みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「シンセサイザーの機能 音の周期的な変化:LFO(1)」と題して、「概要」と「基本的な使用方法」を実験をもとに説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
LFO(LOW FREQUENCY OSCILLATOR)
LFO は低周波発振器のことです。
ゆっくりとした周期的な波だから低周波(Low Frequency)です。
電子マッサージ器を使うと「ぶぅーんっ」と、心地よい振動を体に与えてくれますよね。
「うゎん、うゎん」とか「ひゅん、ひゅん」とか「しゅわしゅわ」とか「ぶるぶるぶるぶる・・・」とか。
音はしなくても、ゆっくりした周期の波を発生させる機能です。
その周期的な変化を自動的に発生させることで、さまざまな音の要素のパラメーターに変化を与えることができます。
LFO の代表的な使用例として、
- OSCのピッチをLFOで周期的に変化を与える
⇒ビブラート効果 - FILTERの音の変化のパラメーターのレベルをLFOで周期的に変化を与える
⇒ワウ効果 - AMPの音量のレベルをLFOで周期的に変化を与える
⇒トレモロ効果(音量を LFO で上下させる)
があります。
microKORG XL+のLFO
microKORG XL+は1つのティンバーに2つのLFOを備えています。
従来のアナログ・シンセサイザーではLFOは1つが主流でありましたが、ここでは、そこまでこだわらず、LFOの基本性能として説明します。
2つのLFOは使える波形の種類が少し違うところがありますが、基本的なパラメーターは一緒です。
あらかじめ、VIRTUAL PATCHにて、LFOで変化を与えるパラメーターのセッティングがされています。
- SOURCE:効果を与える側のセクション(コントローラー)
- DESTINATION:効果を受ける側のパラメーター
PATCH No. | SOURCE | DESTINATION | INTENSITY |
1 | LFO1 | PITCH | 0 |
2 | LFO2 | PITCH | 0 |
3 | LFO1 | FILTER1 CUTOFF | 0 |
4 | LFO2 | FILTER1 CUTOFF | 0 |
5 | LFO2 | AMP LEVEL | 0 |
6 | LFO2 | PANPOT | 0 |
VIRTUAL PATCHの「DESTINATION」で選択できるパラメーターは多岐に渡ります。
別途、説明します。
- ビブラート効果
PATCH No.1(LFO1)、No.2(LFO2)でINTENSITYを上げると、PITCHに対してLFOの効果を与えることができます。 - ワウ効果
PATCH No.3(LFO1)、No.4(LFO2)でINTENSITYを上げると、FILTER1のカットオフ周波数に対してLFOの効果を与えることができます。 - トレモロ効果
PATCH No.5(LFO2)でINTENSITYを上げると、AMP LEVELに対してLFOの効果を与えることができます。 - PAN効果
PATCH No.6(LFO2)でINTENSITYを上げると、PANPOTに対して左右に定位をずらす効果を与えることができます。
VIRTUAL PATCHはSOURCE(変化を与える側)とDESTINATION(変化を受ける側)の選択を変更できますので、LFOによる変化が不要な場合、他の設定に変更が可能です。
詳細は、VIRTUAL PATCHの回で説明します。
では、実験してみましょう。
実験(LFO)
実験1(ビブラート効果)
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- LFO2は「LFO2:WAVE」を[SINE]、「LFO2:FREQ」を6.00Hzに設定(変更なし)
- 「VIRTUAL PATCH2(LFO2→PITCH)」の「INT」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
- 「VIRTUAL PATCH2(LFO2→PITCH)」の[INT]を手動で0→+63に変化して、音の変化を確認する
LFO2にのみサイン波があるので、LFO2を使います。
音データ
後半はビブラートの域を超えちゃってるね(笑)
実験2(ワウ効果)
フィルターにLFOの効果を与えてみましょう。
フィルターのパラメーターの「FILTER:CUTOFF」にLFOの変化を与えていきます。
これによりカットオフ周波数が周期的な変化をすることになり、いわゆる「ワウ効果」が得られます。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:CUTOFF」を35、「FILTER1:RESONANCE」を38に設定
- LFO2は「LFO2:WAVE」を[SINE]、「LFO2:FREQ」を6.00Hzに設定(変更なし)
- 「VIRTUAL PATCH4(LFO2→FILTER1 CUTOFF)」の「INT」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
- 「VIRTUAL PATCH4(LFO2→FILTER1 CUTOFF)」の[INT]を手動で0→+63に変化して、音の変化を確認する
LFO2にのみサイン波があるので、LFO2を使います。
音データ
「ワウワウ」言うから「ワウ効果」。
ならば後半は「パウ効果」(笑)
実験3(トレモロ効果:その1)
今度はパラメーター「AMP:LEVEL」に対してLFOによる時間的変化を与えます。
これにより、音量の周期的なレベルの変化として、トレモロ効果が得られます。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- LFO2は「LFO2:WAVE」を[SINE]、「LFO2:FREQ」を6.00Hzに設定(変更なし)
- 「VIRTUAL PATCH5(LFO2→AMP LEVEL)」の「INT」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
- 「VIRTUAL PATCH5(LFO2→AMP LEVEL)」の[INT]を手動で0→+63に変化させて、音の変化を確認する
音データ
音量の時間的変化。
後半はレイブ・ミュージックには良いかもしれないけれど、耳にはちょっと危険な香り。
実験4(トレモロ効果:その2)
今度は実験2のフィルター設定した波形に実験3と同じ実験をしてみます。
測定方法
実験2で使用したFILTER1の設定値をそのままにして、実験3と同じ測定をした。
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「FILTER1:CUTOFF」を35、「FILTER1:RESONANCE」を38に設定
- LFO2は「LFO2:WAVE」を[SINE]、「LFO2:FREQ」を6.00Hzに設定(変更なし)
- 「VIRTUAL PATCH5(LFO2→AMP LEVEL)」の「INT」を0に設定(変更なし)
- A=220Hzを弾く
- 「VIRTUAL PATCH5(LFO2→AMP LEVEL)」の[INT]を手動で0→+63に変化させて、音の変化を確認する。
音データ
「FILTER1:CUTOFF」がちょっと低すぎたかな。
でも比較なので、効果はわかっていただけると思います。
実験5(周期的に定位を変化させる:その1)
LFOを使って自動で周期的に定位を変化させてみましょう。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「LFO2:WAVE」を[SINE]に設定(変更なし)
- 「LFO2:FREQ」を3.00Hzに設定
- 「VIRTUAL PATCH6(LFO2→PANPOT)」の「INT(INTENSITY)」を+63
- A=220Hzを弾く
音データ
ヘッドフォンで聴くことが多くなったから、こんな効果もありでしょ。
実験6(周期的に定位を変化させる:その2)
LFOを使って自動で周期的に定位を変化させてみましょう。
今回は、「LFO:FREQ」を手動で変化させてみます。
測定方法
- PROGRAM [INITPROG]を選択
- 「LFO2:WAVE」を[SINE]に設定(変更なし)
- 「VIRTUAL PATCH6(LFO2→PANPOT)」の「INT(INTENSITY)」を+63に設定
- 「LFO2:FREQ」を0.01Hzに設定
- A=220Hzを弾く
- 「LFO2:FREQ」を手動で0.01Hz→100.0Hzに変化させて、音の変化を確認する。
音データ
定位の効果はステレオ化されてからだから、従来のアナログ・シンセサイザーではなかった機能だね(笑) 先走りしました。
まとめ
今回は「シンセサイザーの機能 音の周期的な変化:LFO(1)」と題して、「概要」と「基本的な使用方法」を実験をもとに説明しました。
LFOは従来のアナログ・シンセサイザーの機能として音作りの要素として重要な役割を果たしてきました。
LFOを使うことで、周期的な音の変化にシンセサイザーらしい音に感じた人も多いと思います。
いろいろと試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は「シンセサイザーの機能 音の周期的な変化:LFO(2)」と題して、「LFO:WAVE」と「LFO:FREQUENCY(FREQ)」について説明します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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