みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 037 Metalic Pluck」と題して、プリセット・プログラム「037 Metalic Pluck」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
クラビネットにチェンバリンの倍音成分を重ねたような音です。
MODE: EFFECT: COMB FILTERで独特の音の質感を作り出しています。
MODE: EFFECT: COMB FILTERの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
MODE: EFFECT: COMB FILTERで独特の音の質感を作り出しています。
実験2: OP4のMODE: EFFECT: COMBのOSC MIXを変更する
設定方法
OP4のMODE: EFFECT: OSC MIXを0%→15%に変更する。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
フィルターの効いた音に低音域の成分を増やしたかったので、このパラメーターを調整しました。
どうでしょうか?
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには02番のアルゴリズムが設定されています。
2つのオペレーターの直列接続と4つのオペレーターの直列接続で構成されています。
OP1~OP2の直列接続は、キャリアのOP1がRATIO 1.0000、モジュレーターのOP2がRATIO 0.5000とキャリアより低いピッチのRATIOで「ごりごり」とした音を作っています。
OP1のFM: FEEDBACKをEG1による時間的変化をバーチャル・パッチで設定してアタック時の音のノイジーな部分を演出しています。
OP3~OP6の直列接続は、OP5でMODE: FILTERを使ってRATIO 0.5000のNOISE PINKの音とOP6のMODE: EFFECT: PUNCHを使ったNOISE PINKの音にフィルターをかけた音をキャリアから2段をMODE: EFFECT: COMBを使用して、COMB FILTERをかけています。
COMB FILTERはOP4が0.2975、OP5が0.5000としてFEEDBACKを調整しています。
これでスティール弦を引っ掻いたような音を作っています。
OP5を除くオペレーターはベロシティで鍵盤を弾く強さによる効果を演出しています。
FILTERはINITプログラムのままで、効果はありません。
エフェクターは3-BAND EQでLOWとHIGHを上げ、REVERBで初期反射が多めの硬質な残響効果を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでキャリアのOP1とOP3のLEVELを上げ、プログラム全体のDECAY TIMEを長くするように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1-OP2で幹となる音をつくり、OP3~OP6で弦をはじく音をOP6のPUNCH効果を付けた信号をOP5のフィルターでレゾナンスを効かせてOP3, OP4のCOMB FILTERで独特の音の変化を与えています。
OP-EG
2つのキャリアのDECAY TIMEが長く、SUSTAIN LEVELが小さく設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP5はEG1によりピッチが時間的変化するように設定されています。
OP-L MOD
OP1からOP3、OP5, OP6は鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP4~OP6に対して、基準キーから高いキーになるほどレベルがマイナスに変化するように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECEY TIMEが少し短く、RELEASE TIMEが少し長く設定されています。
EG1はパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
EG2はバーチャル・パッチでOP1のMODE: FM: FEEDBACKを時間的変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.10Hz、に設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
EFFECT
FX1はOFF、FX2は3-BAND EQ、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のMODE: FM: FEEDBACKをEG2で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP3のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、プログラムのDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP1のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
UNISON VOICESが2、UNISON DETUNEが10cents、UNISON SPREADが51%に設定されています。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 037 Metalic Pluck」と題して、プリセット・プログラム「037 Metalic Pluck」のパラメーターを分析しました。
実験では音を補正するようにパラメーターを調整しました。
質感を保ってもう少し過激にするのなら、エフェクターにEARLY REFLECTIONを使ってみたりENHANCERやEXICITERを使うのも面白そう。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 042 Wave Shaper Clav」と題して、プリセット・プログラム「042 Wave Shaper Clav」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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