みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 010 Just Hang On」と題して、プリセット・プログラム「010 Just Hang On」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
エレピとは違ったエレピ(笑)
FM音源特有のフィルターとは違った抑制感がある音です。
DX-7のパラメーターぐらいしか設定されていないのでわかりやすい。
しかも2つのオペレーターはLEVELが0%。
パラメーター分析にチャレンジしてみてください。
オペレーターとアルゴリズムの関係については以下のページから10ページにかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
夕陽を想像してしまうのは1980年代当時の楽曲のせいかな。
実験2: エディットしてみる
OP1, OP2, OP5, OP6のLEVELを上げてエディットしてみました。
設定方法
プログラムからの変更点は以下の通り。
- OP-EGをキャリアOP1はキャリアOP3をコピー、モジュレーターOP2, OP5, OP6はモジュレーターOP4のデータをコピー。
- LEVELはOP1を50%、OP2を20%、OP5を20%、OP6を30%に変更
- OP2のWAVEをADDITIVE 1+2に変更
- OP5のMODE: FM: WIDTHを60%に変更
- OP6のRATIOを1.0000に変更
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
オリジナルよりもうちょっとはきはきした音に仕上がりました。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには08番のアルゴリズムが設定されています。
OP1, OP2によるキャリア-モジュレーターの直列接続。
OP3~OP6のY字接続の構成です。
すべてのオペレーターでMODE: FM、波形はSINE 12BITが使用されています。
OP1-OP2はLEVELが0で効果はありません。
OP5, OP6もLEVELが1%で聴感上0%との差がわかりませんでした。
よって、実質はOP3とOP4で作られた音です。
OP3-OP4の直列接続では、倍音を多く含むようにモジュレーターのLEVELを上げています。
OP4~OP6でOP-PITCHのDETUNEでピッチの小さなずれによる音の厚みを加えています。
また、OP6以外のオペレーターでベロシティによる鍵盤を弾く強弱によるLEVELの強さをコントロールするように設定されています。
FILTERは、LPF12が設定されていますが、INITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは、UNISON ENSEMBLEでVOICESを2に設定して音に厚みを加え、REVERBで少し大きめな空間の残響を演出しています。
MISC: OSC PHASEがFREE(オシレーターすべてに同じ位相をランダムな値にする)に設定されています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことで全体のPITCHにLFO1で周期的変化をコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでコントロールでOP3のFM: FEEDBACKをするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
OP3, OP4のDECAY TIMEが長く設定し、減衰後に少し持続音がするようにSUSTAIN LEVELが設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP4~OP6に対してDETUNE(ピッチの細かなずれ)が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1~OP4で、基準キーC4に対してキーが高くなるにつれてレベルがマイナスとなるように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1はWAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが7.00Hzに設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチで全体のPITCHに周期的変化をするように設定し、モジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はUNISON ENSEMBLE、FX2はREVERB、FX3はOFFが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、全体のPITCHにLFO1で周期的変化をするように設定し、モジュレーション・ホイールの操作で変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、OP3のFM: FEEDBACKをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
MISC
OSC PHASEをFREEにすることで、オシレーターすべてにランダムな位相を設定します。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 010 Just Hang On」と題して、プリセット・プログラム「010 Just Hang On」のパラメーターを分析しました。
このプログラムと同様に使っていないオペレーターが結構あります。
自分なりに効果を足してみると面白い結果になる時があります。
皆さんも試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 232 Sub’n Pluck」と題して、プリセット・プログラム「232 Sub’n Pluck」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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