みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 238 Thick Screamer」と題して、MODE: EFFECTにDISTORTIONを使用したプリセット・プログラム「238 Thick Screamer」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
エイリアンがうごめくような音です。
MODE: EFFECT: DISTORTIONで荒れた音が演出されています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
A3=220Hzを強めに弾きます。
音データ
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
A3=220Hzを何回か弾きながらモジュレーション・ホイールを適当に動かします。
音データ
バーチャル・パッチの設定によってピッチが動きました。
実験3: OP6: DISTのパラメーターを変化させる
では、OP6のMODE: EFFECTのDISTORTIONのDISTパラメーターを動かして音の変化を確認します。
A3=220Hzを弾くごとに、DISTの値を22%、50%、75%、100%に変えて弾きます。
音データ
キャリア側のDISTパラメーターを上げてみました...普通の実験になってしまいました。
実験4: OP2: DISTのOSC MIXパラメーターを変化させる
では、モジュレーター側のOP2のMODE: EFFECTのDISTORTIONのOSC MIXパラメーターを動かして音の変化を確認します。
A3=220Hzを弾くごとに、OSC MIXの値を0%、25%、50%、75%、100%に変えて弾きます。
音データ
OP2のNOISE BLUEの入力信号が加わっていきます。
少しずつですが、音に変化が感じられると思います。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
音のキーを司どっているのは最上段のOP1です。
基本的に各オペレーターのピッチに変化を与えることで、音の変化を生み出しています。
あとは、、、下の実験の音を聴いてみてください。
アルゴリズム
以下のユーザー・アルゴリズムが設定されています。
すべて100%で出力されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
モジュレーターOP2とキャリアのOP6でMODE: EFFECTのDISTORTIONが設定されています。
中段に並列配置されているOP3からOP5にはMODE: FILTERが設定されています。
最上段のOP1がMODE: FMでキャリアOP6のOSC MIXが0なので、このプログラムのPITCHはここで決められています。
...いろんなパラメーターを変化させているので、何とも読めない(笑)
「自分でいろいろパラメーターを変化させてみてね」ということなのかな。
OP-EG
プログラマーに聞かないとわからない領域ですね(笑)
モジュレーター側のアタック・タイムが長めでOP3~OP5はMODE: FILTERが設定されています。
OP2はMODE: EFFECTのDISTORTIONが設定されているので、OP1の効果をそのまま受けたいからアタック・タイムが0.000sなのかな?変化させると設定が大変ですから。
持続音のSUSTAIN LEVELとしては、モジュレーターはOP3だけが70となり、OP4、OP5は0となる。
よってOP3のみの効果になる設定なんだ...
リリース・タイムはほぼ一緒。
こだわりがあって0.100sから変更したのか、色々と調節して大体0.100sにしたのかわからない...
といった分析かな(笑)
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MODは最上段のモジュレーターのOP1に変化を与えるためにEG1を設定しています。
OP-L MODはOP4, OP5でベロシティによるレベルの変化が設定されています。
また、OP3~OP6でLFO1によるレベルの周期的変化を、EG3で時間的変化を設定しています。
FILTER
フィルターはLPF24を使って、EG2で1.400sと長めのアタック・タイム、1.853sと長めのディケイ・タイムを設定して音の変化を作っています。
MOD(EG、LFO)
EG1は、OP1のPITCHパラメーターを変化させるために設定されています。
EG2は、フィルターの時間的変化を与えるように設定されています。
EG3は、L MODでLFO1の効果を時間的に変化させたり、バーチャル・パッチでLFO1のSPEEDパラメーターに変化を与えるように設定されています。
LFO2、LFO3は、バーチャル・パッチでオペレーターのPITCHに変化を与えています。
EFFECT
FX1のMASTER LIMITERは、低周波成分の急激なレベルの変化があった時のために設定されていると思われます。
FX2のTAPE ECHOは、すっきりしたエコーを演出しています。
FX3のREVERBは、TYPEでSPACEが選択されていて、スペース的な広がりを演出しています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、LFO1のSPEEDパラメーターをEG3で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP5のPITCHをLFO2で変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP3のPITCHをLFO2で変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP4のPITCHをLFO3で変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP3のPITCHをモジュレーション・ホイールを動かすことで値を変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP4のPITCHをモジュレーション・ホイールを動かすことで値を変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP5のPITCHをモジュレーション・ホイールを動かすことで値を変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP1のOCTAVEパラメーターをアフタータッチで変化するように設定されています。
MISC
オクターブが-2オクターブに設定されています。
OSC PHASEにFREEが選択されていて、鍵盤を弾くたびに位相が変わります。
VOICE
MONOモードが設定されています。
GLIDE MODEにLEGATOが設定されていて、GLIDE TIMEが133msです。
UNISON VOICEが7に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 238 Thick Screamer」と題して、MODE: EFFECTにDISTORTIONを使用したプリセット・プログラム「238 Thick Screamer」のパラメーターを分析しました。
プログラマーのMATT PIKEさん、恐るべしっ!
opsixの取扱説明書にはProgram Name Listにプログラマーの名前が掲載されています。
あと、Version1の時のプログラム番号も掲載されています。
ノイズの波形を元に作成されたプログラムでしたので、ノイズ以外の音で使ってみたくなりました。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixの機能: MODE: EFFECT: DRIVE」と題して、機能説明と実験をします。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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