みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 020: Ana Eleki Piano」と題して、MODE: EFFECTにPEAK EQを使用したプリセット・プログラム「020: Ana Eleki Piano」のパラメーターを分析します。
(※2023.07.05. 執筆途中の箇所が見つかり、追記しました)
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
ゆったりした揺れを持ったエレピの音です。
MODE: EFFECTにPEAK EQを使用して中域にクセがある音を演出しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
A3=220Hzを4回、徐々に強く弾きます。
音データ
ベロシティの効果がわかりますね。
実験2: 鍵盤の位置での効果
以下の設定で4オクターブをアルペジエーターで鳴らしてみます。
音データ
ディケイ・タイムを変化させて、鍵盤の位置で音の変化がないように補正しているのかな。
実験3: OP1: PEAQ EQのパラメーターを変化させる
では、OP1のMODE: EFFECTのPEAQ EQのパラメーターを動かして音の変化を確認します。
以下のアルペジエーター設定で、A3=220Hzを弾きながらGAINパラメータを12.0dBに上げて、FREQパラメーターを+/-に変化させます。
音データ
FREQを変化させて、EQのかかり具合を確認しました。
実験4: OP3: PEAQ EQのパラメーターを変化させる
では、OP3のMODE: EFFECTのPEAQ EQのパラメーターを動かして音の変化を確認します。
以下のアルペジエーター設定で、A3=220Hzを弾きながらGAINパラメータを12.0dBに上げて、FREQパラメーターを+/-に変化させます。
音データ
FREQを変化させて、EQのかかり具合を確認しました。
実験5: モジュレーション・ホイールを動かす
以下のアルペジエーター設定で、A3=220Hzを弾きながらモジュレーション・ホイールを動かします。
音データ
ヴァーチャル・パッチ2で設定したCOARSE RATIOの設定で、OP4のピッチが変化しているのがわかります。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
確認したところ、以下のような設定がされていました。
- アルゴリズム7を使って音作りがされています。
- キャリアにOP: MODE: EFFECTのPEAQ: EQを使ってイコライジングされています。
- オペレーターで作った音を低域を強調するようにフィルタリングされています。
- バーチャル・パッチを使用して、モジュレーション・ホイールを上げることでエフェクターの効果が出るように演出されています。
- その他、細かな設定がされていますので、詳細は以下をご覧ください。
では、各ページでのパラメーター設定を確認します。
アルゴリズム
アルゴリズム7を使って音作りをしています。
キャリアが2つあり、OP1とOP2で1つの音、OP3~OP6で1つの音が作られています。
ベースとなる音は2つのキャリアで作られていますが、OP1とOP2で芯となる部分、OP3~OP6でアタック・ノイズ等を含んだ音を作っています。
また、OP: PITCH: DETUNEパラメーターを3つのオペレーターで設定してピッチをずらすことでFM独特の揺らぎを演出しています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
- 2つのキャリアのWAVEにはSAWが設定されています
MODE: EFFECTであるため、その波形の出力はOSC MIXで決めます。
OSC MIXはどちらも100%です。
- キャリアであるOP1のRATIOは周波数比が1.0100を設定されていて、もう一つのキャリアOP3が1.0000であるので、この2つの音で揺らぎが生じる
- PEAK EQの設定は中心周波数を決めて、その周辺の周波数成分を+3.0dB上げています。
- モジュレーターOP4は、キャリアに対してRATIOを周波数比1.0400と少し変えていて、FM独特のアタックの「コッ」とした響きを作り出しています。
- OP5の波形にNOISE WHITEを使用してMODE: FILTERにより高域の周波数成分をカットしている。アタック・ノイズの成分なので、パラメーターを変化させても効果があまりわからなかった。
- OP6は設定されていますが、聴感上その効果はわかりませんでした。
OP-EG
ベーシックな部分はディケイ・タイムが長く、サスティン・レベルが低い、リリース・タイムが少しのピアノの典型的なエンベロープ・パターンです。
OP5とOP6はアタック時の雑味を入れるオペレーターなので、ディケイ・タイムが短く設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-KEY TRACK
デチューン、ベロシティ、キー・トラック、その他と多様に設定されています。
FILTER
オペレーターで作った音を低域を強調するようにフィルタリングされています。
弦の色合いをレゾナンスで作っていますね。
MOD(EG、LFO)
EG1はOP5のNOISE WHITEのLEVELとプログラム全体のLEVELに使用されています。
EG2はフィルターのベロシティでコントロールする変化用として使用されています。
LFO1はオペレーターのPITCHの変化用として使用されています。
EFFECT
初期設定値では、エフェクトは3種類設定されていますが、リバーブのみ効果があります。
- FX1のAUTO PANはDEPTHが0%ですが、V.PATCH8でモジュレーション・ホイールを上げることで効果が得られるように設定されています。
- FX2のUNISON ENSEMBLEは、DRY: WET MIXが0ですが、V.PATCH5でのため、モジュレーション・ホイールを上げることで効果が得られるように設定されています。
- FX3のREVERBはTYPEがHALLで低音にマッチした深い残響効果を演出しています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラム全体のDECAY TIMEを鍵盤キーの位置によって時間を変化させています。
DX-7のレート・スケーリングの機能の代用ですかね。
- V.PATCH2は、キャリアのOP3の最初のモジュレーターOP4のRATIOをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、プログラム全体の音量をEG1で変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、キャリアのOP3の2番目のモジュレーターOP5のホワイトノイズをMODE: FILTERのカットオフ周波数を鍵盤の位置によって変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、FX2であるUNISON ENSEMBLEのParameter1のMIXをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、キャリアであるOP1のMODE: FM: FEEDBACKの値を音の強弱(ベロシティ)で変化させるように設定されています。
- V.PATCH7は、FX3であるREVERBのParameter1のLEVELをアフタータッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、FX1であるAUTO PANのParameter1のDEPTHをモジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムからの変更はありませんでした。
VOICE
UNISON: VOICEが2に設定されていて、ユニゾン効果を演出しています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 020: Ana Eleki Piano」と題して、MODE: EFFECTにPEAK EQを使用したプリセット・プログラム「020: Ana Eleki Piano」のパラメーターを分析しました。
このプログラムは揺らぎとアタックの演出が凝っていますね。
いろいろと実験してしまいました。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixの機能: MODE: EFFECT: SHELVING EQ」と題して、機能説明と実験を行います。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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