みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 033 Folk Piano」と題して、MODE: EFFECTにDACIMATORを使用したプリセット・プログラム「033 Folk Piano」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
残響がノイジーなエレピの音です。
このノイジーな音はMODE: EFFECT: DACIMATORで作られています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
A3=220Hzを強めに弾きます。
音データ
荒れた感じの音はOP3のMODE: EFFECTのDECIMATORの効果です。
実験3: OP3のLEVELをスライダーで動かす
以下のアルペジエーターの設定で、A3=220Hzを弾きながら、OP3のMODE: EFFECTのDECIMATORのLEVELスライダーを0%→100%→33%と変化させます。
音データ
DECIMATORは、サンプリング周波数を下げたり、BIT長を下げることで荒い音に変化させます。
効き具合を調整して使うと程よい荒れた音になりますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
エンベロープを長めにすることで、エフェクトをオフにしても残響の効果がある音作りです。
主な音作りは以下の通りです。
- 3つのキャリアで音を重ねていく作り方です。
- OP5で音の芯を作って、OP4はその周りを囲うような音。OP1はMODE: RING MOD.を使って、管を通ったような音を作っています。
- モジュレーターOP3のMODE: EFFECTのDECIMATORはより複雑な波形で変調をかけるために使われています。
- OP1~OP3の音を聞くと、OP3によってディジュリドゥのような木の管のような荒れた感じの音になっています。
- モジュレーション・ホイールでフィルターの効果を変化させています。
では、各ページでのパラメーター設定を確認します。
アルゴリズム
アルゴリズム19は、キャリアが3つ。
オペレーターの構成は以下の通りです。
- OP1のキャリアにOP2、OP3のモジュレーターが直列接続されている。
- OP6のモジュレーターがOP4、OP5のキャリアに接続されている「逆Y字接続」。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP5が音の芯を作っています。
OP4はその周りを囲うような音。
OP1はMODE: RING MOD.を使って、管を通ったような音を作っています。
モジュレーターOP3のMODE: EFFECTのDECIMATORはより複雑な波形で変調をかけるために使われています。
OP1~OP3の音を聞くと、OP3によってディジュリドゥのような木の管のような荒れた感じの音になっています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-KEY TRACK
各オペレーターにベロシティとキー・トラックによるレベルコントロールが設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、LPF12のCUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG1はバーチャル・パッチでLFO1のSPEEDパラメーターを時間的変化するように設定されています。
EG2はFILTERでカットオフ周波数に対して時間的変化を与えるように設定されています。
EG3は立ち上がり、減衰にかかる時間が長く設定されています。
EG3はOP6のMODE: FMのWIDTHパラメーターを時間的変化するように設定されています。
LFO1は、WAVEがRANDOM: LVL&TIME、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.80Hz、FADE(フェード・イン)が1.073s、PHASE(始まる位相角度)が90degに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチへの周期的変化が設定されています。
EFFECT
エフェクトはFX2にDELAY(BPM)、FX3にREVERBが設定されています。
リバーブは時間が長い設定で、ディレイもテンポに同期している効果がわかりやすい設定です。
ディレイがBPMでテンポに合わせるとすっきりした感じに聞こえます。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラム全体のディケイ・タイムを鍵盤を弾く強弱(ベロシティ)で変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、フィルターのカットオフ周波数をモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、LFO1のSPEEDパラメーターの値をEG1で変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、フィルターのレゾナンスをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、OP6のMODE: FMのWIDTHパラメーターをEG3で変化するように設定されています。
MISC
- ピッチに関しては、ピッチ・ホイールを動かしてもピッチの変化をなくした設定です。
- LFO1によるピッチへの周期的変化が設定されています。
- プログラム全体のアタック・タイムとディケイ/リリース・タイムを設定して全体のエンベロープの具合を調整しています。
VOICE
UNISONが設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 033 Folk Piano」と題して、MODE: EFFECTにDACIMATORを使用したプリセット・プログラム「033 Folk Piano」のパラメーターを分析しました。
いろいろ設定されていますね。
DECIMATORはどのように使えばよいのか難しかったりしますよね。
モジュレーターで使って、ディジュリドゥのような木の管の感じがするのが印象的でした。
先人の知恵は有難い。
ピッチ・ホイールは効果が0になっていますが、特に他の効果に使われてはいなかったり...
分析すると、音を作っている方の試行錯誤の状態が見ることができる。
これも楽しいんです。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixの機能: MODE: EFFECT: WAVESHAPER」と題して、機能説明と実験方法を説明します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント