みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 042 Wave Shaper Clav」と題して、プリセット・プログラム「042 Wave Shaper Clav」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
低域が硬質で重いクラビネットの音です。
波形にADDITIVE 12345、ADDITIVE SAW3を使い、RATIOを0.5と低く設定して、MODE: EFFECT: WAVESHAPERで他では味わえない音を作り出しています。
ADDITIVE 12345、ADDITIVE SAW3の波形に関しては以下のページで説明しています。
MODE: EFFECT: WAVESHAPERの機能については以下のページから9ページにかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
実験2: アフター・タッチの効果を確認する
設定方法
PROGRAM PITCHのPITCH BEND UP/DOWNを0に設定する。
V.PATCH1のSOURCEをAFTER TOUCH→PITCH BEND、CONTROLをAFTER TOUCH→OFFに変更する
V.PATCH2のSOURCEをAFTER TOUCH→PITCH BENDをCONTROLをAFTER TOUCH→OFFに変更する
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
3フレーズ目からPITCH BENDを最大にする。
音データ
高音域の成分が高域に移っています。
再後段のモジュレーターOP3, OP6のLEVELを上げた効果です。
実験3: OP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXを変化させる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
OP1のMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXをノブで手動にて0%→100%→0%と変化させる。
音データ
選択したWAVESHAPEのテーブル等のパラメーターの設定にもよりますが、オシレーターの音も混ぜると印象が変わります。
OSC MIXはMODEによって役割も違ってくるので試してみてください。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには03番のアルゴリズムが設定されています。
OP1~OP3、OP4~OP6の3段の直列接続が2つの構成です。
アルゴリズムは3つのオペレーターの直列接続が2組ある構成で、ほぼ同じパラメーター設定をして、OP-PITCHのDETUNEでピッチの小さなずれを設定して音に厚みを持たせています。
オペレーターの直列接続はキャリアにMODE: EFFECT: WAVESHAPERを使用し、OSC MIXを0%なのでその上にあるモジュレーターの信号にWAVESHAPERをかけています。
再後段のモジュレーターはLEVELが0%で、アフタータッチでLEVELが上がるように設定されています。
モジュレーターのWAVEがOP2, OP5がADDITIVE 12345、OP3, OP6がADDITIVE SAW3を使用しています。
通常のSAW等より高音域の倍音成分を除いていますので、モジュレーターで使用してもノイジーになりにくい波形です。
キャリアのMODE: EFFECT: WAVESHAPERでは波形のTYPEに00: SINEが使用されています。
このTYPEパラメーターを変更すると音のキャラクターが変わってきます。
各オペレーターではベロシティで鍵盤を弾く強さによる効果が設定されています。
FILTERはINITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターはCHORUS、DELAY、REVERBをうっすらかけています。
演奏表現の手段としては、モジュレーション・ホイールを動かすことでモジュレーターのOP2, OP5のDECAY TIMEを長く(減衰する時間を長く)するように設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
キャリアにMODE: EFFECT: WAVESHAPERを設定して、2段のモジュレーターで作成した音声信号をWAVESHAPERでエフェクトする設定です。
2つの直列接続はほぼ同じパラメーター値が設定されています。
違いはDETUNE、VELOCITYの値です。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP2, OP3, OP5, OP6はDETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-L MOD
全オペレーターに対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
INITプログラムから変更はありませんでした。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はDELAY、FX3はREVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP3のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP6のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP2のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP5のDECAY TIMEをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 042 Wave Shaper Clav」と題して、プリセット・プログラム「042 Wave Shaper Clav」のパラメーターを分析しました。
opsixの鍵盤はアフター・タッチ機能がない...
KORG opsix SE(Platinum)で搭載されましたね。
鍵盤の強弱だけでなく、その後に一押しすることで変化するのは魅力的ですよ。
今回のプログラムはEGやLFOによる効果が設定されていません。
すっきりしていても深みのある音です。
実験ではMODE: EFFECT: WAVESHAPERのOSC MIXの値を変化させてみました。
作成していると音がどんどん派手になってしまう。
音の中心となる幹の質感を変えるにはどうすればよいか。
そんな時にOSC MIXあたりは注目した方が良いですね。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 043 Pulse Clav」と題して、プリセット・プログラム「043 Pulse Clav」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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