みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 063 Membrane Pluck」と題して、を使用したプリセット・プログラム「063 Membrane Pluck」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
ガムランのような音がします。
自分でオペレーターの構成が可能な、「ユーザー・アルゴリズム」を使って音作りがされています。
ユーザー・アルゴリズムの機能については以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
中音域の独特の倍音や叩いた音が心地よい。
実験2: ベロシティを強くして弾いてモジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチの設定ではベロシティを強く弾いてモジュレーション・ホイールを動かすことによって効果が出るように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
アルペジエーターのパラメーターをPATTERN: ALT1、OCT: 2に設定する。
アルペジエーターをLATCH ONにする。
適当なコードを強く弾きます(D5, G4, C6, F6)。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
違ったピッチがあらわれる。
楽器の音を忠実に再現するのではなく、豊かに創造した音作り。
いいですね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムにはユーザー・アルゴリズムが設定されています。
ガムランのような音がします。
このユーザー・アルゴリズム、分析が非常に難しい。
プログラム名が「Membrane Pluck」、膜を摘む。
薄い膜を指で摘まむように弾く音...といったことかな。
OP1とOP2では、琴のような音がします。
OP5とOP6は単独キャリアの出力では音が感じられませんでした。
メインのOP3をキャリアとしたY字接続では、
OP1とOP2の琴の音がモジュレーションの信号としてキャリアOP3をFM変調します。
弦を張った台が共鳴するような音が加わった感じがします。
モジュレーターOP4はRATIOがキャリアOP3の0.5000に対して0.4950と不規則なピッチとなっていて、これによるFM変調は「クワーン」と金属板を叩くような音がします。
モジュレーターOP5はMODE: RING MOD.を使用していますが、後段がないためリング・モジュレーターの効果はありません。
このFM変調は「コツッ」っと指ではじくような音が加わります。
モジュレーターOP6は波形にNOISE WHITEを使用していますが、OP3への出力信号のレベルが3と低いため、聴いても効果がわかりませんでした。
ユーザー・アルゴリズム側の出力レベルを上げると皮を指でたたいたような音が加わります。
FILTERにはLPF24が使用され、高音域をカットして少しレゾナンスを上げて共鳴音を演出しています。
EG2による時間的変化を加えて、キー・トラックで基準キーをC4として低いキーになるほどマイナス、高いキーになるほどプラスに設定されています。
また、FILTERのCUTOFFをEG1で時間的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
エフェクターはREVERBのみでTYPEにWETを選択して少しまとわりつくような残響音を加味しています。
PANをNOTE NUMBER(鍵盤の位置)によって変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
プログラム全体のPITCHをLFO1で周期的変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
演奏表現の手段として、
ベロシティによってOP1, OP2のCOARSE RATIO、FX1のREVERBのREVERB TIME、REVERB LEVELが変化するようにベロシティで設定されています。
モジュレーション・ホイールを動かすとOP1, OP3のLEVELが変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
アフター・タッチでLFO1のSPEEDが変化するようにバーチャル・パッチで設定されています。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
OP4, OP5に対して、DETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-P MOD
OP1, OP3, OP5に対してEG1によるピッチの時間的変化を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
OP-L MOD
全オペレーターに対して鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
各オペレーターにキー・トラックによるレベルの変化量が設定されています。
FILTER
FILTERはLPF24が使用されています。
カットオフ周波数をEG2により時間的変化するように設定されています。
カットオフ周波数が基準キーC4に対して低いキーになるにつれてマイナス、高いキーになるほどプラスになるように設定されています。
MOD(EG、LFO)
EG
EG1はDECAY/RELEASE TIMEが短く設定されています。
EG1はOP-P MODでOP1, OP3, OP5に対してピッチの時間的変化を鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)でコントロールするように設定されています。
EG1はバーチャル・パッチでFILTERのCUTOFFを時間的変化するように設定されています。
EG2はDECAY/RELEASE TIMEが長く設定されています。
EG2はFILTERでカットオフ周波数を時間的変化するように設定されています。
LFO
LFO1は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがOFF(位相がリセットされない)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.65Hzに設定されています。
LFO1はバーチャル・パッチでプログラム全体のPITCHを周期的変化するように設定されています。
LFO1のSPEEDはバーチャル・パッチによりアフター・タッチで変化するように設定されています。
LFO2は、WAVEにTRIANGLEが使用され、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが2.00Hz、に設定されています。
LFO3は、WAVEにSAMPLE&HOLDが設定されて、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがON(システム・テンポに同期)、TEMPO SPEEDが1/1、PHASE(位相)が180deg(180度のところから始まる)に設定されています。
EFFECT
FX1はREVERB、FX2, FX3はOFFが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FILTERのCUTOFFをEG1で時間的変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、PANをNOTE NUMBER(鍵盤の位置)によって変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP1のCOARSE RATIOを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によって変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP2のCOARSE RATIOを鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)によって変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、FX1のREVERBのREVERB TIMEを鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)によって変化するように設定されています。
EXP. VELOCITYは効果のかかり具合がVELOCITYより急峻なカーブで、弾く強さが弱い場合は効果がかかりにくい設定となります。 - V.PATCH6は、プログラム全体のPITCHをLFO1で周期的変化するように設定されています。
- V.PATCH7は、FX1のREVERBのREVERB LEVELを鍵盤を弾く強さ(EXP. VELOCITY)によって変化するように設定されています。
- V.PATCH8は、OP1のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH9は、OP3のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH10は、LFO1のSPEEDをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
OCTAVEに1oct(1オクターブ上)が設定されています。
プログラム全体のDECAY/RELEASE TIMEに対して-3.0%短くなるように設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 063 Membrane Pluck」と題して、を使用したプリセット・プログラム「063 Membrane Pluck」のパラメーターを分析しました。
ベロシティによる音の変化もあり、プレイヤーが弾いている心地よさを味わいながら演奏できる音に仕上がってますね。
モジュレーション・ホイールでのコントロールはシンセサイザーで豊かな創造性を感じます。
是非体感してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 065 4 Tap Diffusion」と題して、プリセット・プログラム「065 4 Tap Diffusion」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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