みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 086 FM Airy Bell」と題して、MODE: EFFECTにPUNCHを使用したプリセット・プログラム「086 FM Airy Bell」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
氷の世界に入ったような冷たい空気を感じる音です。
MODE: EFFECT: PUNCHはアタックを強調するために使用されています。
MODE: EFFECT: PHASERはアタック音の後の擦れた音を演出しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
きれいな音です。
実験2: モジュレーション・ホイールの効果
アルペジエーターをONにしてA3を弾きながらモジュレーション・ホイールを0→最大→0に動かす。
音データ
モジュレーション・ホイールを動かすとノイズの高さが変わるんだけれど、
よく聞かないとわからないですね。
実験3: MODE: EFFECT: PUNCHのPUNCHパラメーターを0から元の値まで変化させたときの音の変化
TEMPO=60.00に変更してアルペジエーターをONにしてA3=220Hzを弾きながら、MODE: EFFECT: PUNCHのPUNCHパラメーターを0→元の値に変化させてみます。
設定値
- EFFECTをすべてオフ(EFFECTがONだと効果がわかりにくいため)
- TEMPO=60.00Hz
- PUNCHパラメーターを0%に設定
- OP1: 100→0%、OP4: 70→0%、OP6: 100→0%
測定方法
アルペジエーターをONにしてA3=220Hzを弾きながら、MODE: EFFECT: PUNCHのPUNCHパラメーターを0→元の値に変化させます。
音データ
OP1、OP4、OP6と徐々に違ったPUNCHが加わります。
実験3: OP2のMODE: EFFECT: PHASERのFBパラメーターを変化させたときの音の変化
OP1とOP2のみの音の構成にして、OP2のMODE: EFFECT: PHASERのFBパラメーターを変化させたときの音の変化を確認します。
設定値が+100%で、これを-100%まで変化させるとどのような音になるのか実験します。
測定方法
- キャリアのOP3とOP5をMODE: MUTEに変更して、OP1とOP2のみの音の構成にする。
- EFFECTをすべてオフ(EFFECTがONだと効果がわかりにくいため)
- ARPをONにして、RESO(Resolution)を1/16→1/4に変更
- A3=220Hzを弾きながら、OP2のMODE: EFFECT: PHASERのFBパラメーターを+100%→-100%に変化させる。
音データ
擦れ感を演出していた音が乾いた靴音になって、最後にアニメのキャラが歩いた靴音になってます。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムは06が使用されています。
3つのキャリアとモジュレーターの直列接続の組み合わせで、OP5とOP6の間でフィードバック可能な設定です。
MODE: EFFECT: PUNCHは3つのオペレーターで設定されています。
OP1とOP2でノイズの部分、OP3とOP4、OP5とOP6でモジュレーターの周波数比の違った音を重ねることで高域の響きに深みを出しています。
PUNCHの設定はどの設定もアタックでの「コツッ」といった表現のために使われていて、OP1はキャリアですので、ノイズのアタック音、OP4とOP6もモジュレーター側でアタック時の変調の大きさに変化を与えています。
OP2のMODE: EFFECT: PHASERは擦れ感を表現するためにFBを100%にしています。
これを0%にすると、靴音のようになりました。
OP2のFBの変化でどのように変化するか、あとで実験しますね。
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
音の揺れはいくつかのオペレーターでDETUNEが設定されているためです。
OP-EG
ベルの響きがきれいなのでディケイ・タイム、リリース・タイムは長めに設定されています。
OP2のサスティン・レベルのみ高く設定して持続時の元音となっています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
OP-L MODでベロシティによりレベルが上がる設定がされています。
OP-KEY TRACK
OP-KEY TRACKは鍵盤の位置により効果の補正と、高域のキーでの「ばちっ」といった音にする設定のためと思われます。
FILTER
FILTERは全体的な補正用に使われていますね。
MOD(EG、LFO)
EG
EG2は、DECAY/RELEASE TIMEが長めに設定され、ゆっくり減衰するように設定されています。
EG2はFILTERのカットオフ周波数に対して時間的変化を与えるように設定されています。
LFO
INITプログラムから変更はありませんでした。
LFOは、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがCOMMON(最初のキーのみ位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが6.00Hz(LFO1)、2.00Hz(LFO2, LFO3)に設定されています。
LFO1はPROGRAM PITCHでピッチに対して周期的変化をするように設定され、アフタータッチで変化量をコントロールする設定がされています。
EFFECT
以下の3つのエフェクトにより、音の粗さ、強調する周波数ポイント(クセ)、少し大きめの部屋の残響といった効果がありますね。
- FX1のUNISON ENSEMBLEはVOICEを3にしてDEPTHをやや高めに設定しています。
ONとOFFでは響き方違ってきます。 - FX2の3-BAND EQで全体的に周波数ポイントで上げることによって輪郭が出てきています。
MIDはREVERBのHALLに響きにあった周波数ポイントかな。 - FX3のREVERBはHallが選択されていて、やや深く長めの残響です。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP2のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールを動かすことで変化するように設定されています。
MISC
LFO1の効果を1半音としてアフタータッチで変化量をコントロールする設定がされています。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 086 FM Airy Bell」と題して、MODE: EFFECTにPUNCHを使用したプリセット・プログラム「086 FM Airy Bell」のパラメーターを分析しました。
PUNCHは凄いね。
microKORG XL+にもありましたが、この機能があるのとないのとでは、エディットのしやすさが全然違う。
アタックを「プスッ」と強調させることは非常に難しいからです。
それが機能1つでできてしまう。
頼もしい機能です。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 269 Arp Swirls」と題して、複数のオペレーターをフィードバックするALGO FBを使用したプリセット・プログラム「269 Arp Swirls」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント