みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 093 Plinq Plunq」と題して、プリセット・プログラム「093 Plinq Plunq」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
スタッカートな金属的な音に、モジュレーション・ホイールを動かして「シュワー」とした残響音を加えるような仕上がりです。
アルゴリズム 39番を使用しています。
モジュレーターのOP5、OP6を4つのキャリアがそれぞれ効果を引き出す組み合わせとなっています。
Y字接続と逆Y字接続のハイブリッド型、、、ですね。
オペレーターとアルゴリズムの関係については以下のページから10ページにかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
モーション・シーケンスのデータにモジュレーション・ホイールのデータが組み込まれています。
それで持続音での「シュワー」とした音があらわれます。
モジュレーション・ホイールにはバーチャル・パッチでエフェクトのレベルが上がるように設定されています。
実験2: アフター・タッチの効果を確認する
バーチャル・パッチでアフター・タッチでSUSTAIN LEVELを変化をするように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
設定方法
バーチャル・パッチで設定されたアフター・タッチの設定をピッチ・ホイールに割り当てます(V.PATCH5)。
PROG-PITCHよりPITCH BEND UP/DOWNの値を0にする。
V.PATCH5のSOURSEをPITCH WHEELに変更(SUSTAIN LEVELを変化するように設定されています。)
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
ピッチ・ホイールを最大にする。
音データ
サスティン・レベルが上がるので、持続音となります。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには39番のアルゴリズムが設定されています。
OP1~OP4のキャリアに対してモジュレーターOP5, OP6が接続されている構成です。
すべてのキャリアに対してOP5, OP6が接続されていますので、モジュレーターのパラメーターの変化はすべてのキャリアに影響を与えます。
といった、何とも複雑な構成です(笑)
モジュレーターのRATIOはOP5が3.0000, OP6は6.0000とRATIOを少し高く設定されています。
WAVEはOP5がADDITIVE 1+2、OP6がADDITIVE 1+5と少し変わった波形が選択されています。
この2つのモジュレーターがOP1~OP4の各キャリアに接続されています。
まず、OP1はMODE: RING MOD.が設定されています。
MODE: RING MOD.特有のガラスをたたいたような響きがします。
LEVELが50%なのでオシレーターの音とリング・モジュレーターの音がミックスされています。
OP2はMODE: WAVE FOLDERが設定されています。
WAVEはSINE 8BITと少し荒いサイン波で、モジュレーターからの入力信号と一緒にWAVE FOLDERで波形を反転させます。
RATIOは2.6600と変則的な値が設定されています。
こちらは木琴を叩いたような音がします。
OP3はMODE: FILTERが設定されています。
RATIOが3.0000、FILTER TYPEはLPFで、音を聴くと木琴のような音ですが、他のオペレーターより出力レベルが低いため、全体ではあまり聞こえていません。
OP4はMODE: FMでRATIOが1.0000、WAVEはSINEとINITプログラムと同じ設定です。
単独で聴くと「ガリっ」という音が聴けますが、これも出力レベルが低いです。
OP1, OP5, OP6はキー・トラックで基準キーをC4として高いキーになるほどレベルがマイナスになるように設定されています。
各オペレーターごとにベロシティによるレベルの強弱が設定されています。
FILTERはLPF POLY6が使用され、CUTOFF、RESONANCEが設定されています。
カットオフ周波数に対してEG2による時間的変化をベロシティによるレベルのコントロールが設定されています。
エフェクターはDELAY(BPM)で左右で遅延時間が違う設定により広がりを持たせ、SHIMMER REVERBで明るい残響音で広がりを持たせ、FLANGER(BPM)で雑味を加えています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでFX1のDELAY(BPM)のDELAY LEVEL、FX2のSHIMMER REVERBのREVERB LEVEL、FX3のFLANGER(BPM)のDRY:WET MIX、プログラム全体のLEVELを変化を与えるようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでプログラム全体のSUSTAIN LEVELをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP-EG
各オペレーターのDECAY TIMEが微調整されています。
各オペレーターのCURVEが10と減衰が急峻なカーブが設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-L MOD
各オペレーターのレベルに対して、鍵盤を弾く強さ(VELOCITY)による効果が設定されています。
OP-KEY TRACK
OP1, OP5, OP6に基準キーC2に対してキーが高くなるにつれてレベルが下がるように設定されています。
FILTER
FILTERはLPF POLY6が使用され、CUTOFF周波数に対してEG2による時間的変化が設定され、その変化量をベロシティでコントロールするように設定されています。
MOD(EG、LFO)
INITプログラムから変更はありませんでした。
EFFECT
FX1はDELAY(BPM)、FX2はSHIMMER REVERB、FX3はFLANGER(BPM)が設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、FX1のDELAY(BPM)のDELAY LEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、FX2のSHIMMER REVERBのREVERB LEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、FX3のFLANGER(BPM)のDRY:WET MIXをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、プログラム全体のLEVELをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH5は、プログラム全体のSUSTAIN LEVELをアフタータッチでコントロールするように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 093 Plinq Plunq」と題して、プリセット・プログラム「093 Plinq Plunq」のパラメーターを分析しました。
データを分析するとどのようにプレイするか、新しい発見が出てきます。
音作りに興味がなくてもコントローラーは一通り操作すると楽しい機能が隠れている場合があります。
皆さんも試してみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 010 Just Hang On」と題して、プリセット・プログラム「010 Just Hang On」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
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