みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「HOME/ALGOページ・グループ」について説明します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
HOME/ALGOページ・グループ
HOME/ALGOページ・グループは、[HOME/ALGO] ボタンで選択します。
また、プログラムを選択したときに表示されます。
HOME/ALGO ページ
HOME/ALGO ページには他のボタンから離れてボタンが配置されていて、FM音源の主なパラメーターである「アルゴリズム」の他に、ライブ等演奏していて最低限操作しそうなパラメーターが6つのノブに割り当てられています。
- ALGO(Algorithm):アルゴリズムの番号を選択
- ATTACKとDECAY/RELEASE:
- ライブとかで演奏中に「音の立ち上がりが遅くて聞こえにくい」とか「会場の反響が多くてリリースが長すぎるとリズムの切れが悪い」など、その場で修正したいことが出てきますので、すぐに対応できる。
- FX1~FX3:
「ATTACKとDECAY/RELEASE」と同じく、会場の状況によって利用しているエフェクトの調整が必要になったときに瞬時に調整できるように割り当てられている。
INITの初期設定値
opsix | Knob | Full Name | Range | 初期設定値 |
ALGO | A | Algorithm | 1~40, User | 1 |
ATK | B | Attack | -100.0~+100.0 [%] | 0.0% |
DECAY | C | Decay/Release | -100.0~+100.0 [%] | 0.0% |
FX1 | D | (1st parameter of FX1) | — | — |
FX2 | E | (1st parameter of FX2) | — | — |
FX3 | F | (1st parameter of FX3) | — | — |
opsixの画面
opsix nativeの画面
ALGO (Algorithm)
FM音源のアルゴリズムは、「波形に変化を受ける側と変化を与える側の並び方」です。
6つの波形の元となる「オペレーター」が「変化を受ける側」の「キャリア」と「変化を与える側」の「モジュレーター」のどちらになっているのか、決めています。
FM音源は「波形を波形で変調する」ので、その並びですね。
よく表現されるのは「くすぐる側」と「くすぐられる側」といった表現です。
「キャリア」が「くすぐられる側」で「モジュレーター」は「くすぐる側」です。
opsixでは、本体左側にあるRATIOノブの色をキャリアを(赤)、モジュレーターを(青)で表示されます。
opsix nativeでも同様に画面右上にアルゴリズムが表示されていて、キャリアを(赤)、モジュレーターを(青)で表示されています。
「アルゴリズム1」では、
- オペレーター1:「キャリア(赤)」くすぐられる側
- オペレーター2:オペレーター1をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
- オペレーター3:「キャリア(赤)」くすぐられる側
- オペレーター4:オペレーター3をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
- オペレーター5:オペレーター4をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
- オペレーター6:オペレーター5をくすぐる側の「モジュレーター(青)」
といった並びです。
積み上げられているので、「何段」といった表現をします。
「アルゴリズム1」はオペレーター1とオペレーター2で2段、オペレーター3~オペレーター6で4段で構成されています。
各オペレーターのレベルは、
- キャリア:出力レベル
- モジュレーター:下にあるオペレーターをくすぐる度合い
となります。
キャリアである、オペレーター1とオペレーター3はくすぐられた結果を出力するレベルの役割となっています。
オペレーター3~オペレーター6の4段構成では、
- オペレーター6がオペレーター5をくすぐり、波形を変化させる
- オペレーター5がくすぐられて変化した波形でオペレーター4をくすぐり、波形を変化させる
- オペレーター4がくすぐられて変化した波形でオペレーター3をくすぐり、波形を変化させる
- オペレーター3はくすぐられて変化した波形を出力(音声出力)
となります。
各オペレーターのレベルを調節することで、波形の変化が変わります。
これがFM音源の基本的な考え方です。
次回よりFMのオペレーターとアルゴリズムについて説明・実験しますので、ここでの実験はしません。
ご了承ください。
ALGORITHM: 40種類のアルゴリズム
アルゴリズムの構成の考え方は、「FMのキャリアとモジュレーターの関係」で実験を踏まえて説明します。
当時のFM音源 YAMAHA DX-7では32種類のアルゴリズムからの選択でした。
opsixは40種類のアルゴリズムからの選択、およびユーザー・アルゴリズムを作成して利用することができます。
追加された8種類のアルゴリズムは、
- 複数モジュレーター⇒モジュレーターへのY字接続(ALG-33)
- 6段直列接続(ALG-34)
- Y字接続が2系統(ALG-35)
- 複数モジュレーターが複数キャリアに接続(ALG-36~ALG-39)
Y字接続と逆Y字接続を両方が機能する接続 - 逆Y字接続の3段直列接続(ALG-40)
ちなみに、opsixは各オペレーターが自己フィードバックするパラメーターがあります。
DX-7にあったフィードバック機能のパラメーターとは別になっています。
なので、複数のオペレーターがフィードバックしているアルゴリズム(ALG-04、ALG-06、ALG-34)はそのパラメーターで設定しますが、単独のフィードバックはオペレーター側のパラメーターで実施した方がわかりやすいと思います。
opsixは各オペレーターがフィードバック機能を持っているので、扱いやすいです。
opsixの進化したパラメーターのひとつですね。
GLOBAL ATTACK
PROGRAM全体のアタック・タイムが調整できます。
実験: GLOBAL ATTACK
GLOBAL ATTACKの値を変化させてみます。
設定値
今回、他のテストでアルゴリズム3を使用していて、その環境で実験したために面倒くさいパラメーター設定になっていますが、アタック・タイムのパラメーターの変化の実験です。
ご理解ください。
測定方法
- 上記の値を設定
- HOME/ALGOページで以下の値を設定
opsix | Knob | Full Name | 初期設定値 |
ALGO | A | Algorithm | 3 |
ATK | B | Attack | 0.0→+100.0→0.0% |
DECAY | C | Decay/Release | 0.0% |
- アルペジエーターをONにして、A3=220Hzを弾きながら、ATKの値を0.0→+100.0→0.0%に変化させる
音データ
今回、使ったプログラムがATTACK TIME=0msのため、GLOBAL ATACKをプラス側に変化させて実験しました。
ゆっくりなアタックの時はマイナス側に変化させればアタック・タイムが短くなります。
GLOBAL DECAY
PROGRAM全体のディケイ・タイムが調整できます。
実験: GLOBAL DECAY
GLOBAL ADECAYの値を変化させてみます。
設定値
今回、他のテストでアルゴリズム3を使用していて、その環境で実験したために面倒くさいパラメーター設定になっていますが、アタック・タイムのパラメーターの変化の実験です。
ご理解ください。
測定方法
- 上記の値を設定
- HOME/ALGOページで以下の値を設定
opsix | Knob | Full Name | 初期設定値 |
ALGO | A | Algorithm | 3 |
ATK | B | Attack | 0.0% |
DECAY | C | Decay/Release | 0.0→+100.0→0.0% |
- アルペジエーターをONにして、A3=220Hzを弾きながら、DECAYの値を0.0→+100.0→0.0%に変化させる
音データ
今回の実験ではRELEASE TIME=0msであったので、GLOBAL DECAY/RELEASEをプラス側にして余韻が残る変化を確認しました。
もちろんマイナス側も可能です。
HOME/ALGOページに割り当てられるエフェクトのパラメーター
以下は、HOME/ALGOにてD~Fノブに割り当てられるエフェクトのパラメーター一覧です。
「HOME/ALGOでのノブ割り当てパラメーター」欄は私がopsixで確認したものです。
マニュアルには掲載されていません。
Effect Name | Full Name | HOME/ALGOでのノブ割り当て パラメーター |
CHO | Chorus | MIX(Dry:Wet Mix) |
U.ENS | Unison Ensemble | MIX(Dry:Wet Mix) |
PHA | Phaser | MIX(Dry:Wet Mix) |
PHA♪ | Phaser (BPM) | MIX(Dry:Wet Mix) |
PAN | Auto Pan | DEPTH(Depth) |
PAN♪ | Auto Pan (BPM) | DEPTH(Depth) |
FLNG | Flanger | MIX(Dry:Wet Mix) |
FLN♪ | Flanger (BPM) | MIX(Dry:Wet Mix) |
RTRY | Rotary Speaker | BAL(Horn:Rotor Balance) |
A.WAH | Auto Wah | MIX(Dry:Wet Mix) |
EXC | Exciter | MIX(Dry:Wet Mix) |
ENH | Enhancer | MIX(Dry:Wet Mix) |
FLTR | LFO Filter | CUTOFF(Cutoff) |
3EQ | 3-Band EQ | LOW(Band1 Low Gain) |
DIST | Distortion | DRIVE(Drive) |
G.AMP | Guitar Amp | DRIVE(Drive) |
DEC | Decimator | MIX(Dry:Wet Mix) |
GRAIN | Grain Shifter | MIX(Dry:Wet Mix) |
LIMIT | Master Limiter | THRE(Threshold) |
COMP | Compressor | MIX(Dry:Wet Mix) |
DLY | Delay | LEVEL(Delay Level) |
DLY♪ | Delay (BPM) | LEVEL(Delay Level) |
PDLY | Autopan Dly | LEVEL(Delay Level) |
PDL♪ | Autopan Dly(BPM) | LEVEL(Delay Level) |
TDLY | Tape Echo | LEVEL(Delay Level) |
TDL♪ | Tape Echo (BPM) | LEVEL(Delay Level) |
REF | Early Reflection | LEVEL(Reverb Level) |
REVERB | Reverb | LEVEL(Reverb Level) |
SHVERB | Shimmer Reverb | LEVEL(Reverb Level) |
SPRING | Spring Reverb | LEVEL(Reverb Level) |
まとめ
今回は「KORG opsixの機能: HOME/ALGOページ・グループ」と題して、HOME/ALGOページにあるパラメーターの説明と実験を行いました。
このページはアルゴリズムの選択とライブとかでリアルタイムで補正する必要があるDECAYとRELEASE、エフェクトのレベル調整(深さの調整)のページとなっています。
アルゴリズムのパラメーターだけはエディット時の調節するものと思っていました。
アルゴリズムのパラメーターは別のページにしてノブにユーザーがアサインしたパラメーターを設定できないかなぁ。
間違ってアルゴリズムのNo.が変わっちゃうのは困ります。
となると、ユーザー・アサインしたパラメーターが動かせる、ライブ・パフォーマンス・ページがあった方が良いのでは、と感じますが皆さんどうでしょうかね。
ライブの時はライブ・パフォーマンス・ページがメイン画面。
リハの時に必要なら今のHOME/ALGOページ。
microKORG XL+を所有している自分としては、そう感じますね。
...でもMOTION SEQUENCEのパラメーターの中にアルゴリズム入ってますね。
ユーザーに可能性を感じてそうしているのかも...
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
さて、次回は「KORG opsixの機能: FMのオペレーターとアルゴリズム」について説明します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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