みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析:112 Fairy Tweets」と題して、プリセット・プログラム「112 Fairy Tweets」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
抑圧的な線の細い音にアルペジオのようにピッチの変化があります。
その周りに包み込むような音がします。
実験2で持続音を鳴らしているのにピッチが変化するのは、V.PATCH(VIRTUAL PATCH)でOP2のCOARSE RATIOをLFO3で周期的変化するように設定されているからです。
同じく実験2で音がふわふわと変化するのは、V.PATCH(VIRTUAL PATCH)でOP3のMODE: FMのFEEDBACKをLFO2で周期的変化するように設定されているからです。
LFOの機能については以下のページから説明しています。
V.PATCH(VIRTUAL PATCH)の機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: 持続音を試す
持続音でどのように変化するのか確認します。
測定方法
15秒程度、コードを弾きます(D5, G4, C6, F6)。
音データ
LFOで周期的変化をするように設定されています。
パラメーター分析
アルゴリズムには20番のアルゴリズムが設定されています。
OP1~OP3の逆Y字接続とOP4~OP6のY字接続といった構成です。
まず、OP1~OP3の逆Y字接続から。
これは2つのキャリアに1つのモジュレーターの信号が入力される構成です。
OP1-OP3ではキャリアとモジュレーターのRATIO比が1:0.0312とモジュレーター側が非常に低いピッチの構成です。
モジュレーターOP3のレベルが高いため、キャリアの音がFM変調により揺れながらアタック時にノイズがのる音がします。
OP2-OP3では、キャリアのOP2がモジュレーターOP3から信号が入力されるのは、OP1-OP3の時と同じです。
OP2はOP1よりLEVELが低い、波形にSINE 8BITを使っている、FEEDBACKを少し上げている
OP2のCOARSE RATIOの値をLFO3で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
これにより、RATIOが整数倍(マイナス時は1/整数の倍数)の音が順次発生するように聞こえます。
持続音を得るためにOP-EGのSUSTAIN LEVELを上げています。
モジュレーターのOP3はアタック時(ATTACK TIME=260ms)のみLEVELが上がるので、その間だけFM変調がかかる仕組みです。
OP3のFM: FEEDBACKにはLFO2で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
さて、今度はOP4~OP6のY字接続の構成を分析します。
これは、キャリアであるOP4に2つのモジュレーターOP5, OP6が並列でキャリアに信号を入力する構成です。
OP4-OP5ではキャリアとモジュレーターのRATIO比は、0.25:1。
OP5にMODE: RING MOD.が使用されていますが、後段のオペレーターがありませんので、リング・モジュレーターとしては機能しません。
SHAPEも0%なので波形は変化していないですし、RING DEPTHが50%ですからOP LEVELから出力が半分になっています。
OP-L MOD.でLFO1でキャリアのOP4のレベルを周期的変化させていて、LFO1の波形がEXP. SAW UPなので急峻なカーブでレベルが上がるように設定されています。
これにより、ゆっくりレベルが上がって最後は急にレベルが上がってを繰り返す効果で周期的に音が鳴る仕組みになっています。
OP4-OP6ではキャリアとモジュレーターのRATIO比は、0.25:20。
OP5がOP-KEY TRACKで基準キーをC4としてキーが高くなるほどマイナスになるように設定されているのに対して、OP6はそのままのレベルですので、キーが高くなるほどOP6の存在感が増すように設定されています。
FILTERはLPF12が設定されていますが、CUTOFFが最大でINITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターはうっすらとCHORUSがかけてあり、DELAY(BPM)でエコー感が加味されています。
OP3のMODE: FMのFEEDBACKをLFO2で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
これにより、少し雑味が加わっています。
全体に1オクターブ上に設定されています。
また、ピッチ・ベンドの可動範囲がプラスに7semi(5th)、マイナスに-5semi(4th)に設定されています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでOP4のLEVEL、OP4のMODE: FMのFEEDBACK、OP5のLEVEL、OP6のCOARSE RATIO、OP6のLEVEL、OP4のRELEASE TIME、OP1のLEVELを変化させるようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでOP5のLEVELをコントロールするように設定されています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズム
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP5にMODE: RING MOD.が設定されていますが、後段がないので
RING MOD.は機能していません。
OP-EG
OP1は、幹となる音。
OP2は、周期的に音を発生させる役割を担っています。
OP4~OP6は逆回転のような音の効果を担っています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
OP3に対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
OP4に対してLFO1による周期的変化をするように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1~OP5に対して、基準キーをC4とし、高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF12が使用されています。
カットオフ周波数に対して、基準キーをC4として、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがEXP. SAW UP、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.68Hzに設定されています。
LFO2は、WAVEがRANDOM: LVL&TIME、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDは3/4。
LFO2はOP3のMODE: FMのFEEDBACKを周期的変化するように設定されています。
LFO3は、WAVEがTRIANGLE、KKEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.42Hz、そしてPHASE(位相)を12deg(12度のところから始まる)に設定されています。
LFO3はバーチャル・パッチでOP2のCOARSE RATIOを周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はDELAY(BPM)、FX3はOFFが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のCOARSE RATIOをLFO3で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP3のMODE: FMのFEEDBACKをLFO2で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP5のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH6は、OP4のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、OP4のMODE: FMのFEEDBACKをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP5のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP6のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、OP6のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH11は、OP4のRELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、OP1のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに1oct(1オクターブ上)が設定されています。
ピッチ・ベンドの可動範囲がプラスに7semi(5th)、マイナスに-5semi(4th)に設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
実験
では、音で確認しましょう。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: 持続音を試す
持続音でどのように変化するのか確認します。
測定方法
15秒程度、コードを弾きます(D5, G4, C6, F6)。
音データ
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析:112 Fairy Tweets」と題して、プリセット・プログラム「112 Fairy Tweets」のパラメーターを分析しました。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
メロディと持続音の違いを楽しむ音。シンセサイザーだからこその音に巡り合えました。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 144 Slight Touch」と題して、プリセット・プログラム「144 Slight Touch」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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