みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 273 Deli Arp」と題して、プリセット・プログラム「273 Deli Arp」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
スペーシーな空間での深い音といった印象がします。
ARP(アルペジオ)機能でオクターブの反復を設定しています。
キーを押し続けるとゆったりした音の変化もあらわれます。
ARP(アルペジオ)の機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンス・データにベロシティやゲート・タイム、モジュレーション・ホイールの動作が設定されていて、フレーズ中の音の変化はこれによる効果が大きいです。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
実験1のモーション・シーケンスでは、シーケンスの中でベロシティやゲート・タイム、モジュレーション・ホイールの値もシーケンス・データとして設定されているので、単独でモジュレーション・ホイールの効果を確認します。
測定方法
C4を弾き、モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールの操作により複雑な音の変化が設定されています。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには16番のアルゴリズムが設定されています。
キャリアOP1が一つで、3つのY字接続されています。
2つのモジュレーターが2段接続(OP3-OP4、OP5-OP6)となった構成です。
OP1とOP2はキャリアとモジュレーターの関係でFM変調しています。
OP2はレベル・ベロシティが設定されています。
OP1, OP3, OP4は、モジュレーターであるOP3, OP4のFREQENCY TYPEがFIXED(固定周波数)。
2つの固定周波数でリング・モジュレーターを使ってできた信号でOP1を揺らします。
OP1, OP5, OP6は「ピコピコ」といった音を作っています。
OP5のMODE: EFFECT: PHASER: OSC MIXが0ですが、バーチャルパッチでEG3の時間的変化を設定しています。
OP5のMODE: EFFECT: PHASER: FREQUENCYをバーチャルパッチでLFO3の時間的変化を設定しています。
これで音の周期的なうねりが変化しています。
OP6のMODE: FM: FEEDBACKをバーチャルパッチでLFO2の周期的変化を設定しています。
これで高音域成分が変化しています。
全体としてUNISON SPREADをバーチャルパッチでLFO3の周期的変化を設定しています。
エフェクトは、PHASERで音にうねりを出して、DELAY(BPM)を薄めにかけて、SHIMMER REVERBですっきりした残響を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールでDECAY/RELEASE TIMEを伸ばして、OP5のLEVELを上げ、DELAY(BPM)のLEVELを上げて、全体のLEVELを上げるように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
各オペレーターに対して、時間的変化が調整されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP1にEG1の時間的変化を鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)によりコントロールするように設定されていますが、変化量が0.00semiのため効果はありません。
OP-L MOD
OP2に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
基準キーに対して、高いキーになるほどOP1はマイナス、OP3, OP4はプラスのレベルになる設定がされています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECAY TIMEが少し短く、CURVEに8を設定しているので減衰が急なためRELEASE TIMEを少し長く設定されています。
EG1はOP-P MODでOP1に時間的変化を鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)によりコントロールするように設定されていますが、変化量が0.00semiのため効果はありません。
EG2はDECAY TIMEが少し短く設定されています。
EG3はATTACK TIMEを少しだけ設定して、立ち上がりを調整しています。
DECAY TIMEが少し短く、CURVEに9を設定しているので減衰が急なためRELEASE TIMEを少し長く設定されています。
EG3はバーチャル・パッチでOP5のMODE: EFFECT: PHASERのOSC MIXを時間的変化するように設定され、、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00zに設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHによりピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.14Hzに設定されています。
LFO2はバーチャル・パッチでOP6のMODE: FM: FEEDBACKを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.27Hzに設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP5のMODE: EFFECT: PHASERのFREQUENCY、UNISON SPREADを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はPHASER、FX2はDELAY(BPM)、FX3はSHIMMER REVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP5のMODE: EFFECT: PHASERのFREQUENCYをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP6のMODE: FM: FEEDBACKをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP5のMODE: EFFECT: PHASERのOSC MIXをEG3で時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
- V.PATCH4は、UNISON SPREADをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、プログラム全体のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、プログラム全体のRELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、FX2のDELAY(BPM)のDELAY LEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、プログラム全体のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
ピッチ・ベンドに対して±12semi(上下1オクターブ)の範囲に設定されています。
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
LOFIがONに設定されています。
全体のATTACK TIME、DECAY/RELEASE TIMEが少し調整されています。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが35cents、UNISON SPREADが27%に設定されています。
ARP、SEQ
アルペジエーターが使用されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 273 Deli Arp」と題して、プリセット・プログラム「273 Deli Arp」のパラメーターを分析しました。
実験ではモジュレーション・ホイールの操作での音の変化を確認しました。
遊んでみるとOP3あたりを操作すると面白かったのでチャレンジしてみてください。
例えば、RING MOD.をFIXED→RATIOにしてみるとか、WAVEをNOISE PINKにしてみるとか...
楽しいですよ。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 015 Overcompressed」と題して、プリセット・プログラム「015 Overcompressed」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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