みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
前述のページで「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(2)」と題して、LPFの「レゾナンスの効果」について実験しました。
今回は「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(3)」、HPFとBPFの効果について実験しながら説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
- FILTER1:BALANCE:HPF
- 実験(HPFの効果)
- FILTER1:BALANCE:BPF
- 実験(BPFの効果)
- まとめ
FILTER1:BALANCE:HPF
まず、HPFについて実験しましょう。
HPFは、高域の周波数を通して、低域の周波数成分を減衰させるので、LPFと印象は随分違います。
CUTOFFの値は0で効果なし。設定値を上げていくことで効果が出てきます。
実験(HPFの効果)
実験1(FILTER1:BALANCE:HPF、CUTOFF:0、RESONANCE:0)
CUTOFFの値が0でも、THRUの時とは音が違っていました。
では、実験してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[HPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を0に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
波形
CUTOFFの値が0でも、THRUの時とは音が違っていました。
この音はこの音で使えそうです(笑)
周波数スペクトル
実験2(FILTER1:BALANCE:HPF、CUTOFF:48、RESONANCE:0)
それでは、カットオフ周波数の値を上げて、音を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[HPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を48に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
波形
「ジー」という音に変わりましたね。
周波数スペクトル
HPFなので、低域側の周波数成分がろ過されていく様子がわかります。
実験3(FILTER1:BALANCE:HPF、CUTOFF:48、RESONANCE:64)
では、実験2の設定からレゾナンスの値を上げて、音を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[HPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を48に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を64に設定
- A=220Hzを弾く
音データ
「ジー」の後ろに「アー」がいそう(笑)
これがHPFのレゾナンスの効き方なのかな。
波形
周波数スペクトル
実験4(FILTER1:BALANCE:HPF、CUTOFF:0→127、RESONANCE:0)
今度は、HPFのカットオフ周波数を変化させて、音の変化を確認しましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[HPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を0に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾きながら、「FILTER1:CUTOFF」を0→127に変化させて、音を確認します
音データ
「FILTER1:CUTOFF」の値を上げていくと、低い周波数側がろ過されていきます。
基音がどんどん減衰されて、音がやせて高くなった感じがしますね。
最後は、「じー」という高音域の音ばかりになってしまいました。
実験5(FILTER1:BALANCE:HPF、CUTOFF:0、RESONANCE:0→127)
今度はレゾナンスの値を変化させて、音の変化を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[HPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を0に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾きながら、「FILTER1:RESONANCE」を0→127に変化させて、音を確認します
音データ
「ミー」というクセのある音になっていきます。
最後には発振してしまいました。
FILTER1:BALANCE:BPF
今度は、BPFです。
「バンド・パス・フィルター」ですから、カットオフ周波数をポイントにして、周波数帯域幅のみ残すフィルターです。
実験(BPFの効果)
実験1-1(FILTER1:BALANCE:BPF、CUTOFF:127、RESONANCE:0)
まず、「FILTER1:CUTOFF」の値を127(高音域)にして、音を確認しましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[BPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を127に設定(変更なし)
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
BPFを選択しただけで、周波数帯域幅が設定されて、それ以外はろ過されてしまいました。
◆波形
◆周波数スペクトル
基音の220Hzもレベルが下がってしまいました。
実験1-2(FILTER1:BALANCE:BPF、CUTOFF:64、RESONANCE:0)
では、カットオフ周波数の値を64(実験1より低域側に移動)にして、音を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[BPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を64に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
実験1より低域が出てきました。
波形
周波数スペクトル
実験1よりも高域側のレベルが下がって、真ん中あたりのレベルが上がっています。
実験1-3(FILTER1:BALANCE:BPF、CUTOFF:32、RESONANCE:0)
実験2より「FILTER1:CUTOFF」の値を下げて、より低域側の周波数ポイントにして音を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[BPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を32に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
音データ
より高域が削られてきましたね。
その分、低域が出ている印象です。
波形
周波数スペクトル
基音のある220Hz付近のレベルが上がりました。
高域側の周波数成分は実験2より下がりました。
これにより、波形もより膨らんだんだと思います。
実験1-4(FILTER1:BALANCE:BPF、CUTOFF:0→127、RESONANCE:0)
BPFのカットオフ周波数を手動で変化させて、音を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[BPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を0に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾きながら、「FILTER1:CUTOFF」を0→127に変化させて、音を確認する
音データ
実験2-1(FILTER1:BALANCE:BPF、CUTOFF:48、RESONANCE:64)
今度はレゾナンスの効果を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[BPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を48に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を64に設定
- A=220Hzを弾く
音データ
「コー」といった、LPFやHPFとは違った音ですね。
波形
◆周波数スペクトル
実験2-2(FILTER1:BALANCE:BPF、CUTOFF:48、RESONANCE:0→127)
BPFのレゾナンスを手動で変化させて、音を確認してみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:BALANCE」を[BPF]に設定
- 「FILTER1:CUTOFF」を48に設定
- 「FILTER1:RESONANCE」を0に設定
- A=220Hzを弾を弾きながら、「FILTER1:RESONANCE」を手動で0→127に変化させて、音を確認する
音データ
まとめ
今回は「シンセサイザーの機能 フィルターの効果(3)」、HPFとBPFの効果について実験しながら説明しました。
シンプルに1つ1つのパラメーターの変化を確認しただけですので、他のパラメーターを変化させることで、もっと複雑な音の変化が得られます。
さて、従来のアナログ・シンセサイザーに搭載されていたフィルターのパラメーターの説明はここまでとなります。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「シンセサイザーの機能 アンプとエンベロープ・ジェネレーター:AMP、AMP EG(EG2)」について説明します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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