みなさん、こんにちは。
「カムカム・シンセサイザー」のKAMINです。
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 150 FM Ring Mod Pad」と題して、プリセット・プログラム「150 FM Ring Mod Pad」のパラメーターを分析します。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このブログでは、その魅力を細かく音と画像で詳しく説明していきます。
音の特徴
opsixのMODE: RING MOD.の代表的なPADの音。
共鳴感がきれいですね。
3段のオペレーターを2組のアルゴリズムを使って同じ設定値にしてありますが、バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを操作した際にずれるように効果が設定されています。
オペレーター4つにMODE: RING MOD.を設定して、リング・モジュレーター独特のクセのある音を演出しています。
RATIO比が秀逸すぎて、パラメーターの変更ができない(笑)
MODE: RING MOD.の機能については以下のページから3ページかけて説明しています。
実験
では、音で確認しましょう。
パラメーターの分析は下に書いています。
詳細はそちらをご覧ください。
実験1: 弾いてみる
モーション・シーケンスにモジュレーション・ホイールのコントロール・データが入っています。
測定方法
シーケンサーをONにしてPLAYボタンを押します。
音データ
モーション・シーケンスのデータにモジュレーション・ホイールを動かす設定がされています。
中盤の盛り上がりがそうですね。
実験2: モジュレーション・ホイールを動かす
バーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを動かすことによってキャリアのOP1, OP4のCOARSE RATIOを変化するように設定されています。
これにより音がどのように変化するのか確認します。
測定方法
アルペジエーターのパラメーターをPATTERN: MANUAL、OCT: 2に設定する。
アルペジエーターをLATCH ONにする。
適当なコードを弾きます(弾く順番: G4, D4, C5, F5)。
モジュレーション・ホイールを0→最大→0にする。
音データ
シーケンスのモジュレーション・ホイールを動かすデータでは効果がよくわからなかったので実験しました。
結構な変わりようです。
でもフレーズに馴染ませると実験1のようになる。
プログラマーのプレーヤーぶりが伺えますね。
パラメーター分析
INITプログラムからの変化を元に分析しています。
INITプログラムのパラメーターの設定については「シンセサイザー KORG opsixの機能: INIT(初期設定)プログラムの分析」をご確認ください。
アルゴリズムには03番のアルゴリズムが設定されています。
OP1~OP3、OP4~OP6の2つの3段直列接続の構成です。
アルゴリズムは3段の直列接続が2組の構成です。
2つの直列接続は、パラメーターの値が同じです。
キャリアとその上のモジュレーターにはMODE: RING MOD.が設定されています。
キャリアとモジュレーター1, 2のRATIO比は、0.0078:1:3です。
音のピッチの揺れは、OP-P MODでピッチにLFO1の周期的変化を与えるように設定されています。
この設定がパイプオルガンのような金属的な音を作り出しています。
FILTERはINITプログラムのままで効果はありません。
エフェクターは揺れの少ないCHORUSを深めに効かせて、DELAYも深め、SHIMMER REVERBで揺れを伴う残響感を演出しています。
演奏表現の手段として、モジュレーション・ホイールを動かすことでキャリアのOP1とOP4のCOARSE RATIOを変化させるようにバーチャル・パッチで設定されています。
また、アフター・タッチでOP2とOP6のPITCHをコントロールするようにバーチャル・パッチで設定されています
MODE、WAVE、OP LEVEL、FREQUENCY MODE
OP1, OP2, OP4, OP5にMODE: RING MOD.を設定して、リング・モジュレーター独特のクセのある音を演出しています。
OP1~OP3、OP4~OP6の2つの構成はパラメーターが一緒です。
後述するバーチャル・パッチでモジュレーション・ホイールを操作した際に少しだけずれた効果が設定されています。
OP-EG
OP1, OP2, OP4, OP5はSUSTAIN LEVELが100で立ち上がりから鍵盤を弾いている間はレベルが同じに設定されています。
OP-PITCH、OP-P MOD、OP-L MOD、OP-KEY TRACK
OP-P MOD
OP2, OP5はピッチに対してLFO1で周期的変化するように設定されています。
FILTER
FILTERページのパラメーターはINITプログラムと同じ設定値でした。
FILTERはENABLE: ONですが、CUTOFF周波数が最大値であるため、フィルターの影響はないと考えます。
MOD(EG、LFO)
EG
INITプログラムから変更はありませんでした。
EGを設定したパラメーターはありませんでした。
LFO
LFO1は、WAVEがTRIANGLE、KEY SYNCがVOICE(キーを押すごとに位相がリセットされる)、TEMPO SYNCがOFF、SPEEDが0.42Hzに設定されています。
LFO1はOP-P MODでOP2, OP5のピッチに対して周期的変化するように設定されています。
EFFECT
FX1はCHORUS、FX2はDELAY、FX3はSHIMMER REVERBが設定されています。
VIRTUAL PATCH
バーチャル・パッチの設定は以下の通りです。
- V.PATCH1は、OP1のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH2は、OP4のCOARSE RATIOをモジュレーション・ホイールで変化するように設定されています。
- V.PATCH3は、OP2のPITCHをアフタータッチで変化するように設定されています。
- V.PATCH4は、OP6のPITCHをアフタータッチで変化するように設定されています。
MISC
INITプログラムから変更はありませんでした。
VOICE
INITプログラムから変更はありませんでした。
まとめ
今回は「KORG opsixのプリセット分析: 150 FM Ring Mod Pad」と題して、プリセット・プログラム「150 FM Ring Mod Pad」のパラメーターを分析しました。
RATIO比が秀逸すぎて、パラメーターの変更ができない(笑)
MODE: RING MOD.で作った音がきれいだよね。
それから、このプログラムはプログラマーのプレーヤーぶりが伺えました。
モジュレーション・ホイールを動かすと結構エグイ音になりますが、フレーズでは気にならない。
凄いね。
皆さんも是非チャレンジしてみてください。
この記事を読んだ方がシンセサイザーに興味を持っていただけたら幸いです。
次回は「KORG opsixのプリセット分析: 173 Star Pad」と題して、プリセット・プログラム「173 Star Pad」のパラメーターを分析します。
では。
新たな進化を遂げたKORGのFMシンセサイザー、opsixとopsix native。
このシンセサイザーでしか味わえない魅力が満載です。
コメント