みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 211 Funk Bass」と題して、プリセット・プログラム「211 Funk Bass」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
典型的なシンセ・ベースです。
空間系のエフェクトを使っておらず、むき出し感があります。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
FILTERがよく効いています。
実験2: EG2のCURVEを変更してみる
FILTERのカットオフ周波数に対してEG2の変化を与えるように設定されています。
EG2のCURVEに6が設定されています。
これを変化させた時に音がどのように変化するか確認します。
設定方法
アルペジエーターのパラメーターのうち、RESOLUTIONを1/16→1/4、OCTを3→1に変更
測定方法
アルペジエーターをLATCH ONにする。
A3を強めに弾きます。
MOD: EG2: CURVEを6→LIN(0)→EXP(10)→6と変化させる。
音データ
6→LIN(0)で減衰が緩やかに、EXP(10)になるにしたがって減衰が急峻になり、6になると再び減衰が緩やかになります。
MOD: EG: CURVEの機能については以下のページで説明しています。
CURVEで音の印象がガラっと変わりますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには12番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2のキャリア-モジュレーターの直列接続とOP3をキャリア、OP4~OP6をモジュレーターとしたY字接続の構成です。
OP1-OP2では、幹となる音を作っています。
波形はOP1がTRIANGLE、OP2がADDITIVE TRI3、RATIO比が0.5:3.03。
モジュレーター OP2のOP-EGがDECAY TIMEが短く、SUSTAIN LEVELが0で、アタック成分を作っています。
OP1, OP2はOP-PITCHでLFO1の周期的変化するように設定され、OP1側はモジュレーション・ホイールを動かすことで効果が出るように設定されています。
モジュレーターのOP2はキー・トラックで基準キーをC4として、高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
OP3~OP6では、ブーミーな成分を作っています。
OP5, OP6のLEVELが0なのですが、パラメーターが設定されています。
ユーザーがリアルタイムにLEVELを調整して使うことを想定していると思います。
波形はキャリアのOP3がSAW、モジュレーターはOP4, OP6がSINE、OP5がSAWです。
RATIOはキャリアのOP3が1.0100、モジュレーターはOP4が0.2500, OP5が2.0000、OP6が1.0000です。
OP3, OP4はOP-PITCHでLFO1の周期的変化するように設定され、OP3側はモジュレーション・ホイールを動かすことで効果が出るように設定されています。
キャリアのOP3はキー・トラックで基準キーをC4として、高いキーになるほどレベルがプラスになるように設定されています。
逆にモジュレーターのOP4はキー・トラックで基準キーをC4として、高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
FILTERはLPF MS-20を使用して、カットオフ周波数で高域成分をカット、レゾナンスを調整しています。
カットオフ周波数に対して、EG2による時間的変化をベロシティによりコントロールするように設定されています。
また、キー・トラックで基準キーをC3として、高いキーになるほどカットオフ周波数がプラスになるように設定されています。
エフェクターは、3-BAND EQでHI、LO、MIDの3つの周波数帯域でGAINを上げて強調、SPRING REVERBをうっすらかけて、MASTER LIMITERで音圧を上げています。
OCTAVEで1オクターブ下に設定されています。
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、途切れないようにする)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)が設定されています。
演奏表現の手段として、アフター・タッチでピッチに対してLFO1の効果をコントロールするように設定されています。
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MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1, OP2で音の幹を作っています。
OP2のRATIOが3.0300とずれを生じさせているところにオリジナリティがあります。
OP3, OP4でブーミーな音を作り出しています。
OP5, OP6はLEVELが0で使われていませんが、音の変化を楽しむためにOP5はWAVEがSAW、RATIOが0.2500になっています。
キャリアのOP3のRATIOが1.0100なので、RATIOが1.0000の OP6のLEVELを上げると音が揺れます(笑)
OP-EG
キャリアのOP1, OP3はSUSTAIN LEVELが100の持続音となっています。
モジュレーターのOP2, OP4はDECAY TIMEが短くSUSTAIN LEVELが0のアタック部分の変調を担っています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP3, OP5に対して、DETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
すべてのオペレーターのピッチに対して、LFO1で時間的変化するように設定されています。
OP-KEY TRACK
OP2, OP4のLEVELに対して、基準キーをC4として高いキーになるほどマイナスのレベルとなるように設定されています。
逆にOP3のLEVELに対して、基準キーをC4として高いキーになるほどプラスのレベルとなるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF MS-20を使用しています。
カットオフ周波数がEG2で時間的変化するように設定されていて、その変化量を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
また基準キーC3から高いキーになるほどカットオフ周波数がプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、DECAY TIMEが少し短め、SUSTAIN LEVELを10と持続音の時に少し残しています。
RELEASE TIMEが少し長めに設定して、CURVEが6と早く減衰するカーブとなっています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数が時間的変化するように設定されていて、その変化量を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
LFO
LFO1はWAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.10Hzに設定されています。
LFO1はOP-P MODEですべてのオペレーターのピッチに対して、LFO1で時間的変化するように設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHによりピッチへの周期的変化が設定されていて、アフター・タッチで変化量を変えるように設定されています。
LFO2はWAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.74Hzに設定されています。
EFFECT
FX1は3-BAND EQ、FX2はSPRING REVERB、FX3はMASTER LIMITERが設定されています。
VIRTUAL PATCH
INITプログラムから変更はありませんでした。
MISC
OCTAVEに-1oct(1オクターブ下)が設定されています。
LFO1によるピッチへの周期的変化が設定されていて、アフター・タッチで変化量を変えるように設定されています。
VOICE
VOICE ASSIGNにMONO LEGATO(単音で発音。音を切らさないように弾いた時、途切れないようにする)
GLIDE MODEでLEGATO(音を切らさないように弾いた時、ピッチを滑らかに移行する)
GLIDE TIMEに0.067sです。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 211 Funk Bass」と題して、プリセット・プログラム「211 Funk Bass」のパラメーターを分析しました。
ここで注目したのはOP-EGの「CURVE」パラメーター。
このパラメーターを操作するだけで印象が変わります。
KORGさん、よくぞ付けてくれました!!!
皆さんも試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 216 Aphasin Bass」と題して、プリセット・プログラム「216 Aphasin Bass」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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