みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 030 Mutated Piano」と題して、プリセット・プログラム「030 Mutated Piano」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
MODE: FILTER FMを使用して抑制の効いた電子ピアノのような音が演出されています。
MODE: FILTER FMの機能については以下のページから3ページにかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンス・データの中にモジュレーション・ホイールのコントロール・データも含まれています。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
結構FILTERの操作だと感じられる音作りです。
実験2: OP1とFILTERを変更してみる
設定方法
OP1のMODE: FILTER FMのTYPEをLPF→MG LPF12、RESOを0%→20%に変更
FILTERのRESOを0%→20%に変更
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
FILTER側の音も作り込んでみたくなって変更しました。
抑制は...はずしちゃいました(笑)
実験3: エフェクター CHORUSをON/OFFしてみる
CHORUSのON/OFFで印象が変わります。
他のパラメーターで音を厚くすることはしていないためです。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
FX1: CHORUSのON/OFFを2フレーズをOFF、2フレーズをONに切り替えます。
音データ
実験1の音にCHORUSをON/OFF
実験2の音にCHORUSをON/OFF
CHORUSのパラメーターは変更していないのですが、周波数成分が違うので効果のかかり具合は違ってきます。
音作りをしたらエフェクトも再調整しないとですね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには35番のアルゴリズムが設定されています。
OP1~OP3、OP4~OP6の2つのY字接続の構成です。
OP1~OP3のY字接続ではキャリアのOP1にフィルターFMが使用されています。
これが音をミュートしたような質感を出しています。
モジュレーターのOP2, OP3はキー・トラックで基準キーをC2として、高いキーになるほどマイナスのレベルになるように設定されています。
OP3のRATIOが1.5000。1:1.5の関係のモジュレーションが弦の感じを出しています。
OP4~OP6のY字接続では単独では「みょー」といった管を通したような共鳴感を出しています。
OP6のRATIOが0.5000のLEVELが100によって作り出しています。
OP5のRATIOが1.3300はLEVELを上げると「ブィーン」といった共鳴音がします。
これはRATIOの設定とWAVEにADDITIVE 12345を使用したことで実現しています。
モジュレーターのOP5, OP6はキー・トラックで基準キーをC2として、高いキーになるほどマイナスのレベルになるように設定されています。
各オペレーターにはベロシティでの効果が設定されています。
全体的な音の質感はFILTERにLPF POLY6を使用して抑制感を出しています。
エフェクトは少し音を柔らかくするCHORUS、うっすらとDELAY(BPM)とREVERBがかけられています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを上げるとDECAY/RELEASE TIMEが伸びるようにバーチャル・パッチで設定されています。
アフター・タッチによりSUSTAIN LEVELが上がるようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1~OP3で幹となる音をキャリアのOP1のFILTER FMを介して作成できる構成ですが、MODE: FILTER FMのパラメーターは初期設定のため、ユーザーが操作することを想定して作られていると分析します。
OP4~OP6側は共鳴音が作られています。
モジュレーターの波形、RATIOの設定、LEVELの調整がされていますが、ユーザーが調整しやすい状態になっています。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
全オペレーターに対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
モジュレーターOP2, OP3, OP5, OP6に対して、基準キーをC2として高いキーになるほどレベルが下がるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が設定されています。
カットオフ周波数をEG2により時間的変化するように設定され、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2はDECAY TIMEが長く設定し、CURVEを10と減衰カーブを急峻に設定されています。
EG2含めてEGはパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
LFO
INITプログラムから変更はありませんでした。
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hz(LFO1)、2.00Hz(LFO2, LFO3)に設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はDELAY(BPM)、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、プログラム全体のRELEASE TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、プログラム全体のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、プログラム全体のSUSTAIN LEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに1oct(1オクターブ上)が設定されています。
LFO1によるピッチの周期的変化をアフター・タッチでコントロールするように設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 030 Mutated Piano」と題して、プリセット・プログラム「030 Mutated Piano」のパラメーターを分析しました。
実験ではFILTERで遊んでみました。
プログラム・タイトルを変えないといけないぐらいな音になってしまいました。
FILTERは少し変えただけでも印象が変わるパラメーター。
従来のアナログ・シンセサイザーが「FILTERが命」とよく言われるのは設定で印象が大きく変化するパラメーターだからです。
opsixは印象がガラッと変わるパラメーターが数多くありますので、チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 032 Unsteady」と題して、プリセット・プログラム「032 Unsteady」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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