みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 290 WS Pulse Anthem」と題して、プリセット・プログラム「290 WS Pulse Anthem」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
アタックのノイズの少ないきめ細かな倍音成分のパッドの音です。
エコーではなく、音のON/OFFがテンポに合わせて機能しています。
これは、OP1のEFFECT: WAVESHAPER: OSC MIXをLFO3でテンポと同期して周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
EFFECT: WAVESHAPERの機能については以下のページから9ページをかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
典型的なデジタル・シンセサイザーのノコギリ波の音です。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによってFX3: REVERBのLEVEL、OP2のLEVELが変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
リバーブが深くなりますね。
実験3: OP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのTYPEを変化させる
MODE: EFFECT: WAVESHAPERのTYPEは60種類あります。
TYPEを60種類分変化させて音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
4音ずつWAVESHAPERのTYPEを00: SINEから順にノブを回して手動で変化させていきます。
音データ
ノブを手動で回してTYPEを変えているのでずれが生じています。
ご了承ください。
WAVESHAPERのTYPEごとに音がある感じです。
気に入ったTYPEに合わせれば、オリジナルの音ですね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには01番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2の直列接続とOP3~OP6の直列接続と、2つの構成となっています。
OP1-OP2ではキャリアOP1にMODE: EFFECT: WAVESHAPERが使用され, OP1, OP2の信号をWAVESHAPERで選択されたWAVESHAPEのTABLEで波形を変化させています。
OP-PITCHでOP1のTRANSPOSEに-12semi(-12半音、1オクターブ下)が設定されています。
OP-L MODでOP1にはベロシティによりレベルが変化するように設定されています。
OP1のEFFECT: WAVESHAPER: OSC MIXをLFO3で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
OP3~OP6では、キャリアOP3にMODE: FILTERが使用され、OP4~OP6のFM変調で作成した音とOP3のオシレーターをLPFのフィルターでフィルタリングしています。
キャリアのOP3にOP-PITCHでDETUNEが深めに、OP-L MODでLFO1の周期的変化をするように設定されています。
LFO1にはWAVEにSAW DOWNが使用され、これにより音が減衰を繰り返します。
FILTERはLPF12を使用して、CUTOFFが設定されています。
エフェクターは、UNISON VOICESを2に設定して厚みを加え、COMPRESSORでアタックを強調して音圧を上げ、REVERBでTYPEにSPACEを選択して遠くまで広がるような響きを演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでFX3のREVERBのREVERB LEVEL、OP2のLEVELを変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでOP2のLEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアのOP1にMODE: EFFECT: WAVESHAPERで、モジュレーターのOP2のLEVELが0で効果がなし。
OP1のOSC MIXが54%となっていますので、自身のオシレーターの音をエフェクトしていることになります。
OP3にMODE: FILTERが設定されています。
OP4~OP6で作成した音とOP3のオシレーターの音にフィルターをかけて出力しています。
いろいろエディットして音作りを楽しめるプログラムです。
OP-EG
キャリアであるOP1, OP3に対して約2秒の長いRELEASE TIMEが設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP1はTRANSPOSEが-12semi(12半音下ですから1オクターブ下)が設定されています。
OP3はDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-L MOD
OP1は鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP3, OP6はLFO1による周期的変化が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用されてCUTOFF周波数が4.284Hzと絞られています。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGはパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO
LFO1は、WAVEにSAW DOWNが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが1/8に設定されています。
LFO3は、WAVEにSQUAREが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが1/4に設定されています。
LFO3はOP1のEFFECT: WAVESHAPER: OSC MIXを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はUNISON ENSEMBLE、FX2はCOMPRESSOR、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のEFFECT: WAVESHAPER: OSC MIXをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FX3のREVERBのREVERB LEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP2のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP2のLEVELをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 290 WS Pulse Anthem」と題して、プリセット・プログラム「290 WS Pulse Anthem」のパラメーターを分析しました。
実験ではMODE: EFFECT: WAVESHAPERのTYPEを切り替えて、60種類全部録音しました。
どれも使えますね。
WAVESHAPERはFM音源と相性の良い機能です。
皆さんもチャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 050 Ring Pipe Organ」と題して、プリセット・プログラム「050 Ring Pipe Organ」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント