITERでアタック感と音圧を上げるように設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FILTERのCUTOFFをアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
MISC
OCTAVEが-1oct(1オクターブ下)に設定されています。
VOICE
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、音が途切れないようになる)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)
GLIDE TIMEに0.067sです。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 212 Laid Bass」と題して、プリセット・プログラム「212 Laid Bass」のパラメーターを分析しました。
弾き方で音が変化するようなパラメーターが設定されていることが確認できたと思います。
モジュレーターのLEVELを変化させたり、OP2のMODE: FILTERのパラメーターを調整してLEVELを上げたり、OP4のMODE: WAVE FOLDERのGAINを調整することで音を変化させることもできます。
オペレーターのMODEのパラメーターを操作するだけで自分なりの音を楽しむことができるプログラムです。
是非試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 189 Pad Mod Fizz」と題して、プリセット・プログラム「189 Pad Mod Fizz」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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