みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「シンセサイザー デジタル化で追加された機能(1)OSC <12>」と題して、「PCM/DWGS波形によるコントローラーの機能」について説明します。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
PCM/DWGS波形によるコントローラーの機能
「OSC1」セクションの「WAVE」で「PCM/DWGS」を選択すると、コントローラーC2は「WAVE SELECT」として割り当てられています。
これは、VIRTUAL PATCHにより、「DESTINATION」として「OSC1 CTRL2」が選択でき、EGやLFO、コントローラー等で「WAVE SELECT」を変化させることができます。
つまり、選択した波形が変わるのです。
また、KNOBにも割り当てて、本体のノブにて操作することもできます。
これを使ったプリセット音を見つけましたので、確認してみましょう。
ちょっとマニアックな分析なので、ついてきてください(笑)
プリセット音の分析:A74 TRIPCYCL
プログラム [A74 TRIPCYCL]は、「PCM/DWGS」の波形で、「OSC1 CTRL2」である「WAVE SELECT」パラメーターを「LFO2」で変化させています。
このプリセット音を分析して、コントローラーC2は「WAVE SELECT」を使ってどのように音作りをしているか、分析します。
分析の手順
以下の手順で確認しました。
- プリセット音を聞く
- 「OSC1」に変化があるので、他のOSCのレベルを0にする
- 効果を確認するために、「VIRTUAL PATCH1」の「INT」を-1にして、音を確認する
- 「OSC1:WAVE SELECT」の[DIGI1]の前後の波形の音を確認して、どの波形に変化しているのか確認する
- プリセット音から「OSC1:WAVE SELECT」を[SYNSINE4]に設定して、音の変化を確認する
プリセット音
では、まず[A74 TRIPCYCL]のプリセット音を聞いてください。
プログラム・エディット・ウィンドウ
- 「VOICE:SINGLE」なので、1つのティンバー構成で音作りがされています。
- BPM(本体ではテンポ)が112に設定されています。
- 「TIMBRE1」の[EDIT SYNTH]ボタンをクリックして、シンセ・エディット・ウィンドウを開きます。
「TEMBRE2」は表示が暗くなって使われていないことを表示しています。
シンセ・エディット・ウィンドウ
分析
[A74 TRIPCYCL]の「TIMBRE1」のシンセ・エディット・ウィンドウ画面です。
- 音のメインはOSC1の音で作られていて、波形が「OSC1:WAVE:PCM/DWGS」で「OSC1:WAVE SELECT」が[DIGI6]が選択されています。
- 「VIRTUAL PATCH1」の構成が「SOURCE」が[LFO2]、「DESTINATION」が「OSC1 Ctrl2」、「INT」が-3の設定になっています。
- 「VIRTUAL PATCH」は「DESTINATION」のパラメーターを「SOURCE」で変化させる機能です。
- 「OSC1 Ctrl2」は「OSC1:WAVE:PCM/DWGS」の場合、「OSC1:WAVE SELECT」ですので、「LFO2」で値を変えるということは、「OSC1:WAVE SELECT」の波形の選択を変えるということになります。
- 音を聞いてみると時間が経つにつれてタイミングを合わせて音の変化が感じられるのは、「OSC1:WAVE SELECT」の波形の選択が変わっているからです。
「LFO2」では、以下の設定です。
- 「LFO2:WAVE」に[SAW]を選択(ノコギリ波)
- 「LFO2:KEY SYNC」に[TIMBRE]を選択(キーを押したときに波形の最初から始まる)
- 「LFO2:BPM SYNC」がON
これで、キーを押すとノコギリ波の波形の最初からBPMのタイミングに合わせて「OSC1:WAVE SELECT」に変化(VIRTUAL PATCH1の-3)を与えていることになります。
プリセット音
長くなりましたので、もう一度プリセット音をお聞きください。
OSC1のみの音
OSC1のみの音にするために、「MIXER:OSC2」を0にしました。
音データ
波形選択の変化
「OSC1:WAVE SELECT」の選択画面です。
[DIGI6]は[DIGI1]~[DIGI9]と同じような種類の波形の音が並んでいる場所にあります。
この波形の一覧の数値を変化させるのですから、前後の波形の音が出てくるはずですね。
VIRTUAL PATCHの値を-1に
「LFO2」による変化を-3から-1に小さくしてみましょう。
音データ
4つの波形が変わっているようです。
「BPM(本体ではTENPO)」を40にしてみましょう。
前後の波形の音の確認
では、「OSC1:WAVE SELECT」の[DIGI6]の前後の波形の音を聞いてみましょう。
1つの波形にするために「VIRTUAL PATCH1」の「INT」を0に設定しました。
[DIGI6]の音
まず、元の波形「OSC1:WAVE SELECT」が[DIGI6]の音を聞いてください。
[DIGI3]の音
[DIGI4]の音
[DIGI5]の音
[DIGI7]の音
「BPM(本体ではTENPO)」を40にしてみましょう。
DIGI4→DIGI5→DIGI6→DIGI7と変化しているのが確認できました。
わかりましたか?
VIRTUAL PATCH1の値を+1に変更
では、「VIRTUAL PATCH1」の「INT」を+1に変更したら、どうなるのか。
音を聞いてください。
「BPM(本体ではTENPO)」を40にしてみましょう。
DIGI7→DIGI6→DIGI5→DIGI4と波形が変化していることが確認できました。
わかりましたか?
OSC1:WAVE SELECT:SYNSINE4に変更
では、プリセット音から、「OSC1:WAVE SELCT」を[SYNSINE4]に変更してみましょう。
[SYNSINE4]の前後の波形に切り替わりながら音を発しています。
プリセット音と違った音ができあがりました(笑)
まとめ
今回は「シンセサイザー デジタル化で追加された機能(1)OSC <12>」と題して、「PCM/DWGS波形によるコントローラーの機能」について説明しました。
プログラム [A74 TRIPCYCL]は波形が瞬時に変わるのですが、「ウェーブ・テーブル」を音源方式としたシンセサイザーとは違った味わいの音になっていますね。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は「シンセサイザー デジタル化で追加された機能(1)OSC <13>」と題して、「OSC MOD:UNISON」について説明します。
では。
このブログでは、KORG microKorg XL+のSound Editor画面を使って説明しています。
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