みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 216 Aphasin Bass」と題して、プリセット・プログラム「216 Aphasin Bass」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
MODE: FILTERとFIXED(固定周波数)を使用することにより、独特のブーミーさと幹が太っとい音に仕上がっています。
FIXED(固定周波数)を使った音作りについては以下のページで説明しています。
KORG opsixの機能: FMのキャリアとモジュレーターの関係(6)
- キャリアに固定周波数設定のFIXEDを用いて実験
MODE: FILTERの機能については以下のページから4ページをかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
アタックのゴリゴリ感を残しながら音圧が上がっています。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによってOP5のCOARSE RATIO、OP4のPITCHをコントロールするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすことによって中・高音域が金属的になって、硬さが加わっていきます。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには28番のアルゴリズムが設定されています。
OP1-OP2の2段の直列接続、OP3-OP5の3段の直列接続、OP6の単独キャリアで構成されています。
OP1-OP2では,キャリアOP1にMODE: RING MOD.を使用していますが、他をMUTEしてもLEVELが低く音が聴こえません。
OP3-OP5では、モジュレーター側はOP5のRATIOの低いSQUAREの波形をOP4のFIXEDで揺れを生じさせてFILTERをかけています。
この信号をOP3のキャリアのSINE+FEEDBACKの波形に変調をかけています。
これによりブーミーな音に仕上がっています。
キャリアOP3に対してレベルが基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
OP4はピッチに対してEG1の時間的変化をLFO1でコントロールするように設定されています。
また、LFO1の周期的変化するように設定されています。
OP6はRATIOの低いサイン波にFBがかけられていますが、非常に重低音の音で縁の下の力持ち的に使われています。
キャリアおよびOP5に対して、ベロシティ効果が設定されています。
FILTERはLPF12が設定されていますが、INITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは、PHASER(BPM)で弦の質感を増加させ、AUTOPAN DELAYでうっすらと広がりを演出、REVERBも小さな空間での残響を与えています。
OP5のFM: WAVE: WIDTHをEG1で時間的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
演奏表現の手段として、OP5のCOARSE RATIO、OP4のPITCHを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
その変化量をモジュレーション・ホイールでコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
アフター・タッチでLFO1のSPEEDをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、途切れないようにする)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)が設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
OP2はキャリアOP1に対してアタック時のみの時間的変化をするように設定されています。
逆にOP4, OP5はSUSTAIN LEVELを100にして、キャリアOP3に対して同じレベルでの変調となるように設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
OP1, OP3, OP5, OP6に対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でレベルが変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP3のLEVELに対して、基準キーをC4として低いキーになるほどプラス、高いキーになるほどマイナスのレベルとなるように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1は、DECAY TIMEを少し短く設定され、RELEASE TIMEを少し長め、CURVEを6と減衰カーブが急になるように設定されています。
EG1はバーチャル・パッチでOP5のFM: WAVE: WIDTHを時間的変化するように設定されています。
EG2は、DECAY TIMEが長めに設定設定されています。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは1/2に設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチによりアフター・タッチで変化するように設定されています。
LFO3はWAVEにSAW UPが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.01Hzに設定され、RANDOM PHASEがON、PHASEが-180deg(-180度のところから始まる)に設定されています。
LFOを設定したパラメーターはありませんでした。
EFFECT
FX1はPHASER、FX2はAUTOPAN DLY(BPM)、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP5のFM: WAVE: WIDTHをEG1で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP5のCOARSE RATIOを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
その変化量をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。 - V.PATCH3は、OP4のPITCHを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)で変化するように設定されています。
その変化量をモジュレーション・ホイールでコントロールするように設定されています。 - V.PATCH4は、LFO1のSPEEDをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
LOFIがONに設定されています。
VOICE
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、途切れないようにする)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)
GLIDE TIMEに0.187sです。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 216 Aphasin Bass」と題して、プリセット・プログラム「216 Aphasin Bass」のパラメーターを分析しました。
MASTER LIMITERでアタックのゴリゴリ感と音圧を上げています。
MODE: RING MOD.やMODE: FILTERを使ったり、FIXEDを使ったり。
BASS音を作るのに、非常に参考になるプログラムだと思います。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 220 Analog=FM Bass」と題して、プリセット・プログラム「220 Analog=FM Bass」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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