みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 073 Maverick Bells」と題して、プリセット・プログラム「073 Maverick Bells」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
opsix版の教会の鐘の音。
FM音源のBELL系の音は良い音しますね。
モジュレーション・ホイールの操作でアルゴリズムの番号を変更するといった大胆な設定がされています。
音の揺れは各オペレーターのPITCH: DETUNEを設定してピッチを少しずらしています。
EFFECTはコーラスのみ。
オペレーターのEGで減衰の設定をしています。
なので、適宜他のEFFECTを加えるとシチュエーションにあった音にすることができます。
FM音源の基本機能については以下のページから10ページにわたって説明しています。
PITCH: DETUNEについては以下のページで説明しています。
KORG opsixの機能: LEVEL/EGページ・グループ
オペレーターのEGについては以下のページで説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
惚れ惚れする鐘の音。
実験2: アルゴリズムを変更してみる
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすとアルゴリズムが変更するように設定されています。
モジュレーション・ホイールを動かすと、どこかのアルゴリズムの音が鳴ることになりますが、実験では、ノブでアルゴリズムNo.を設定して録音します。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
1フレーズごとにアルゴリズムを変更します。
1フレーズ目: アルゴリズム05(設定のまま)
2フレーズ目以降: アルゴリズム07→アルゴリズム10→アルゴリズム12→アルゴリズム16→アルゴリズム22
音データ
プログラムによっては、アルゴリズムを変更してみると使える音になったりします。
このプログラムではモジュレーション・ホイールでコントロールできるのですが、チャレンジャーなプログラムですね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには05番のアルゴリズムが設定されています。
3つのキャリア-モジュレーターの直列接続といった構成です。
OP1-OP2とOP3-OP4は、ほぼ同じパラメーターの値をしていて、OP-PITCHのDETUNEで音の厚みを加えています。
キャリアとモジュレーターのRATIO比は1:3.5。
LEVELの調整をして鐘の音の周波数成分を作っています。
DECAY/RELEASE TIMEが長く設定して余韻の長い音を作っています。
OP5-OP6は「コッ」というアタック成分が作られています。
モジュレーターにはキー・トラックで基準キーをC3として高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
FILTERはINITプログラムのままで効果は設定されていません。
エフェクターはCHORUSのみで、結構深めにかかっています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでアルゴリズムの番号を変えてしまうようにバーチャル・パッチで設定されています
プログラマーの遊び心が伺えます。
そして、アフター・タッチでOP2のLEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています。金を鳴らしたときに時折不協和音が発生する場合がありますよね。
それをシミュレートしています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズム
アルゴリズムには05番のアルゴリズムが設定されています。
3つのキャリア-モジュレーターの直列接続といった構成です。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1-OP2、OP3-OP4で学校の鐘のような音が演出されています。
キャリアとモジュレーターのRATIOが1:3.5000が複雑な鐘の音の効果的のようです。
OP5-OP6でアタック成分を作っているようですが、聞こえません。
OP-EG
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-PITCH
FREQ. MODEがFIXEDのOP5以外のオペレーターに対して、DETUNE(ピッチの小さなずれ)が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1, OP3, OP5は基準キーがA1に設定されていますが、変化量を設定するSLOPEの値が00なので効果はありません。
OP2, OP4, OP6は基準キーをC3として高いキーになるほどマイナスのレベルになるように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがSAW DOWN、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが5.69Hzが設定されています。
EG, LFOはパラメーターに影響を与えるように設定されていません。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2, FX3はOFFが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、アルゴリズムをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH12は、OP2のLEVELをアフター・タッチで変化するように設定されています。
MISC
ALGORITHM FB(FEEDBACK)が71%に設定されていて、対象のオペレーターはOP6です。
LOFIが設定されています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 073 Maverick Bells」と題して、プリセット・プログラム「073 Maverick Bells」のパラメーターを分析しました。
実験で、アルゴリズムを変化させて音を聞きましたが、使えそうな音がありますね。
アルゴリズム24にすると、「ホールのステージの奥で静かにティンパニーを鳴らす音」のように聞こえます。
試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 075 Percussion」と題して、プリセット・プログラム「075 Percussion」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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