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シンセサイザーの機能 複数のオシレーターによる効果(3):リング・モジュレーター

この記事は約8分で読めます。

みんさん、こんにちは、
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。

今回は「シンセサイザーの機能 複数のオシレーターによる効果(3):リング・モジュレーター」について説明します。

KAMIN
KAMIN

いっぱい実験しちゃってます。

このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。

リング・モジュレーター

リング・モジュレーター

リング・モジュレーター(RING MODULATOR)は、OSC1とOSC2の波形の和と差を生み出してモジュレーション(変調:くすぐり)を行う機能です。

今度は、OSC2の波形をOSC1の波形の和と差を生み出して波形を作り出すといった、摩訶不思議な機能です。

単純に考えると、リング・モジュレーターに300Hzの周波数の信号と400Hzの信号を入力すると、700Hzと100Hzの信号が生まれるという仕組みです。

倍音の多い波形を選べばより複雑な音になります。

機能図

リング・モジュレーター:概念図

引用「microKORG XL+ 取扱説明書」より

KAMIN
KAMIN

OSC1の波形には影響がありません。

音作りの手順

  • 「MIXER」セクションで「OSC2」のレベルを上げる
  • 「OSC2」セクションの「OSC MOD」で「RING」に設定
  • 「OSC1」、「OSC2」セクションの「WAVE」で波形に設定
  • 「OSC2」セクションの「SEMITONE」と「TUNE」パラメーターで音の高さをずらす
  • 「WAVE」の選択を含めて微調整をして音作りを完了する

では、実験をして音を聴いてみましょう。

実験(OSC2:OSC MOD:RING)

実験1(OSC2:WAVE:SAW、OSC2:OSC MOD:RING、TUNE:10)

実験1(OSC2:WAVE:SAW、OSC2:OSC MOD:RING、TUNE:10)

測定方法

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC1:WAVE」を[SAW]に設定(変更なし)
  3. 「OSC2:WAVE」を[SAW]に設定(変更なし)
  4. 「MIXER:OSC1」を0に設定
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」を[RING]に設定
  7. 「OSC2:TUNE」を+10に設定
  8. A=220Hzを弾く

音データ

波形

「OSC2:TUNE」を10に設定したことで、OSC1とOSC2の間で音の揺らぎが発生しています。

KAMIN
KAMIN

実際の波形は動いています。

実験1(OSC2:WAVE:SAW、OSC2:OSC MOD:RING、TUNE:10):波形

周波数スペクトル

実験1(OSC2:WAVE:SAW、OSC2:OSC MOD:RING、TUNE:10):周波数スペクトル

実験2-0(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:OFF、OSC2:TUNE:32)

今度はOSC2の波形を「PULSE」に変更して実験してみましょう。

まず、リング・モジュレーターをOFFにして、パルス波を聞いてみます。

実験2-0(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:OFF、OSC2:TUNE:32)

測定方法

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC2:WAVE」を[SAW]に設定(変更なし)
  3. 「OSC2:WAVE」を[PULSE]に設定
  4. 「MIXER:OSC1」を0に設定
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」をOFFに設定
  7. 「OSC2:TUNE」を+32に設定
  8. A=220Hzを弾く

音データ

波形

実験2-0(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:OFF、OSC2:TUNE:32):波形

周波数スペクトル

実験2-0(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:OFF、OSC2:TUNE:32):周波数スペクトル

実験2(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+32)

実験2-0でOSC2の波形を「PULSE」に変更しましたので、OSC1:WAVE:SAWでリング・モジュレーションさせてみましょう。

実験2(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+32)

測定方法

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC2:WAVE」を[SAW]に設定(変更なし)
  3. 「OSC2:WAVE」を[PULSE]に設定
  4. 「MIXER:OSC1」を0に設定
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」を[RING]に設定
  7. 「OSC2:TUNE」を+32に設定
  8. A=220Hzを弾く

音データ

KAMIN
KAMIN

よく聞けば、パルス波っぽいところはありますね。

でも名前が付けられる波形ではないですね。

波形

実験2(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+32):波形

周波数スペクトル

実験2(OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+32):周波数スペクトル

実験3(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+2)

またちょっと違う波形で試してみましょう。
今度は「OSC1:WAVE」を[SINE]、「OSC2:TUNE」を[2]で値を小さくしました。

実験3(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+2)

測定方法

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC2:WAVE」を[SINE]に設定
  3. 「OSC2:WAVE」を[PULSE]に設定
  4. 「MIXER:OSC1」を0に設定
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」を[RING]に設定
  7. 「OSC2:TUNE」を+2に設定
  8. A=220Hzを弾く

音データ

KAMIN
KAMIN

サイン波を使ったことで、うねりのある音が鳴りました。

波形1

波形も時間とともに変化します。

実験3(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+2):波形1

周波数スペクトル1

実験3(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+2):周波数スペクトル1

波形2

実験3(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+2):波形2

周波数スペクトル2

実験3(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:+2):周波数スペクトル2

実験4(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:0→+63)

今度は実験3の設定で「OSC2:TUNE」を[0→63]へ手動で変化させてみました。

実験4(OSC1:WAVE:SINE、OSC2:WAVE:PULSE、OSC2:OSC MOD:RING、OSC2:TUNE:0→+63)

測定方法

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC2:WAVE」を[SINE]に設定
  3. 「OSC2:WAVE」を[PULSE]に設定
  4. 「MIXER:OSC1」を0に設定
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」を[RING]に設定
  7. 「OSC2:TUNE」を0に設定
  8. A=220Hzを弾く
  9. 「OSC2:TUNE」を0→+63に変化させて、音を確認する

音データ

OSC2:TUNEの値を変えただけで、これだけ変化します。

実験5(取扱説明書の参考例1:BELL音)

例えば、OSC2に矩形波(OSC1では PULSE)を選び、“TRANSPOS” を 0、“SEMITONE” を +24 に設定します。“TUNE” を設定するとクリアなベルの音色を得ることができます。

microKORG XL+ 取扱説明書より
実験5(取扱説明書の参考例1:BELL音)

測定方法

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC1:WAVE」を[PULSE]に設定
  3. 「OSC2:WAVE」を[PULSE]に設定
  4. 「MIXER:OSC2」を127に設定(変更なし)
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」を[RING]に設定
  7. 「OSC2:SEMITONE」を+24に設定
  8. 「OSC2:TUNE」を+4に設定
  9. A=220Hzを弾く

音データ

KAMIN
KAMIN

うん、ベル音っぽい。

もう少し試せば面白そうです。

実験6(取扱説明書の参考例2:OSC2:TUNEをLFOで変化させた音)

もう一つ、参考例がありましたので、実験してみましょう。

バーチャル・パッチで“OSC2.TUNE” に LFO や EG でモジュレーションをかけると、特殊な効果を得ることができます。

microKORG XL+ 取扱説明書より
実験6(取扱説明書の参考例2:OSC2:TUNEをLFOで変化させた音)
実験6(取扱説明書の参考例2:OSC2:TUNEをLFOで変化させた音):VIRTUAL PATCH1
実験6(取扱説明書の参考例2:OSC2:TUNEをLFOで変化させた音):LFO2

測定方法

今回はLFOでモジュレーションをかけます。

  1. PROGRAM [INITPROG]を選択
  2. 「OSC1:WAVE」を[PULSE]に設定
  3. 「OSC2:WAVE」を[PULSE]に設定
  4. 「MIXER:OSC1」を127に設定(変更なし)
  5. 「MIXER:OSC2」を127に設定
  6. 「OSC2:OSC MOD」を[RING]に設定
  7. LFO2のパラメーターは初期設定値のまま
    「LFO2:WAVE」を[SINE]、「LFO2:KEY SYNC」を[OFF]、「LFO2:BPM SYNC」を[OFF]、「LFO2:FREQ」を6.00Hz(変更なし)
  8. 「VIRTUAL PATCH1」の「SOURCE」を[LFO2]、「DESTINATION」を[OSC2 TUNE]、INT(INTENSITY)を+16に設定
  9. A=220Hzを弾く

音データ

KAMIN
KAMIN

「OSC2:TUNE」にLFOの周期的変化を与えることで、波形が周期的に変化します。

ウルトラセブンあたりの円盤が登場しそうです。

KAMIN
KAMIN

OSC1の波形は影響がありません。

わかりやすくするために鳴らしています。
LFOで変化した音だけにするなら「MIXER:OSC1」を0に設定すれば消えます。

まとめ

今回は「シンセサイザーの機能 複数のオシレーターによる効果(3):リング・モジュレーター」について説明しました。

「リング・モジュレーター」は、波形の足し算、引き算の効果。

よくわからなくても、変わった音が出てきます(笑)

一度チャレンジしてみてください。

この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。

さて、次回は「シンセサイザーの機能 複数のオシレーターによる効果(4):オシレーター・シンク、リング・モジュレーションとオシレーター・シンクを同時に使う」について説明します。

では。

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